症状別故障診断の目安
☆チェーンソーの故障のおよその目安を書いてみました。この他にも原因がありますし、 |
症状 | 症状 |
@エンジンの再始動が出来ない A-1 エンジンが始動出来ない A-2 エンジンがかかりにくい Bチェーンが止まらない Cスローが高い D使用している内に突然止まる E作業後スローにするとスローを維持出来ずに止まってしまう F吹き上がらない(あるいは吹き上がりが悪い) G高速回転にならない H高速回転にムラがある |
Iチェーンがバーに入らない J横にすると止まったり回転が速くなったり、吹かなくなったりする Kプラグの交換時期 Lチェーンオイルが出ない M木を切ると曲がる N2サイクルエンジンの動作 |
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@エンジンの再始動が出来ない(多くの方が経験されている、とても困る症状と思います) | |||
1.この場合はガソリンがシリンダー内に多過ぎるか少な過ぎるかが大半の原因だと思います。 ではなぜそういう状態になってしまったのか、原因を探る必要があります。 A・燃料が行かない状態(ベーパーロック等が起きている) B・燃料が行き過ぎている状態(何らかの原因でキャブで燃料が止められずにシリンダーに流れてしまった状態) Aのベーパーロックは比較的多い症状で、高速回転の後すぐに停止させてしまったりすると、過熱している熱が キャブを暖めてしまい、キャブ内のガソリンを沸騰させ泡を立てさせます。その泡が燃料の流れを止めてしまいます。 対策→Aの場合 ○少し冷えるまで待つ ○プライミングポンプが付いている場合は何回か押してみる ○下のAエンジンが始動出来ない項目内のスポイト方法を試してみる ○チョークをして、ひたすらスターターを引いてみる Bの場合はキャブ内部のインレットニードルという弁が不良で燃料が流れてしまうとか、エアー抜きの詰まりでタンク内部の圧力が高まり、 弁を押して流れてしまう場合やメタリングダイヤフラムの硬化で弁の動きが不良になっている場合や、 始動させるためにチョーク過多になってしまった場合等々があります。 とりあえずの対策→アクセルを半開き位置にしてひたすらスターターを引いてみる 確認方法→プラグを外して濡れているかどうかを見ます。 〇濡れている場合→プラグを外したまま少し乾かす、スイッチを切ってスターターをゆっくりと引き シリンダー内部にあるガソリンも出してしまう。 〇乾いている場合→下記のAのスポイトでの確認方法を試してみる。 プラグにスパークしているかどうかは確認しない方が良いです、 最近の電子ポイントはスパークが細いので見えないこともあります また引火の危険もありますのでお勧めしません。 (もし確認をしたい場合は火花テスター等をご使用ください) ※再始動をしなくなったエンジンはとても始末の悪い状態です、しかし必ず原因はありますので、一つ一つ調べてみてください。 また少し休ませると始動する場合もあります。 この他に軽く焼き付き状態になっていたり、電子ポイントが壊れている場合もあります。 |
. カットモデル |
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Aエンジンが始動出来ない | |||
1. ガソリンが無い 2. スイッチが切れている 3. しばらく使用しなかった 4. チョーク過多でエンジン内部に多量のガソリンが入ってしまっている 5. エンジンが焼き付いている 6. エンジンが磨耗していて圧縮が無い 7. クリーナーがゴミ等で詰っている 8. 燃料ホースが切れている 9. 燃料タンク内のピックアップというゴミ除け網が詰っている 10.燃料が古くなっていたり、水が入っている。 12.オイルシールが外れている、あるいは劣化してエアーを吸っている 13.プラグ自体の不良 14.プラグにスパークしない 15.高圧コードに亀裂があり、火花がリークしている 16.スイッチコードが本体と接触してアースしてしまっている 17.キャブレター内部に水分が入り、内部が腐食している 18.キャブレター内部のダイヤフラムが硬化して燃料が入ってこない 19.キャブレター内部のインレットニードルが固着して燃料が入ってこない |
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[スポイト方式] 始動が出来ない場合の確認方法→クリーナーをはずして、キャブレターのところから混合ガソリンを スポイトのようなもので数滴入れて、スターターを引いてみてください(チョークは解除しておきます) 入れすぎると被ってしまって逆にかからなくなりますので注意してください それでエンジンが始動すれば1.2.3.7.8.9.10の可能性があります。 4の場合はプラグを外して濡れていてるかどうか見てください。 濡れている場合はチョークのし過ぎかプラグか電子ポイントの不良です。 ◎最近のスチールチェンソーは初期爆発の音がとても小さいので、 この音を聞き逃す方が増えてきました。 つまり始動しているのに、チョークを戻すという動作をせずに、 始動していないと思って更に何回もスターターを引いてしまうという状態です。 これではエンジン内部にどんどんとガソリンが入っていってしまいます。 そうなりますと、始動がどんどんと困難になります。 初期爆発音は聞き逃さないようにご注意ください。 5・6の場合はスターターを引いても重い感じがあります。 |
[スポイト方式] |
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A-1 エンジンがかかりにくい | |||
1. チョークが完全に閉まっていない 2. スターターロープが短くなっている 3. スターターを引くときに重くてカクカクとなってしまう 4. 燃料が古くなっていたり、ペットボトルで保管した燃料を使用している 5. エンジンが焼けている 6. エンジンが磨耗していて圧縮が無い 7. クリーナーがゴミ等で詰っている 8. 燃料ホースが切れている 9. 燃料タンク内のピックアップというゴミ用網が詰っている 10.パルスホースが切れている→右写真のような状態(写真の事例は真ん中あたりに亀裂が入っています) この「エンジンがかかりにくい」場合もAの確認方法[スポイト方式]をやってみると始動しやすいです。 始動さえすれば調子が良いと言う場合はこのAの確認方法で始動させた方が楽と思います。 パルスホースが切れますとキャブ内の燃料ポンプが作動せず、大変不調になります。 始動が悪く、低速も不安定で、高速でもとてもムラがあります。 パルスホースはシリンダー内の正負圧をキャブに伝えるパイプでチェンソーには必ず付いています (パルス穴が樹脂の中を貫通して、ホースの代わりをしている機種もあります) |
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Bチェーンが止まらない | |||
1.クラッチスプリングが切れている、クラッチシューが剥がれてスプロケットとクラッチの間に挟まっている。 2.スプロケットの軸にヒモ等が巻きついて固着している (ブレーキが作動している場合はチェーンが回りません) 4.スローが高い (2500rpm〜3000rpmくらいならOK、通常3000rpm以上だとチェーンが回ってしまいます) |
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Cスローが高い | |||
1. スローが高い場合はスロー調整不良の場合があるのでLAの調整ネジを回してみる。 2. キャブのLスクリューを正規の位置にしてみる(閉めこんでから1〜1.5回転開く)キャブ調整参考ページ 3. キャブレターのスロットル部外側の何処かにゴミが挟まっている(意外と多い原因です) 4. 何処かからエアーを吸っている 〇エアーを吸っている場所は色々とあります T.シリンダーガスケットが切れている、オイルシールが劣化している、クランクケースガスケットが切れている シリンダーが緩んでいる等々 U.キャブ周辺から吸っている、キャブとシリンダーを繋ぐチューブ等が切れている、等々 |
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D使用している内に突然止まる | |||
1.電子ポイントの不良の場合 2.エアー抜き装置の詰りで燃料タンクに空気が入らず、キャブに燃料が行かなくなる 3.スイッチのコードやアースコードの被服が禿げていて何処かに接触する。 4.高圧コードの何処かが切れていて漏電している。 5.燃料不良(古い燃料、あるいは燃料に水分が混入している、ペットボトルで保管している等々) 6.エンジンが焼き付いた場合も突然止まります |
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E作業後スローにするとスローを維持出来ずに止まってしまう | |||
1.Aの5・6の場合 2.キャブ内部の不良の場合。 3. オイルシールの劣化が大きい(この場合はエンジンも始動が悪い) 4.燃料不良(古い燃料、あるいは燃料に水分が混入している、ペットボトルで保管している等々) 5.エンジンの圧縮が弱い場合 |
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F吹き上がらない(あるいは吹き上がりが悪い) | |||
1.キャブ不良 2.燃料不良(古い燃料、あるいは燃料に水分が混入している、ペットボトルで保管している等々) 3.マフラーの詰り 4.クリーナーのゴミ詰り |
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G高速回転にならない | |||
1.キャブ不良 2.スロットルの不良 3.マフラーの詰り 4.クリーナーのゴミ詰り 5.燃料不良(古い燃料、あるいは燃料に水分が混入している、ペットボトルで保管している等々) 6.キャブレターの調整不良 |
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H高速回転にムラがある | |||
1.キャブレター内部のメタリングダイヤフラムの不良 2.Aの5・6の場合 3.燃料不良(古い燃料、あるいは燃料に水分が混入している、ペットボトルで保管している等々) 4.電子ポイント内部のプログラミングにより設定高速回転を超えると火花をカットするので ムラに感じることがある |
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Iチェーンがバーに入らない | |||
1.チェーンとバーの適合不良 2.チェーンの足が太くなっている(一度外れるとスプロケットに叩かれて足が太くなってしまいます) 写真のチェーンは写っている6つの足のうち中ほどの4つの足が潰れて変形しています、これだともうバーには入りません |
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J横にすると止まったり回転が速くなったり、吹かなくなったりする | |||
1.オイルシールの劣化 2.キャブ内部の不良 3.クランクシャフトにガタがある 4.防振ゴムの劣化や不良によりスロットルが動いてしまう |
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Kプラグの交換時期 | |||
プラグは劣化してくると電子ポイントを痛めますので、早めの交換が必要です。 電極の円柱側の磨耗を確認します、円柱頂点の1/3くらいが丸みを帯びてきたら交換時期です。 また付着しているカーボンをワイヤーブラシ等で時々除去します。 |
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Lチェーンオイルが出ない | |||
1.バーを外して本体だけにしてオイルの吐出状態を見ます、もし本体からはオイルが出ている場合は、 バーのゴミ詰りです→バーを外してバーの溝を掃除して、バーに開いているオイルの穴も綺麗にしてみてください。 2.本体より出ていない場合はオイルの通り道の何処かにゴミが詰っていることがあります。 またオイルポンプ自体の不良や、ギヤーがなめている場合もあります。 3.オイルタンクのエアー抜き装置の不良→これは比較的少ない故障です。 ※ちなみにオイルタンク内部にガソリン等を入れて掃除をしてもゴミ詰まり箇所までは残念ながら届きません。 |
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M木を切ると曲がる | |||
1.目立て不良→多くの場合これです、刃の長さと角度を揃えます、それでダメならチェーンを新しくしてみます。 2.チェーンを新しくしてもダメな場合はバーです→バーが曲がっているか、レールが片減りしています。 . |
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N2サイクルエンジンの動作 | |||
クランク室への吸入&燃焼室圧縮 | 爆発 | 燃焼後の排気&燃焼室への吸入 | 燃焼室圧縮&クランク室への吸入 |
★混合気体のクランク室への吸入はピストンの上下により発生するクランク室の正、負圧により行なわれます。 その際のバルブの役目は2サイクルエンジンではピストンのスカート部が担っています。 ★爆発と同時に燃焼室に掃気と吸入が行なわれて、クランク室にも吸入されます。 ピストンの一度の上下により4工程が同時進行していきます。 |