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センサー


センサーとは我々人間でいえば、五感に相当するものです。
私達は目で見て、耳で聞いて、鼻でにおいをかぎわけ、口で味わい、さらには皮膚で圧力や気温を感じ取ります。
これが私達の『情報』です。

工業においては製造、生産管理、品質管理などにおいて、いろいろな情報を物理量を電気信号に変換するものを指します。
また最近では環境問題も大切ですので大気(排気)や水質(排水)をチェックするのにもセンサーは欠かせません。

■ 身近な製品のセンサー例

センサーは私達の身近にもたくさんあるんですよ。

製品 使用されるセンサー センサーの目的
冷蔵庫 温度センサー 冷蔵庫内の温度を検知して温度を一定にするため
エアコン 温・湿度センサー 室内の気温・湿度を検知して温湿度を一定にするため
全自動洗濯機 水位センサー 給水量を検知し、水道栓を開閉するため
光透過率センサー すすぎ具合を水の透明度で検知するため
風呂 風呂ブザー 浴槽の水位を検知してブザーを鳴らす
ガス警報機 ガスセンサー ガス漏れを検知して警報を発するため
煙感知器 煙センサー 火災前の煙の段階で警報を発するため
防犯 ガラス用センサー 窓ガラスやショー・ウィンドウに取りつけて異常振動を検地する
人体感知センサー 体温を感じて人の出入りを知る
リモコン 赤外線センサー 電気器具の電源や、いろいろな設定を変更する
自動車

 

超音波センサー 前方、あるいは後方の障害物を検知する
ノックセンサー ノッキングによる振動を検知する
水温センサー コンピュータに入力され、燃料噴射量を制御する
気圧センサー コンピュータに入力され、燃料噴射量を制御する
商店 赤外線センサー 来客があるとチャイムを鳴らす
道路 速度センサー スピードの出しすぎを取り締まる

■ センサーの原理

センサーは家庭内にも多いですが、工業の世界ではそれこそうんざりするくらいに多種多様なものがあります。
それを一つ一つ説明することはとうてい不可能ですので、ここでは家庭でも工業でも多用される温度センサーであるサーミスタと熱電対について書くことにします。どちらも温度の変化を電気に変換し、その後の処理をおこなうのです。

●家庭では・・・

家庭内で温度を検知する必要のあるものは、冷蔵庫、エアコン、ファン・ヒーター、コタツ、湯沸器(風呂)などでしょうか。
いずれも数℃〜数十℃のごく狭い温度範囲になります。
家庭用機器の温度測定で多用されるのはサーミスター・センサーというものです。


YSI社

サーミスタ(Thermistor)とは Thermally Sensitive Resistor の略で、一種の電気抵抗なのです。
その特性(抵抗値)は温度とは反比例する性質をもっています。

《特長》
1.小型、低価格
2.高感度(2/10000℃程度も測定可能)
3.製品ごとのバラツキが多く、品質が安定しない。

●工業では・・・

工業製品にもよりますが、温度管理はそのまま製品の品質に重大な影響を与えることもあります。
したがいまして工業においては、価格もさることながら測定精度がもっとも重要な要素になってきます。

1.熱電対(ねつでんつい)

工業での温度測定は熱電対を使うのがもっとも一般的です。

熱電対とは、2つの異なる金属線の両端を接続して、この2つの接点に温度差を与えると金属線には電流が流れることを応用したものです。

この現象は、1821年にゼーベックによって発見され、ゼーベック効果と呼ばれています。


片端を開放すれば、電圧計で温度に応じて電気が発生することが確認できます。

ここで温度=電圧の変換表(電圧が○Vの時、温度は◎℃)があれば、電圧を知ることによって温度がわかるわけです。

この電圧(熱起電力)は組合わせる金属によって変わってきます。
現在工業では下記のような組合せの熱電対が使われています。

呼び方 金属の種類 使用温度範囲 過熱使用限度

特長

K クロメル−アルメル -200℃〜1100℃ 1200℃ 温度と熱起電力との関係が直線的であり、工業用として最も多く使用されている
J

鉄−コンスタンタン

0℃〜 600℃ 750℃ E熱電対に次いで熱起電力特性高く、工業用として中温域で使用されている 
T

銅−コンスタンタン

-200℃〜 300℃ 350℃ 電気抵抗が小さく、熱起電力が安定しており、低温での精密測定に広く利用されている 
E

クロメル−コンスタンタン

-200℃〜 700℃ 800℃ JISに定められた熱電対の中で最も高い熱起電力特性である
N

ナイクロシル−ナイシル

-200℃〜1200℃ 1250℃ 低温から高温まで、広い範囲に渡って熱起電力が安定している 
R

白金13%ロジウム−白金

0℃〜1400℃ 1600℃ 高温での不活性ガス及び、酸化雰囲気での精密測定に適する。精度が良く、バラツキや劣化が少ない為、標準熱電対として利用されている
S

白金10%ロジウム−白金

0℃〜1400℃ 1600℃ 高温での不活性ガス及び、酸化雰囲気での精密測定に適する。精度が良く、バラツキや劣化が少ない為、標準熱電対として利用されている。
B

白金30%ロジウム−白金6%ロジウム

0℃〜1500℃ 1700℃ JISに規定された熱電対で最も使用温度が高い。

2.非接触測定

熱電対は測定する対象物の中に入れて使います。つまり対象物(液体や気体)の中に入れて接触させるのですが、それとは違って非接触で温度を測定することも可能です。

このような写真をご覧になったことがあるでしょうか?
これは手の甲の温度分布です。同じ色のところが温度(体温)が同じなのです。

人間に限らず物体は常に赤外線を放射しています。
その具合は物体の温度によって変わるのです。

ですからこの赤外線を検知すれば、離れていても物体に接触することなしで温度が測定できるのです。


日本アビオニクス


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