信長、神への道
■はじめに
・・・・ ゴロP君、僕はね。信長が本能寺で死ななかったら、そのうちきっと天皇家を滅ぼしたと思うんだよ。
勤務先のK営業部長と一緒に営業所へ出張した時、車中で私はこう言われた。
K部長は営業職だけあって話題が豊富で、話も歴史、宗教、政治・経済と広範囲にわたっている。私も歴史好きだから、この日もああでもない、こうでもないと歴史談義に花が咲いていたのだ。しかしK部長の話を聞いた私は、「ああ、そうかもしれませんね」とあいまいに返答したが、実際にはそんな単純なことではないと内心思ったことが、このコンテンツを書くきっかけになった。
織田信長は、彼の決して長くはない一生をかけて、室町・戦国時代後期のボロボロに形骸化していた中世の権威や秩序、政治・経済の方式に戦いを挑み、次々にこれらを叩きつぶし、それに代わる新しいシステムを導入して行った。
そして本願寺を無力化させ、武田家を滅ぼし、毛利家を追いつめて、天下統一を目前に控えた信長の最後のターゲットは、間違いなく天皇家そのものだったことだろう。
信長の生涯の目標は、彼が理想とする「新しい社会と秩序」を構築し、それをベースに自己の権威と権力の絶対化を確立することだったが、彼の行動軌跡の詳細を書き並べるのは本稿の目的ではない。
本能寺の変がなく、信長が生涯をまっとうしていたら天皇家をどう扱おうとしたか。目的はそれである。
その1 | 英雄 武田信玄は天下人になれたか 天下布武 |
その2 | 源頼朝 社会のニーズ |
その3 | 弾劾状 |
その4 | 室町時代の天皇 足利義満の野望 明の建国 日本国王義満 義満の死 幕府の衰退 綸旨は麻薬 戦国大名の登場 |
その5 | 信長の挑戦 信長の選択肢 革命の論理をもてない日本 第六天魔王 |
その6 | 安土城 |
その7 | 信長に晩年はなかった 三職推任その後 三島暦 |
その8 | 明智光秀 独断・本能寺の変 |