ビールで乾杯した後、水場堀り、便所の雪おろし、便所への通路堀り、山荘の屋根の雪おろしに取り組む。3mの積雪ともなると、いずれも重労働で、取りかかる前にはそれなりの覚悟が必要だった。水場堀りは思ったよりあっけなかったが、便所への通路作りは苦労した。苦労した甲斐があり、出来映えはなかなかのもので、春の立山アルペンルート仙ノ倉版であった。
昨日の土曜に皆さんと一緒に入荘の予定が、またもや仕事の都合で今日単独の入荘となる。関越の渋滞もなく、順調に土樽に到着。今年は雪が多い。雪は多いのだが、中里や岩原のスキー場に人影はマバラである。お彼岸ともなると、すでにスキーもオフなのだろうか。私はこれからがシーズンだというのに。
劔持宅の庭には戸田さんのニューカーが駐車してある。挨拶を済ませ、早々に出発。義治さんの「今年は雪が多いけ、関越の下は通れんかもしれん。毛渡橋まで行って登山道を行った方がいい。」の忠告を守り、車道を歩く。
関越の下は地面が出ていたが、上越線の鉄橋下は雪道で、スキーを脱ぐ必要はない。ここは、例年、僅かだが地面が見える所だ。確かに今年は雪が多い。
一本杉で一息入れる。右上の台地から雪庇が乗り出していて少し不気味だ。十何年か前の大雪の年、ここにデブリが出たこともあった。こんな所で雪崩にやられたら、洒落にもならない。と、2m先の道端の木の根本で何かが動いた。カモシカである。ジッとこちらを見ている。襲われはしないだろうが、少し不気味だ。野生の動物に睨まれるとぞっとする。やはり十何年か前の夏、妙高からの下りで、オコジョにジッと睨まれて怖い思いをしたことがあった。
カモシカの写真を一枚撮ったあと、知らん振りして通り過ぎた。何パーティーか入山しているらしく、トレースはしっかりしている。毛渡の吊り橋の渡り口に赤いザックが一つ。北尾根の取り付きに人影が見える。昨晩山荘に泊まった草加山の会のパーティーかもしれない。
吹雪の中、長ツル尾根に向かう。雪は豊富だが厳しい吹雪。左側の雪庇に注意しながら進む。鈴木さんは第一展望台から一足先に滑り始める。三人は第二展望台までと登り続けたが、展望台下でシールを外し滑降を開始することにした。新雪とウインドクラストと視界が利かない悪コンディションであったが、広い斜面では気持ちよくシュプールを描けた。
戸田さん、鈴木さんは関越の渋滞を避けて明日退荘。中林さん、相川は、「GWに、また、山荘で会いましょう。」を挨拶に、12時に退荘した。 (相川 記)