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測る


私たちは日頃無意識のうちに常に『測定』を行っています。
暑いなあ。一体何度なんだ?、今日は血圧が高い、約束の時間に間にあわない。急がなくては・・・・・。
お銚子あと1本飲めそうだ・・・・これはちょっと違いますかね(笑)

気温を測るのは、小学校の理科で勉強しました。
ガラス棒のアルコール温度計です。赤く着色したアルコールが熱で膨張するのが原理です。

工業では従来からそうですが、一般家庭でも電気を使った測定器(ちょっと大げさな言い方ですが)が増えています。
温度計はもちろん、体重計もそうです。
表示部もアナログ時計のように針の動き(角度)ではなく、デジタル式が多いです。

電気を使った測定は電気計測(そのままズバリじゃ)といい、電気工学の一分野にもなっていて基本的には

●測定項目(温度、体重など)を何らかの方法で電気信号に変換する

●変換された電気信号を表示する

という具合になっています。


■測定精度

こんなことを考えたことがあるでしょうか?
スーパーでもどこでも良いのですが、お肉を500g買うとしましょう。
現在の測定器では、どんなものを使っても500gピタリを測ることができないのです。

誤解しないでいただきたいのですが決してスーパーの秤だから、というわけではありません。
スーパーの秤でも、普通のお肉屋さんの秤でも、家庭の体重計でも、健康診断に使う身長測定器でも同じことなのです。

測定には誤差がつきものです。
言い換えれば、誤差のない測定というものはありえないのです。

体重計のメーカーのホームページを見てみました。
50g単位の高精度、と書いてあります。

つまりこの体重計では50g以内の誤差がおこり得る、と言うことです。
体重が50Kgと表示されたら実際には 49950g〜50050g の範囲にあるわけです。

50Kgで±0.1%の誤差になりますね。家庭用ならこれで充分でしょう。

しかし、工業の世界は違います。0.1%の誤差では使い物にならないのです。
先ほどの体重計と同じメーカーですが、60Kgまで測れる重量計の誤差は5g。一気に10倍の精度になっています。

これなどはまだ序の口です。
ある測長機(長さを測る機械)では50mmの測定で誤差は1μm(100万分の1m・・・誤差0.002%)というのもあるのです。


■物理量

物理量という言葉にはなじみがないと思いますが、代表的なものは温度、湿度、長さ、重量、圧力、速度などがあります。重量は家庭の体重計、温度は体温計でもおなじみですね。

そうそう電圧、電流も物理量です。

測るというのは先ほども少し書きましたが、これらの物理量を電気信号に変換して、その信号の大きさを調べることなのです。
この物理量を電気信号に変換するものをセンサーといいます。

実に多種多様なセンサーがありますよ。
例をあげれば・・・・

圧力センサー
(日本キスラー)
赤外線センサー
(日本セラミック)
湿度センサー
(トウプラスエンジニアリング)

 

気圧センサー
(光進電気工業)
pHセンサー
(堀場製作所)
におい識別計
(島津製作所)

センサーは次に述べる自動制御にはなくてはならないものなのです。


■自動制御

自動制御とは対象物に対して指定した状態を維持するように操作することをいいますが、人間がその人の判断で手操作するのが手動制御、機械が自動的にその指定状態を維持するものが自動制御です。

例えば冷蔵庫内の温度を一定にしたりするのもそうですし、全自動洗濯機のように 給水→洗濯→排水→給水→すすぎ→排水→脱水 を自動的に行うのもそうです。

《注意》
この全自動洗濯機のように所定の操作を逐次進めていくものは狭い意味ではシーケンス制御といいます。
同様に狭い意味での自動制御とは、冷蔵庫の室温を一定にするようなことを指します。
ここでは工業でよく使われる温度制御について説明します。

左の図のように電熱器でビーカーの水を加熱して自動的に80℃になるよう設定しましょう。

100℃でしたら簡単です。加熱し続ければ良いのですから(笑)

この場合のフローチャートを書くと下のようになります。現在の水温を測定し、80℃以下なら電熱器に通電し、加熱します。

次第に水温が上昇し、80℃を超えたら電熱器の電源スィッチを切ります。
しばらくすると水温は下がりますので再び電熱器のスイッチを入れて加熱するのです。これを繰り返します。

自動制御の基本はどのようなものでもこうなります。

●現状の把握

●設定したレベルと現状との差を求める

●その差が0になるようにする

このように自動制御の基本は

1.現状の状態を測定する

2.あらかじめ設定された状態になるよう働きかける

3.現状の状態が設定状態になったらそれを維持するようにする

ということになります。

私たちは無意識のうちに自動制御をしています。
たとえば自動車の運転では・・・・

1.高速道路だから100Kmまで出せる

2.今60Kmだから加速しよう

3.おっと110Kmだ。速度が出すぎたから減速しよう

4.よし100Kmになった、このまま走り続けよう

と、まあ、こういうことなのです。


これは温度センサーの一種で熱電対(ねつでんつい)といいます。

その原理はここに書いてあります。

自動制御機器の一例です。

温度調節計です。
センサーの信号を受けて現状の水温と設定温度の差をチェックし、水温が設定温度に達したら電熱器のスイッチを切ります。

●以上 チノー製

温度記録計です。
一定の時間間隔で、水温の変化を紙に記録します。

↓こんな感じで記録されます。
この例のような単に電源スイッチをオン・オフするような制御を2位置、あるいはオンオフ制御といいます。これはあくまで自動制御の基本でして、それほど精密な制御ではありません。

 


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