電子顕微鏡
■光学式顕微鏡の限界
一般的な顕微鏡・・・昔理科の実習に使った顕微鏡・・・は光の反射を利用する光学式顕微鏡です。もちろん現在でも多く使用されています。
しかし科学が進むにつれて光学式顕微鏡では能力の限界が出てきました。
光学式顕微鏡の分解能(どれほど細かいものが見えるか)は次の式で表すことができます。
分解能 = 0.61 × 光の波長 ÷ (レンズの屈折率 × sin(光の入射角度))
ここで分母は通常1.5程度になります。可視光線の波長は短くとも0.4μm(100万分の0.4m)ですので、結局光学式顕微鏡の分解能は0.2μm(1/500000m)位が限界値になるのです。
このため光に頼らない、別の原理に基づく顕微鏡が必要になってきました。
その一つが電子顕微鏡なのです。
電子顕微鏡は大きく分類して走査型と透過型の二種類があります。ここでは走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope SEMと呼ばれる)について少々説明します。
蝶の鱗粉 (どちらも日本電子)
■二次電子
物質(試料)に電子をあてると、その物質からいくつか放出されるものがあります。この放出された電子を調べて画像にするのが電子顕微鏡なのです。
放出されるものは電子、×線、光などです。 電子顕微鏡はこのうちで電子(はじめに当てられる電子と区別するために二次電子といいます)を調べるものです。 試料はそのままですと電子を放出しにくく、はっきりした画像になりませんので金属で極めて薄いメッキをします。 |
電子銃から放出された電子は、集束レンズ、対物レンズを通って試料に当たります。 電子の当たり方はブラウン管のように1点ですので試料に対して横に、縦に移動して行きます。これが走査です。 試料に当たった電子によって、試料からは二次電子が放出され、それを検出器でキャッチしブラウン管に表示させるのです。 光学式顕微鏡では倍率は約1800倍が限界ですが、電子顕微鏡では約10〜1,000,000倍もの倍率が可能です。
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