まろざん
摩 廬 山
しょうざんじ
焼 山 寺
 第12番 焼山寺のご本尊は虚空蔵菩薩です。
 焼山寺への道は四国札所の難所(6カ所)の一つです。第11番からここ焼山寺までは尾根伝いに徒歩で12.8キロ登りが続きます。車でも県道・林道・焼山寺で新設した山道を走り1時間かかりました。

 カーブが多い狭い道が続きます。
 標高800mの山中にはまだ、雪が残っていました。ここ徳島でも雪は降るそうです。途中の山郷では梅が満開で、梅祭りをしていました。
 
 老杉と山門
 本堂
 伝説によれば、この山には魔の毒蛇がいて、作物や人畜に火を吐いて危害を加え、大師が登山しようとしたときも全山火の海であった。大師が垢取川で身を浄め、法輪の印を結び真言を誦して登ると、火は順次消え、九合目に達したとき、岩窟から毒蛇が飛びかかった。このとき虚空蔵菩薩があらわれ、大師とともに毒蛇を岩窟の中へ封じこめてしまった。それ以来異変はおこらず人々は安住することができた。やがて大師は虚空蔵菩薩を刻んで本尊とし、寺号を火の山にちなみ「焼ケ山ノ寺」、山号を火の恐れがあるので「摩廬(水輪の意)山」とした 
 満願寺教化部 「四国へんろ」
 大師堂
 焼山寺境内。
 鐘を撞なかったことが悔やまれます。
 「遍路ころがし」といわれた険しい急坂が続きます。
 左は、藤井寺まで12.8杆(Km)。右は大日寺まで22.7杆(Km)
 杖杉庵(じょうしんあん)は、四国遍路の元祖といわれる衛門三郎の霊跡。杖杉庵縁起
 杖杉庵(じょうしんあん)
 瀬戸は日暮れて。
 杖杉庵縁起
伊豫の国 浮穴群荏原の荘の長者衛門三郎は財宝にみち勢近国に稀な豪族であった。それでいて強欲非道な鬼畜のようなこの長者は貧しい者を虐げ召使共を牛馬の如くこき使って栄華の夢に酔いしれていた。雪模様の寒いある日その門前に一人の旅僧が訪れた。乞食のようなみすぼらしい旅僧は一椀の食物を乞うた 下僕の知らせに衛門三郎はうるさげに「乞食にやるものはない追い払え」と言い捨てた。そのあくる日も次の日も訪れた。衛門三郎は怒気満面いきなり旅僧の捧げる鉄鉢を引っ掴むや大地に叩きつけたと見るや鉄鉢は八つの花弁の如く四辺にとび散った。唖然と息を呑み棒立ちとなった衛門三郎がふと我に返った時には旅僧は煙の如く消え失せていた。
長者には八人の子供があった 其翌日長男が風に散る木の葉の如くこときれた。其の翌日には次子が亡くなり八日の間に八人の子供が亡くなった。 鬼神も恐れぬ衛門三郎も恩愛の情に悲嘆にくれ初めてこれはおのが悪業の報いかと身に迫る思いを感じた。空海上人とか申されるお方が四国八十八ケ所をお開きになる為此の島を遍歴なされているとか 我が無礼を働いたあの御坊こそその上人と思われる。過ぎし日の御無礼をお詫び申さねば相すまぬと発心しざんげの長者は財宝を金にかえ妻と別れ住みなれた館を後に野に山に寝 四国八十八ケ所の霊場を尋ねて遍路の旅をつづけた。春風秋雨行けども廻れど大師の御すがたに会うことが出来なかった。遂に霊場を廻ること二十度会えぬ大師を慕いつづけた。二十一度逆の途を取って此の所までたどりついた。疲れた足をよろぼいつつ木陰に立寄り背に負うた黄金の袋を下して見ると何とした事ぞ一塊の石となっていた。いよいよ驚き今一歩も立上がる気力もまくうち倒れている折しも大師の御姿が現れ給い やさしく「やよ 旅の巡礼 そなたは過ぎし日わが鉄鉢を打ち砕いた長者にあらずや」との御声 「われは空海いつぞやの旅僧なり」 「ああ上人さまお許しなされませ、お許しなされまし」と伏し拝みざんげの涙はらはらと手を合わせ大慈にすがる長者は今こそ悪業深き無明の闇から光明世界へ還らんとする姿であった。「そなたの悪心すでに消え善心に立ち還った。 この世の果報はすでに尽きたり来世の果報は望みに叶うであろう」と仰せられ 衛門三郎は大慈大悲の掌に救われ来世は一国の国司に生まれたいと願った。 大師は其心を憐れみ小石を其左手に握らせ必ず一国の主に生まれよと願い給い衛門三郎はにっこと微笑をのこし敢え無くなった。 其の日は天長八年十月ニ十日と伝えられる。大師は衛門三郎のなきがらを埋め彼の形見の遍路の杉の杖を建て墓標とされた。其の杖より葉を生し大杉となった。 故に此の庵を杖杉庵と呼ばれ今尚大師の遺跡として残っている。
此杉は享保年間焼失した。その頃京都御室から「光明院四行八蓮大居士」戒名が贈られ四国遍路の元祖として今も此の地にまつられている。 焼山寺 保勝会 複刻 平成八年一月吉日     (衛門三郎霊跡案内板より)

 ちょうどそのとき(天長八年十月ニ十日)伊予の大名河野左衛門助息利(やすとし)の妻が男児を生んだが、どういうわけか左の手を固く握って開かない。そこで河野氏が帰依(きえ)する安養寺の住職に加持(かじ)してもらうとやっと手を開いた。するとなかから小石が現われ、それに衛門三郎と書いてあったという。
(世界出版社 「ふるさとの旅路」)
 
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