HomeNovel ショート・ストーリー 三 ツキノモノ
<< Previous Next >>
ショート・ストーリー 三 ツキノモノ

 ああ、憂鬱。
 今月もツキノモノがやってくる。
 たぶん来週辺り、かな。
 考えただけでも、だるい。
 お腹痛い腰痛い頭痛い、ああ、気持ち悪い。ぐるぐるグルグル……
 女ってだけで、相当損してる気がする。
 毎月毎月毎月毎月……なんでこんな目に遭わなきゃいけないの?
 男の子は生理痛がないらしい。当り前。
 当り前? 男女平等の名の下に、男の子にも生理痛を与えるべきじゃない?
 そんなの無理なのは分かってるけど、なんかずるい。
 だったら、あたしは男の子に生まれたかったな。
 男の子だったら、どうなってたんだろう。
 男の子なあたしは――ボクは――オレは――きっと、変わらない。
 何になっても、あたしはあたし――ボクはボク――オレはオレ――きっと。
 ツキノモノ以外のなにかがイヤになって、女の子になりたい、なんて、そんなことを考えているに違いないんだ。きっと。
 だから……今日はもうおやすみなさい。
 だって、だるいし。

<< Previous Next >>
HomeNovel ショート・ストーリー 三 ツキノモノ