じゃず雑話
■ 名盤とは・・・・
名盤となる条件は二つあります。一つはジャズの歴史と言えば大げさですが、新しい演奏スタイルを技術開発(?)しジャズの流れを変えたもの。またもう一つは演奏スタイルの革新性はないが、演奏そのものが優れているもの、の二つです。一般的には、前者は古くはルイ・アームスロングのホット・ファイブ、ホット・セブン時代の演奏。あるいはチャーリー・クリスチャンのミントン・ハウス、チャーリー・パーカーのサボイ、ダイヤル時代の録音やマイルス・デイビスのクールの誕生とかカインド・オブ・ブルーなどでしょうか。
一方、演奏そのものが優れているため名盤扱いされているものは相当数ありまして、そのすべてを紹介することなどとても不可能なほどです。
ここではいわゆる歴史を変えた名盤のことを「歴史」、演奏が優れている名盤のことを「演奏」と呼びます。
さて、「歴史」のことです。当然ながら歴史を変えるような名盤なんてめったにあるものではありませんし、現代の耳で聴けば「この演奏のどこが画期的なのだ?」と、その革新性(録音当時としては)に気がつかないこともあります。また、中にはアドリブ展開の新しい方式を示唆するにとどまる程度で、演奏そのものは退屈なものが少なくありません。「示唆することが重要なのだ」と言ってしまえば確かにそのとおりで、新しい演奏方法を開発するのは天才的な能力なしではとてもできることではありません。そのことを充分承知の上で書いています。アルバム・レビューを拝見するとこうした「歴史」はジャズファン必携と言うことになっています。
しかし・・・。私はこうした意見に疑問を感じないわけには行きません。仮にどれほど歴史上重要なアルバムであっても、演奏が退屈では、「この演奏スタイルの始まりはこうだった」と言うように単なる「資料」にすぎないのです。はっきり言いまして、退屈な「歴史」など聴く必要はないのです。
一方、「演奏」の方はどうでしょうか。ジャズ誌のアルバム・レビューで太鼓判を押されているから素晴らしい演奏にちがいない、と思って買ったらがっかりした経験も少なからずあります。時々私は思います。アルバム・レビューは参考にはするが、購入の決め手にはならない、名盤とは他人が定義するのではない、自分で定義するものなのだ、と。
(おことわり)
ここの部分はもっと具体的なアルバム名を取り上げて話せば良いのでしょうが、いろいろサシサワリがありそうなので抽象的表現にとどめました。