Index ゴロピカ工房 目次

電気とは


電気は感じることはできますが(早い話が感電)、目でみることはできません。テレビが映っていたり、照明がついていてはじめて電気が存在することがわかります。まったく厄介なものです。


■電子と電荷

電気を知るには、まず電子と電荷のことを説明しなくてはなりません。いきなり難しい話で恐縮です。

物質を構成する最小単位は原子ですが、原子は中心となる原子核と、その周囲を回転する電子から成ります。原子核の中にある陽子はプラス、電子はマイナスの電気を帯びています(帯電状態)。
この帯電状態の物質は
電荷(でんか)を持つといい、その大きさの単位はQ(クーロン)といいます。

 

多くの物質では陽子も電子の数は一定で、電子は原子核の周囲を回転するだけですが、何かの拍子に軌道を離れる場合があります。この軌道を離れた電子を自由電子といいます。

電気とはこの自由電子の動きをいうのです。
もう少し突っ込んでいいますと、例えば電線の中を自由電子が移動すれば、それが電気の流れ(
電流)となるのです。電流とは電子の移動なのです。


しかし厳密にいえば電流と自由電子の流れは違うのです。どう違うのかといえば・・・・・。

理科の実験で乾電池に豆電球をつないだことがあると思います。ここで青い矢印が電流の向きで、緑の矢印が電子の向きです。(この電子とは自由電子のことです。今後電子とは自由電子のことと考えてください)

電子(青)はプラスヘ引きつけられる

 

電子はマイナスの電気を持ちますからプラスの電気の方に引き寄せられます。一方電流はプラスからマイナスへ流れます。
このように
電子の流れと電流の流れは向きが逆なのです。

何もこんなにややこしいことは言わずに、電子と電流の向きは同じだとしても大勢に影響はないのですが、一応このようになっています。


■導体と絶縁体

早い話が電気を通しやすい物質を導体で、通しにくい物質を絶縁体といいます。
ではどうして導体は電気を通しやすいのか。

導体の中に電子(自由電子です)が入ってくると、その物質の電子を押しのけるのです。すると押しのけられた電子は別の電子を押しのけます。
野球で満塁のところ打者がヒットを放って一塁へ、それまで一塁にいたランナーは二塁、二塁にいたランナーは三塁、三塁にいたランナーはホームベースへ移動するようなものです。
物質のなかでこの現象(電子の入れ替わり)が連鎖的に次々に起きることで『電子の流れ』になるのです。

もうお分かりかもしれませんが、導体とはこの電子が軌道を離れやすい物質(自由電子になりやすい電子が多い)で、絶縁体とはこの電子が他の電子を押しのけにくい、いいかえれば原子核と電子の結びつきが強力な物質(自由電子になりにくい)を指すのです。

導体 鉄、アルミニウム、金、銀、銅、ステンレス・・・・
絶縁体 瀬戸物、ビニール、プラスチック、ゴム、ガラス・・・・

導体と呼ばれるものは一般に電気抵抗が極めて低いものです。しかし0ではありません。0の物質は超伝導と呼ばれています。


■電流

さ〜て、また話が難しくなります。
電子1個の電荷は1.6×10-19Q(クーロン)です。ちょっと想像がつかないくらい小さいですね。

電流とは電子の流れであると書きました。正確には電流の大きさとは、1秒あたりの電荷(電子)の移動量を指します。
具体的には
1秒間に1クーロンの電荷が移動する時、1A(アンペア)の電流が流れるといいます。

これより 1A(アンペア)の電流は 1 ÷ 1.6 × 10-19 = 6.25 × 1018個の電子が移動することになるのです。これも想像できないほどの個数です。

電気の流れは向きが逆とはいえ電子の流れですが、電流が生ずるためには電子を吸引する力が必要です。この力を電圧といいます。単位はV(ボルト)です。また、電圧と電流の積(掛算)を電力といいます。単位はW(ワット)です。

一方、電荷があっても移動することがない電気を静電気いいます。


頭が痛くなりましたか?まだまだ序の口ですよ(笑)
ちょっとまとめてみましょう。
電子は電荷を帯びていて、電子の流れが電流、電子を引きつける力が電圧です。

たとえ話をしましょうか。

水路に水が流れているとします

電流とは毎秒流れる水の量です

電圧とは水圧のことです

電力とは流れる水にできる仕事(例えば水車を回す)の大きさなのです

水の量が大きいほど、水圧が高いほど大きい水車を回すことができます

よろしいでしょうか? では単位を書きましょう

電荷 : Q(クーロン)

電圧 : V(ボルト)

電流 : A(アンペア)

電力 : W(ワット)

電力(W) = 電圧(V) × 電流(A)

アンペアもボルトもワットも電気工学の発展に貢献した偉大な科学者の名前です。(教科書にはアンペアではなくてアンペール、ボルトではなくてボルタと書かれています。)

掃除機でもドライヤーでもいいですから、ちょっと取扱説明書を見てください。あるいは本体のどこかに書いてあります。
電圧100V、電力1000Wなどと書かれた「仕様」があるはずです。
100Vで1000Wなら、10Aの電流が流れるのです。はい、一秒間にですよ。電力も一秒間に1000Wです。

どんな家にも電柱から電気を取り込んでいますね。
取り込んでいる付近の壁には
積算電力計という物が取り付けてあります。

これはその家の1カ月間の消費電力をカウントする機械です。そして1秒間に何アンペアの電流が流れたか休みなく監視しているのです。消費電力の単位は1秒では短すぎるので1時間あたりの消費電力を使います。Wh といいます。


Index ゴロピカ工房 目次