半導体(分類)
■材料による分類
おもな半導体材料には次のようなものがあります。用途によって材料も製法も異なります。
ゲルマニウム | シリコンが一般化するまではよく使われていた。 熱に弱い |
シリコン | 原料は砂(特に海岸の砂)に含まれるので無尽蔵ともいえるほど大量に存在する 熱に強い 化合物半導体よりはコストが低い 化合物半導体よりは自由電子の移動速度が遅い 《用途》 |
化合物半導体 | 複数の物質を化学合成して作られる ガリウム・砒素(GaAs)、ガリウム・リン(GaP)、ガリウム・ひ素・りん(GaAsP)、ガリウム・アルミニウム・ひ素(GaAlAs)などがある シリコンに比べて自由電子の移動速度が速い 《用途》 |
《注意》
化合物半導体は異物質の混入(ドーピング)ではありません。あくまで化学合成物質です。
■キャリアによる分類
キャリアとは半導体の働きの中心になるもので自由電子、あるいは正孔を指します。両者の主な特徴は次のとおりです。
種類 キャリア 特徴 MOS 電子または正孔 構造が簡単
低コストバイポーラ 電子、正孔の両方 高速
雑音等、特性が優れている
MOSはMetal Oxide Semiconductorの略です。
■素子そのものによる分類
話が前後してしまいました。
極めて大雑把な分類ですが、半導体には、それ自体が一個の電子部品(たとえばトランジスタや発光ダイオードのように)であるディスクリート素子、多くの部品を集約して一つの電子回路を構成する集積回路・・・IC(Integrated Circuit)に二分されます。
●ディスクリート素子
発光ダイオード トランジスター
●IC(集積回路)
集積回路とはIC(Integrated Circuit)のことです。これなしでは現在のエレクトロニクスの隆盛はありえないことです。
外観は・・・例えばこんな風になっています。
アナログIC(モーターの回転制御用) | デジタルIC (最も基本的なデジタル回路であるAND、OR回路) |
ICがなければ、電気回路はトランジスターをはじめ1個1個の部品で作らなければなりません。事実かつてはそうしていました。
しかし、この方法ではでき上がった基板が、ものにもよりますがかなりの大きさになる場合があります。 これに対してICでは従来の個々の部品をシリコン上に作ることにより、超小型化を実現しているのです。部品と部品をつなぐ配線は0.25μm以下のアルミニウム線が使われています。 ※1μm とは0.00001mです。 |
●ICの回路内素子数による分類
名称 素子数 IC((集積回路 Integrated Circuit) 1000個未満 LSI(大規模集積回路 Large Scale Integrated Circuit) 1000 〜 10万個程度 VLSI(超集積回路 Very Large Scale Integrated Circuit) 10万個以上
素子数というのは、1個のICに収められている部品の数を指します。部品とは例えばトランジスターやダイオードのことです。
しかも素子数が倍になっても、集積回路自体の大きさはそれほどは大きくなっていません。
これは素子数、素子間を配線する線がいかに小型化しているかの証拠でもあるのです。
●ICの用途による分類
ICはデジタル情報を処理するデジタルICとアナログ情報を処理するアナログICとに大別されます。デジタルにしても、アナログにしてもその用途・分類は実に膨大なものですから、とても全部を紹介することは不可能です。
ですから次の表を見てこれで全てだ、と思わないでください。
大分類 用途 中分類 小分類 さらに分類 モノシリックIC デジタルIC メモリ RAM DRAM SRAM ROM マスクROM EPROM EEPROM FLASHメモリ マイコン MPU MCU 周辺機器用 ASIC セミカスタム フルカスタム システムLSI アナログIC ハイブリッドIC パワーIC モーター駆動 電源回路 プラズマディスプレイドライブ
《注意》
ハイブリッドICとはシリコン上ではなく、セラミック板の上に特別に作成した電子部品を集約したもです。
これに対してモノシリックICとは、パソコンで使われるCPUやメモリICのように複数の半導体や電子部品の組み
合わせではなく、一つの半導体に数百万個のトランジスタを集積(1チップ化)されたICを指します。