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■ アンプを自作するにあたっての方針

1.安全第一

煙が出る、火が出るなど論外。自作の場合すべてのリスクは自分もちです。
また、自分の腕(製作テクニック)を過信しないこと。アンプの動作中は、なるべくアンプのそばにいることです。
さらに調製中に感電することも想定して、プレート電圧はなるべく低い方が望ましい。となると211や845は見た目はすばらしいのですが、私には恐ろしくてちょっと手が出ません。低プレート電圧(400〜500V)ならどうか、と言う意見もあるでしょうが、本来このような 高プレート電圧用の球を、低プレート電圧で使用するのはどんなものでしょうか。せっかくの球の持ち味がなくなってしまうように思えます。
私はメインアンプの場合、プレート電圧の上限は400Vまで。(自己バイアスの場合、バイアス電圧を含めて。)400V以内で充分動作 する球を使うと勝手に決めています。
このため結構球は限定されてしまいます。

2.無帰還方式か帰還方式か

昔からよく論議されてきました。結論としては、「お好きなように。試してみて自分の耳で判断しなさい」としか言えません。無帰還派の人も帰還派の人も、それぞれ考えあっての主張でしょうから。
私自身は、負帰還の否定論者ではありません。その必要があれば、充分な負帰還をかけるつもりです。

3.余裕のあるパーツを使う

私は、実験のためのアンプを作ったことがありません。(金銭的理由です。)
ある程度の期間、ひょっとしたら一生使うことになるかもしれないアンプです。
あの時ああすれば良かった、と後悔しないためにも、また信頼性の面からもパーツはよく選ぶべきかと思います。
と言いましても特別なことをしているわけではありません。抵抗はイコライザーのRIAAカーブ用でない限り、ごく普通の精度のものです。むしろW数に注意すべきでしょう。私は計算値の3倍程度のものを使いますし、電力増幅段の自己バイアス用抵抗のように電流が多いところへは何本か直列につないで消費電力を分散しています。(1KΩ場合、1KΩを1本ではなく、例えば500Ωを2本直列につなぐ。)
ケーブルなんかで音が変わるものか、と次項で書きました。抵抗も同様です。 出力トランス以外で音質へ影響がある部品は、コンデンサーでしょう。特にデカップリング回路のケミコンは、交流成分がモロ流れるため重要です。ここは良く吟味すべきでしょう。

4.常識を大切に

私にはどうしてもわからない事があります。線材(ケーブル)で本当に音が変わりますか。特に電源ケーブルなんかで本当に音が変わるでしょうか?
発電所から自分の家まで、一体何Kmのケーブルが使われているのでしょうか?
送電線、電柱からの引込線、屋内配線。それからやっとオーディオ装置につながるわけです。 仮に発電所から我々の部屋まで一本の道だとしましょう。石ころだらけのガタガタ道です。電源ケーブルに高級と言われているケーブルを使うことは、この「石ころだらけの道」のほんの一部だけを舗装するような ものです。どれだけ効果があるのか、おして知るべし。
さらには「音に悪影響がある」と称してスイッチやヒューズを省く人。
スイッチやヒューズホルダの接触抵抗はどれほどあるのでしょう? 仮に接触抵抗を1Ωとすると(そんなバカな!)、1Aの電流が流れても電圧降下は1V。たったの1Vです。数V単位でAC電圧は常に変動しているのに・・・・。
また、「良い音がする」と称して壁のACコンセントのプラスチックプレートを交換する人。
まったくあいた口がふさがりません。
このようなことを言う人達は、ある意味で恐ろしい人達だと思います。
交通事故のムチ打ち症と同じで、「痛い」と言われても証明する方法はないのですから。
そのうち、「水力発電のほうが火力発電より音が良い。」とか「電柱で音が変わる。」などと言い出す人が出てくるかもしれません。(こりゃまた失礼!)


さてメインアンプを作る時の方針ですが、これはあくまで直熱式の古典管を使う時であって、6CA7やKT−88のような現代球には適用する必要はないと思います。

1.出力を欲張らない

貴重で高価な真空管です。過保護なくらいに大切にしています。そのためにプレート損失は定格の70%前後で作っています。70%と言うものが妥当かどうかはわかりませんが、これがタマの長寿命化にもつながると思います。
また、出力と音質は比例しないことは確かです。ここで紹介しているVT−52アンプは、出力はわずか2W程度(片ch)ですが、出力不足を感じたことは一度もありません。

2.標準回路で作る

標準回路とはなんぞや?と言われそうですが・・・・・・・。
ロフチン・ホワイトのように直結回路は、安全面(出力管の保護)からも採用したいと思いません。 また三極管のドライブにはカソードフォロアが理想的かと思いますが、なんとなく敬遠しています。 (調整をめんどうくさがっているだけです。)
ごく普通の電圧増幅段でドライブします。

3.整流管を採用する

VT−52にしても300Bにしてもシリコンダイオードが存在しない時代のものです。シリコンで整流しない方が良い、とは昔から言われていますので先人の教えは天の声、として尊重しています。 (都合の良い時だけです。)

4.自己バイアスにする

固定バイアスの方が特性面からも有利なのですが、球の暴走に対応できないので採用していません。

5.直流点火にする

これは・・・まぁ常識ですね。方針と言うほどのものではありません。


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