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リメイク版300Bアンプ(製作編)


■シャーシー

まずレイアウトです。

今回は木枠を作ってその上にアルミの天板を乗せるようにしました。天板のサイズは400 ×300×2(mm)です。レイアウトを考えてからサイズを決めたわけではありません。このサイズのアルミ板がホームセンターに売っていたからで、まずサイズありき、です。第一アルミを切るのが面倒ですから(笑)

私はレイアウトはEXCELを使って描きます。
列幅を調節して行の高さと同じくらいにして、一つのセルを10×10mmとみなします。その上にEXCELの描画機能を使って丸(真空管)や四角(トランス)を重ねて行くのです。

EXCEL上では図形の細かい移動が可能ですから便利です。もっとも私の知らない、もっと便利なソフトを使っている人がきっといることでしょうね。

昔からの私のクセで電源トランスはいつも向かって左側です。
どうしてだろうと考えたら、並三ラジオの標準シャーシーは電源トランスが左側だったことを思い出しました。三つ子のタマシイです(笑)

レイアウトが決まったらA3コピー用紙に清書してからこれをアルミ板に貼り、穴あけをします。
実はちょっと失敗しました。向かって左側の前後2本の真空管の位置が左側の出力トランスの中央になるはずだったのですが、どうしたわけか20mm位左になっています。穴をあけてから気がつきました。やり直しは大変なのでそのままです(笑)
それと正面のネオン球の取付位置が左すぎてバランスが悪くなっています。


さてシャーシー作りです。このアンプの重量は12Kg位になるのでしっかり作らないと後で大変です。

まず木枠を作ります。
外側はホームセンターで切ってもらいますが、入出力端子やスイッチなどの穴はジグソーを使って自分で切りました。厚みは22mm。結構大変です。左の写真は後から見たところで、細長い横穴が入出力端子やスイッチを取り付けるための穴です。

四隅にボンドをたっぷり塗って金具で押さえます。
予想外だったのはホームセンターでの加工精度で、正確に直角に切断できていません。つなぎ目に隙間や段差ができてしまいますし、上から良く見ると長方形ではなくて平行四辺形になっています。やむなく隙間はおが屑をボンドで練ったもので埋めて、段差はヤスリでならしました。

木枠は塗装したいところです。でも板のつなぎ目が左の絵のように45°で切断面が隠れるなら良いのですが、いわゆイモつぎというヤツです。どう考えても綺麗に塗装できそうにありません。バイオリンのように艶のある塗装に憧れたのですが

そこで苦肉の策です。目隠しのため(笑)、木目のビニールシートを貼ることにしました。まずまずの出来栄えかな。

アルミ板は穴あけ後スプレー塗装です。表面を#300〜500位の紙やすりでこすって傷をつけます。
中性洗剤で汚れ、手脂などをよくとってから水洗い。
乾燥後スプレーで塗装して、乾燥したらまた紙やすりで軽く傷つけて再塗装。
3回塗って1週間そのままにして完全に乾燥させます。

 

右下方の放熱器はリップルフィルター用のFETのもの

 

300Bは背が高いので39φの穴をあけて少し落としています。シャーシー内の放熱効果も少しはあるでしょう。(後ろの短いシャフトはハム・バランサー)


回路そのものは五球スーパーより単純ですから、配線は特別注意を要するようなところはありません。ただしアースポイントは各ブロック(第一増幅段、第二増幅段、電力増幅段、電源部)毎に、それぞれ独立させました。

禁断のウラガワ (配線前)

禁断のウラガワ(配線後)

ヒーター整流部(手前)と遅延回路部(右側)


■調整

まずスピーカー端子には8Ωの抵抗をつなぎ、300Bのバイアスは220Ω2Wの抵抗側にしておきます。
次に真空管はささずにスィッチを入れ、C-の電圧が-45V位になるように電圧を仮に調節しておきます。真空管をすべて差し込み、スイッチを入れて220Ωの両端の電圧が15〜15.5VになるようにC-を調整します。これで音が出ることを確認した後、負帰還を調整します。

オシレーター・・・と言っても6.3Vのヒータートランスに抵抗、ボリュームを取り付けただけです。もちろん50Hzで、0〜1Vを出力します。
これを使ってスピーカー端子の出力電圧が1.5Vになるようにします。この時0.28Wの出力です。NFB抵抗を調節して出力が0.75Vになれば6dB、0.5Vになれば9dBの負帰還になります。50Hzはシングルアンプには厳しい周波数ですが、NFBは相対的なものですからまあまあでしょう。

(このオシレーターのアイディアは情熱の真空管より拝借しました)

結論として9dBとしました。(9dB位と言った方が正確です)
簡単な測定ですが、各段の動作は次のとおりです。

  プレート電圧 バイアス電圧 プレート電流
初段 54V -2V 4mA
二段目 142V -7V 6.3mA
300B 312V -60.2V 69mA

■最後に

音質は大変満足しています。
旧型の300Bアンプを解体して3ヵ月以上たつので、音質を比較しようにも旧型のそれは忘れつつあります。音質上で細かい比較をするなら今回のような旧型部品の再利用は避けるべきですが、同じ電源トランス、出力トランスをまた買うほどフトコロに余裕があるわけではありませんからやむを得ないとは思います。作りたてだからそう思うのかもしれませんが今回のアンプの方が音質は上であることは間違いありません。

でもプログラムソースによっては時折高域がきついことがあります。以前にはなかったことで、これは5687のクセなのかもしれません。
SN比については旧型よりかなり改善されています。スピーカーに耳を密着させてやっとハム音が聴こえる程度です。遅延回路を通さず、もっと大きい抵抗でリップルフィルターを作れば良いのでしょう。

ノイズ・・・ザザザという・・・は時折聞えます。これは旧型と同じで、WE300Bはノイズが出るという話どおりです。SN比については気になる場合以外、測定は不要ではないでしょうか。要するにスピーカーに耳を近づけても聞えなければかまわないのですから。

何回か動作中に切り替えたのですが、定電流方式と普通抵抗方式による音質の違いは正直言いまして私にはわかりません。
名は伏せますがあるサイトで『劇的に変化する』と書いてありましたので、実験をするのが楽しみだったのですが期待はずれでした。もっとも聴きこんでいけば違いがわかるかもしれません。

■参考資料

現代真空管アンプ(黒川達夫氏)
情熱の真空管(木村哲氏)

mizunaga.jp
(オーディオ知識)


2006年10月。
電力段の動作点を変更しました。Ep 312V、Ip 70mA、RL 3.5K はどうも効率が悪く、この電圧、電流ではRLは2.5K位が良いようです。でもXE60-3.5Sには2.5K端子がないのでプレート電圧を 350Vにしました。な〜に、トランスの320Vを360Vにつなぎ変えただけです(笑)。

これに伴って電圧増幅段の負荷抵抗、カソード抵抗等も変更しています。初段は少々バイアスが浅かったのでIp 2.8mA、バイアス-2.9V。次段のIpを6.7mAにしました。二段目のIpはもっと流してもいいかもしれません。

少々意外だったのが5687のバラツキで、私は5687を5本持っているのですがカソード電圧は66〜73Vの範囲でバラツキます。66V(Ip 6.6mA)のものが2本ありましたのでこれを使いますが、計算上は7mA流すつもりだったので予定が狂いました。本来5687はスイッチング用ですから、案外バラツキが大きいのかもしれません。


2009年6月。
マイミクの上田屋さんに歪特性と周波数特性を測定していただきました。

10Hzから50000Hzまでフラット。
その後150000Hzあたりにピークがありますが、おそらく高域補正をサボっているからでしょう。

NF抵抗に500pをパラレルにつなぎました。

 

 

これほど揃うとは予想もしませんでした。

出力は、

1W(0.2%歪)
5W(1%)
7W(2%)
8W(3%)
9W(5%)

我ながら見事〜♪

 

 


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