平成13年2月掲載

●三木助死す                         H13.2.1更新  
  除夜の鐘、檀家の年回りが終わり、やっと一息つけるかと思ったら、保育園が
始まり休む暇なし。正月早々、同世代の落語家桂三木助自殺の報あり、驚く。10
年以上前であるが、県曹洞宗青年会でチャリティー落語をしていた時に会ったとい
うか、見たことがある。その時の印象は、ダンディーでおしゃれな落語家というもの
だった。二十代で父親である先代の「三木助」を襲名したのが、プレッシャーとなっ
たのか?
  今の時期、鐘を6時に撞いて東の空の朝焼けを見ていると、先代三木助が確か
芸術祭賞をとった「芝浜」の朝の情景を思い出す。              合 掌

 

●ひろさちや氏のオカネ
  昨年であるが、宗教評論家のひろさちや氏が自宅のタンス貯金1億数千万円を
盗まれた。ひろさちやとは、面白いペンネームである。「ひろ」は、英語のヒィロゾヒィ
ー(知を愛する)、「さちや」はインドのサンスクリット語のサティア(真理)に由来する
と、昔どなたかに教えられた。銀行も倒産する時代なので現金で持っていた、とは
ひろ氏の言い訳。これでは真理を愛しているのではなく、お金を愛していると思われ
ても仕方ない。

 

●天才の責任
  佐高信著「黄砂の楽土……石原完爾と日本人が見た夢」を読む。著者は石原と
同郷であるが、手を抜くことをせず、満州事変の立案者である石原の戦争責任を厳
しく責める。満州事変から敗戦まで、歴史の本で読むとつまらないが、石原の焦点
を当てることにより、興味深く学べる。
石原は天才と言われ、陸軍のエリート中のエリートと言われたが、日本最大の宗教
「学歴宗」の信者である私たちはどうも天才やエリートという言葉に弱い。天才でも
エリートでも間違えることが多多ある、ということを忘れてはいけない。

平成13年3月掲載

●5年ぶりのカンボジア                     H13.3.1更新
  5年ぶりにカンボジアに行ってきました。今回は、有志と共に小学校を寄贈したその
贈呈式のためでした。前回はスタディーツアー(悪路と現地の人と同じような食事のた
め、私は拷問ツアーと言っています)ということで、ひどいゲリに悩まされましたが、今回
は無事でした。5年ぶりの首都プノンペンは信号がつき、バイクが多くなっていましたが、
地方では余り変わりはないようでした。
  カンボジア人は「運命次第」という言葉で、全て済ましてしまう、というガイドの説明で
した。運命次第とは、全てこの世のことは梵天様が決めていることなので人間の力では
どうしようもない、という達観のような投げやりのようなものなのです。例えば、目的地に
決められた時間で着くかどうか、と聞けば「運命次第」という答えです。時間は行ってみな
ければ分からないということなのです。
  現在のカンボジア仏教界では、保守派だけでなく、開発(かいほつ)僧と呼ばれる人た
ちも出てきました。自分達の力で生活を変えていこう、というこのような行動派の出現に
将来への希望が持てるでしょう。

 

●宿敵「清水ちなみ」
  帰国後に最初に読んだのは、清水ちなみ著「じいちゃんの伝説」。清水とその仲間の
OLたちは「オジさん改造講座」というムカつく本を出しているのだが、この本で指摘されて
いるオジさんらしさは、ほとんど私に当てはまる。だれか「OL改造講座」を出してカタキ討
ちをしてほしい。
  しかし、この「じいちゃんの伝説」は面白い。ケチじい、絶倫じい、馬に乗って略奪婚を
したじい等、笑える話を集めたが、戦後四国巡礼を繰り返し、「兵隊さん、かっこいー」と
孫が言ったら平手打ちにしたじいちゃんの話は、笑えない。
  因みにわが家のじいちゃんの伝説。「俺(住職)は、小学生のときから禁煙している。」
さて、皆さんの家では、どんな伝説があるのでしょうか。

平成13年4月掲載

 

●政治と宗教                           H13.4.1更新
  自民党参議員のドン村上正邦氏、その元秘書だった小山参議員逮捕。二人とも「生
長の家」が選挙の応援をしなくなったので、KSDに乗り替え、今回の事態となる。しかし、
この人たちのしてきたことを見ていると、信仰とは何か、と言いたくなる。結局、政治屋に
宗教が利用されたということなのだろう。宗教団体も票を出すだけでなく、チェックも必要
である。
  村上氏のコメントで「刑を終えたら右翼にでもなるか。」というのがあったが、この言葉
は右翼に失礼である。

 

●バーミヤン破壊
  アフガンでは貴重な仏教遺跡であるバーミヤンの大仏が、イスラム過激派に破壊され
た。昔、旅行をした人から、素晴らしいのでアンコールワットとバーミヤンには、絶対一度
は行くべきだ、と言われていたので残念。
  国内では、イスラム教への非難や宗教が政治に介入するとロクなことはない、という論
調が強い。しかし、毛沢東時代の中国でも、ベトナム国境よりにある雲南省などでは、仏教
寺院の破壊が凄まじかったと聞くが、日本では非難されなかった。歴史も文化も異なるチベ
ットを中国が、占領していても日本では問題にされない。

 

●桶川ストーカー事件
  この事件の犯人を警察より早く割り出したフォーカス記者清水潔氏の「遺言」を読む。 
警察の傲慢さ、無気力捜査が、告発されている。記者クラブ加盟の大手報道機関の記者
は、警察とゆちゃくしている。事件記者など存在せず、警察記者しかいない、との指摘も鋭
い。
  他人ばかり責められにくい。マスコミの興味本位の報道に乗ってしまった私も反省しなく
てはならない。

平成13年5月掲載

 

●金正男氏、極秘来日                      H13.5.7更新
  北朝鮮の次期最高指導者になるといわれている金正男氏が偽造旅券により来日し
たが、入管で見つかり強制送還される。来日理由はなんと東京ディズニーランドを見た
かったから、とのこと。せっかく来てくれたのだから、みんなで接待攻勢を掛け、日本に
好印象を持ってもらった方が国益になったのではないか。
  わが国が誇る優秀な国会議員の超党派接待チームのメンバー
   司 会    西川きよし
   接待係    小池百合子・小淵優子
   余 興(プロレス)  馳議員VS松波議員
       (宝塚歌劇) 扇党首&公明党の松議員
   宴会部長  森喜郎

 

●破滅型人生
  村松友視著「黒い花びら」を読む。歌手水原弘の一生を描いたものである。昭和34
年第1回レコード大賞を「黒い花びら」(作詞 永六輔  作曲 中村八大)で受賞。その
後、ヒットにめぐまれなかったが、8年後「君こそわが命」でカムバック。しかし、夜の豪
遊により、借金に追われ、酒で身体を壊し、四十二才で亡くなる。
  当時、銀座で今に換算すれば、1日で300万円を使ったり、ついて来る人にはドン
ドン奢ってしまったらしい。いろいろな人の力を得て、カムバックするも、リバウンドによ
り、夜の豪遊は終わらず、最後はウィスキーにタバスコを入れて飲んでいたという。水原
の借金は、今の芸能人の株や土地に手を出しての借金と異なり、みんなに奢っての借
金であった。
  阿久悠著「愛すべき名歌たち」の中にも、水原のことが出てくるので引用する。『……
後年、偶然水原弘さんに会った。地方のホテルのバーで、ブランデーのグラスを五つ並
べて飲んでいた。ぼくにいい歌がほしいといい、ぼくも気持ちよくうなずいたが、結局、そ
の約束は果たせなかった。』

平成13年6月掲載

 

●ハンセン病                             H13.6.4更新
  ハンセン病裁判の判決について小泉首相の判断により、国が控訴を取り止めた。
  ハンセン病というと高山文彦著「火花」を思い出す。若くしてハンセン病により亡く
なった作家の北条民雄の生涯を描いたものである。その中に、北条が父親に連れら
れて多摩の隔離施設に行く時の描写がある。駅からタクシーに乗って施設まで行こう
とするが、運転手は病気が移るからと荷物だけ乗せ、北条と父親は4Kmの道を歩い
て行かされた。この時、北条の戸籍は既に抹消されていた。親子はどんな気持ちで
歩いたのだろう。
  高山は親族に迷惑がかかることを思って、北条の生家を明らかにしていない。こ
の判決により、明らかにされるのだろうか。
  さて、判決では政府の責任は素より、立法府の国会議員の責任も認めている。口
だけで誤るのではなく、全国会議員が6月のボーナスを一部でいいから賠償金に使っ
てもらってはどうか。結局、議員はカネと票にならないことに対しては、動きが鈍いと
いうことなのだろう。

 

●鎌田先生亡くなる
  確か大学2年の時、仏教史の講義を拝聴した。当時、先生は東大教授であり、駒大
に非常勤講師として授業を持たれていた。初めて見る東大教授であったが、重厚さとい
うよりさばけた人という印象だった。この授業は、講義じゃなくて仏教漫談だよ、と言って
おられたが、ユーモアある語り口に受講者は仏教への関心をかき立てられるのだった。
  ご専門の分野で学士院賞を受賞されたほどの先生であったが、神話の多い方でも
あった。巨根伝説、酔っ払っての路面電車停止事件等、人間味のある大学者であった。
享年73。                                          合 掌

平成13年7月掲載

 

●大阪池田小学校                      H13.7.13更新
  6月に起こったこの事件により、学校はてんてこ舞いである。市は、1日に登校・昼
・下校と3回のパトロールを要望している、とのこと。我が小学校は、登校時は交通指
導員さんと一部の保護者、昼は先生、下校時は保護者という割り振りに落ち着いた。
  しかし、12日には不審者の情報が入り、一時緊張するも、直ぐに渋川で逮捕され、
一安心。
  ある小学校で、包丁を持った犯人が進入したとの訓練を抜き打ちで行ったところ、
児童がびっくりして、体調を崩す子が出た、との報道あり。こんな訓練を堂々と教育現
場で行う校長とは、どんな人なのだろう。イエローカード!

 

 

●ユーゴスラビア
  サッカーのキリンカップも日本の優勝に終り、コンフェデ杯の準優勝、稲本や小野の
欧州クラブへの移籍等、来年のW杯へ向けて明るい話題が一杯である。
  しかし、実力がありながら暗い話題しかない国もある。木村元彦著「悪者見参………
ユーゴスラビアサッカー戦記………」を読むと、ユーゴスラビアの悲劇がよく分かる。私
たちは、ユーゴを民族浄化と称して、分離独立を目指す人たちを殺すひどい国だと思い
込んでいた。だから、空爆やW杯の出場停止も当然と考えていた。ユーゴは悪人国家で
あると。実際は悪役にされてしまったのだ。著者は、現地に潜入し、詳細なインタビュー
で真実に迫った好著である。
  ・パリでの停戦合意の寸前で、アメリカはユーゴ国内に基地の設置等、ユーゴの飲め
   ない提案をしてきた。
  ・NATO軍は、空爆にウランを使用した。
  ・クロアチアの英雄となったボバンが、自国のサポーターを守るため、セルビア人警官
   隊になぐりかかった事件も報道とは異なっていた。最初クロアチア側より、セルビア
   人側に投石があり、セ人はグランドに逃げた。それをク人が追いかけた。少数のセ
   人を守る為、警官隊は戦った。そこにボバンがなぐり込んだのだ。この場合、悪い
   のはク人だが、セ人が悪者にされてしまった。
以上の他にも、目を見張るような指摘が随所にある。
ドイツは軍人のサッカーであり、ユーゴは芸術家のサッカーであると云われたものである
が、キリンカップでのユーゴ代表を見ると、悲しさよりも痛ましいといった感じがする。

平成13年8月掲載

 

●マキコの応援演説                       H13.8.1更新
  参議員選も終了、結果はマスコミの予想通り自民党の勝利となった。わが群馬県で
は自民が2議席独占を目指して、中曽根派が現職の県会議員を新人候補として担ぎ出
した。結果は落選。
  その新人女性候補(36才)の最後の応援演説にあの田中眞紀子外相が来県。ここ
で一気にムードを盛り上げ、ラストスパートで逆転を狙うが、失敗する。なんと外相は盛り
下げ演説をぶってしまったのだ。
  「市会議員や県会議員、政治家の娘だからっといって国会議員を目指してもダメ。
  税金のムダ使い。」
  (正にこの候補者のこと)
  「候補者に今さっき会ったの。名前はなんて言うの」等
  自民党の役員会でも、「候補者に失礼だ」「外相のせいで1議席減った」等の意見が
出された。
  しかし、外相の言いたかったことは、若い女性県議、父親が元代議士ということで、お
だてられて立候補してはいけない。もっと信念を持って、政策を勉強してからでないと国会
では通用しません。私(外相)などは、官僚・マスコミ・党内外の議員と命がけで戦っている
のよ。あなたには、できるの?もっと自分を鍛えてから立候補しなさい。

 

●靖国神社
  この時期になると、総理大臣の靖国神社の参拝問題がマスコミで大きく取り上げられ
る。公式参拝がいけない理由。
  1.憲法第20条の政教分離の原則に違反する。
  2.中国や韓国との友好関係が悪化する。
  3.右傾化に拍車がかかり、また戦争が起きる。
  4.明治以来、賊軍と言われた人たちや戦病死した軍人、空襲等の戦争犠牲者がま
    つられていない。等
  小泉総理は亡くなられた方々に哀悼の意を表したいだけで、他意はない、と言っている
が、回りの人たちが行かないように説得している。
  思うに、政党や国家間の政治問題とされ、即ちこの問題により自分たちの立場を有利
にするために利用されているような気がする。政教一致の政党が、政教分離を主張するの
はおかしい、と多くの人は思っているのでは。
  最後に国立の無宗教の墓地建設の案もあるが、霊をまつるということは宗教行為であ
る。無宗教ではなく、全宗教というべきだろう。
以上の他にも、目を見張るような指摘が随所にある。
ドイツは軍人のサッカーであり、ユーゴは芸術家のサッカーであると云われたものである
が、キリンカップでのユーゴ代表を見ると、悲しさよりも痛ましいといった感じがする。

平成13年9月掲載

 

●靖国神社2                              H13.9.1更新
  あれだけ騒がれていた小泉総理の靖国神社参拝問題も、15日を外して13日に行った
ことで、一件落着。正に足して2で割る、政治的な決着となった。
  私としては15日に参拝をして、その後中国や韓国の記者を含めた記者会見をしてほし
かった。官房長官の談話の発表ではもの足らない。
  残された問題点
   1.政教分離の概念、政党と宗教団体との関係の境界線が曖昧である。総理は千鳥
     ガ淵では、合掌していた。これも、厳密にいうと宗教行為になってしまうのではない
     か。
   2.中国では政敵の墓を暴くという風習があるというが、日本ではそのようなことをしな
     い。民族学や宗教学からの考察も必要なのではないか。ケ小平が、遺言で墓を造
     らなかったのは、将来体制が替わった時に墓を辱められるので、散骨した、という
     記事を読んだことがある。
   3.A級戦犯の戦争責任は当然追求されるべきであるが、それは紙の上であって、骨
     まで責任を問われるのはかわいそうな気がする。(骨は無いのだが)
     A級戦犯たちは処刑後、遺族たちにどこの斎場で火葬されたのかも明らかにされな 
     かった。骨も何処に散骨されたのかも知らされなかった。
   4.総理はダメだが、閣僚や国会議員、知事ならば問題はないのか。
   5.最大の問題は、盛り上げるだけ盛り上げて、終わってしまうと、何も報道しないマスコ
     ミとそのことを不思議に思わない国民である。

 

●ベストセラー「模倣犯」上・下
  宮部みゆきを読むのは「火車」「理由」についで、3作目である。何しろ上・下2巻で14
00ページ余りと長いが、文章は読み易い。
  公園で死体の片腕が発見されてから、ストーリーに引き込まれていくが、最後の犯人
が逮捕される場面が、つまらなかった。もう一つの殺人事件の犯人の娘が、被害者の少
年に刑務所の父親に会って、減刑嘆願に協力してほしいと付け回す筋もチョッと現実離れ
しているような気がする。
  武上刑事の元同僚で現在設計士の人物が、家の構造から犯人を割り出す場面や室内
の写真からアジトがどのような家かを推理する箇所は、おもしろかった。
  余りにも長いので、前に読んだ2作の方が、私としては推薦できる。

平成13年10月掲載

 

●アメリカ同時多発テロ                         H13.9.1更新
  アメリカで起こった同時多発テロにより、アフガンへの攻撃が秒読みとなった。果たして
この報復により、テロは終わるのだろうか。
  確か法然上人だと思ったが、「恨みは恨みによって終わらず」という言葉があった。例え
ば首謀者だと言われているビンラディン氏やタリバン政権を倒しても、新たなテロが起こる
危険がある。根本のパレスチナ問題を解決しないと紛争は永遠に続くのではないか。
  日本の自衛隊の派遣についても、慎重に議論しないと戦前のように無責任体制のまま
泥沼にはまってしまう危険がある。一度戦闘地域に出て行けば、戦争と同じことである。日
本だけが勝手に帰ってくれば、それこそ世界中のもの笑いのタネになってしまう。


●ミャンマー難民支援
  約130もの民族が暮らしているミャンマーでは、軍事政権の少数民族迫害により、タイ
国境に約14万人もの難民が生活している。山岳地帯のため、冬場は寒く呼吸器系の病気
になる人が多く出るそうだ。そこで、社団法人シャンティ国際ボランティア会の呼び掛けに応
じ、他団体と共に「冬物衣料を贈る運動」に参加した。
  9月3日の地元紙上毛新聞に掲載されると、朝から問い合わせの電話でパニック状態と
なった。翌日から少なくなったとはいえ、20日の受け付け終了日を過ぎても電話があった。
送料カンパを付けて載いても、これほどの協力者があるとは、本当に日本は豊かであり、衣
料も余っている状態なのだ。こんな現状では衣類に関しては、消費が増えるわけはないと思う。
  群馬県の合計が約6千着、全国で14万人集まった。これで少しは難民の人たちに役立っ
たことと思う。ところでアフガン難民の人たちは、この冬をどう過ごすのだろうか。

平成13年11月掲載

●聖戦VS正義                              H13.11.1更新
  アメリカで起こった同時多発テロの報復攻撃が、続いている。湾岸戦争の時のように、
圧倒的な軍事力を誇る米軍が、直ぐに制圧するものだと思っていたが、そうではないよう
だ。
  ベトナム戦争は5万人の戦死者を出して、やっと終結された。今回はそのようにならな
いことを願うのみである。
  やはり、武力制圧ではなく、ガンディーが行った非暴力主義がいいと思う。一見消極的
なようだが、非暴力の抵抗により、相手がいくらテロをしてもテロの意味を無くしてしまう。
そして、相手に自分たちの悪の自覚を促し、空しさを分からせるのである。


●西木正明著「其の逝く処を知らず」   ・・・阿片王 里見浦の生涯・・・
  アフガンでも戦費調達の為、麻薬を大量に栽培し売っているという。実は日本も先の戦
争で同じことをしていたことが、この本に書いてある。
  陸軍の特務機関の元締めとして、里見は活躍し、その金は軍の資金としてだけでなく、
岸信介の選挙資金にもなっていた。
  当然、戦争犯罪人として裁かれなくてはならない人物であったが、裁判でアメリカの秘密
を暴露されることを恐れたGHQにより、逮捕はされたが、戦犯として指定は受けなかった。
取り調べ官と里見との言葉のやりとりも面白い。
  戦後、岸等を利用すれば、もっと豊かにすごせた筈であるが、里見は隠遁生活を送った。
児玉が戦中のコネ等を利用し、戦後日本の黒幕といわれながら、惨めな最後となったのとは
対照的であり、すがすがしささえ感じられる。
  アフガンでもそうであるが、戦争は武器で人を殺すだけでなく、麻薬を広めて更なる犠牲者
を出してしまうのである。

平成13年12月掲載

●曹洞宗のラマダン                              H13.12.1更新
  早いもので、今年もあと1ヶ月となりました。今年最初のコラムで、若手落語家桂三木助の死
について書きましたが、今一番うまいと云われた古今亭志ん朝も亡くなりました。又、11月
の日経新聞「私の履歴書」欄で師匠の桂米朝が弟子の枝雀自死の原因を語っています。これを
読むと悲しくなります。とにかく、落語ファンの1人としては残念な年になりました。  
  さて、アフガン戦争は米軍等の一方的な勝利に終わりそうです。ラマダン中なのでもっとイ
スラム諸国の反対があるのかと思っていたのですが。  
  ラマダンとは30日間、日の出から日没まで食事を摂らず、極端な人はツバさえ飲まず、礼
拝を繰り返すそうです。そのことにより、1年間に犯した罪が償われ、神に会えるといわれて
います。
  ラマダンと同じではないのですが、曹洞宗でも12月1日から8日までの間、接心会(せっ
しんえ)が行なわれます。お釈迦さまが1日から坐禅を始められ、8日にお悟りを開かれたこ
とに因んでいます。一般の寺院では行なわれませんが、本山や修行道場では、この間坐禅三昧
の日々を送り、外出は禁止されます。そして、お悟りを開かれた日、8日を成道会(じょうど
うえ)といい、特別な法要を行ないます。


●今年読んでおもしろかった本
 ・「中陰の花」 玄侑宗久著 文藝春秋
  霊魂という微妙な問題をオカルトでも無信  論でもなく、正面から取り上げている。
  
 ・「舵を切れ」 田中秀征著 朝日新聞社
  『審議会は官庁の腹話術の人形のようなものだ。』等、歯切れのイイ指摘が多い。どうして田中
  は選挙に弱いのか。
 ・「おかしな男 渥美清」 小林信彦著 新潮社
  渥美も寅役が当たるまでは苦労した。伴淳  にイジメられていたとは。 

平成14年1月掲載

●政治とカネ                                 H14.1.1更新
 新年早々、「噂の真相」で掲載されていた芸能プロダクションの脱税事件に連して加代議
士の秘書が、脱税容疑で逮捕される模様。
  公共事業を建設会社に世話をして、バックをもらうというもの。中谷防衛庁長官の父親が
経営する高知県の建設会社が、山形県の仕事を仲介してもらったらしい。因みに、中谷長官
は、加藤氏の子分である。
 この種の犯罪は、繰り返されるので、地元の会社が公開のクジ引きで決めたらどうか。
 政治家やめます」小林照幸著 毎日新聞社この本は、自民党愛知県選出の久野統一郎代議士
の十年の記録。性格が向かないというで辞めてしまった。普通の「人の感覚では、政治家は勤
まらない。そして、政治とは政策ではなく、選挙であるということが分かる。選挙区の有力者
や幹部に盆暮れの挨拶に、カネを配ることは常識となっているようだ。これと秘書が多いため、
カネがどうしても必要になってしまう。選挙にカネがかかるというより、政治活動にかかって
しまうらしい。票のためとはいえ、対立する創価学会以外の複数の宗教に入信する話は、悲し
い。

平成14年2月掲載

 

●バランス                                  H14.2.1更新
 絶妙のタイミングで、元札幌国税局長、加藤代議士秘書、鹿野代議士元秘書が、逮捕。
 官・与党・野党というバランスといい、報道される順序といい、絶妙のバランスである。
 この話題から少し経つと、巨泉参議員の辞職と田中外相の更迭。巨泉氏の記者会見を見
ていると、江川卓氏の巨人退団記者会見を思い出す。理路整然と話してはいるのだが、何
か納得できない印象を受けた。確か巨泉氏は江川ファンだったけ。
 田中外相・野上次官の辞任に対して、問題の張本人である鈴木代議士は、議運委員長辞
任だけでは、甘い裁きだと思う。
●「真相はこれだ」
 祝康成著 新潮社
 過去に起きた8つの大事件の追跡ルポ。
 特に3億円事件の犯人で誤認逮捕された人の悲劇と和田心臓移植事件の記事が印象深い。
 犯人に間違われた人は、マスコミにプライバシーを暴かれ、週刊誌の「あの人は今」シ
リ―ズでは必ず載せられ、職も長く続かず、現在は行方不明とのこと。
 事件発生当初、遺留品が多かったので、直ぐに犯人を逮捕できると警察と思っていたら
しい。マスコミの責任も大きい。
 和田心臓移植事件については、疑惑だらけの記述となっている。検察も医局員全員逮捕
して自供に追い込む作戦も考えが、患者という人質があったのだ。読んでいて恐ろしくな
るルポである。和田医師は、現在都内で開業しているそうである。

平成14年3月掲載


●仁義なき戦い 外務省編                       H14.3.1更新
  田中外相更迭事件をヤクザの抗争的に見ると次のようになる。
  外務省一家(野上総長)の縄張りを狙うイケイケドンドンの小泉組(小泉純一郎組長)は,
武闘派で名高い田中組長を鉄砲玉として送り込み、田中組長あばれまわる。危機感を持
った外務一家はあらゆる手を使って、田中組長を潰そうとする。縄張りを共有する橋本組
の武闘派鈴木組長と連携して試みるが、なかなかうまくいかなかった。カタギの衆を味方に
つけた田中組長は強硬で、抗争は膠着状態となっていた。
  そんな時、鈴木組長と野上総長の弱みを知った田中組長は、そのネタで2人を追い込
もううとした。抗争は激しさを増した。橋本組の長老青木組は、小泉組長に鈴木・野上と田
中の相打ちを提案した。時あたかもマフィアの大親分ブッシュの来日を控えていた。客人の
前での抗争は御法度である。
  小泉組本部長の福田組長も派手な田中組長は、目障りであり、撤退させることを進言
した。最後には私(福田)を取るのか、田中を取るのか、と小泉組長に迫った。福田の父は
田中の父親に抗争事件で何度も負けていた。その恨みも心の中にあり、最初から田中嫌
 いであった。
  小泉組長は、抗争終結を決断した。条件は、田中組長の外務一家の縄張りからの撤
退、野上総長の引退、鈴木組長の降格である。納得しない田中は,小泉組から飛び出した。
野上と鈴木は、それぞれの縄張りを守ったとして、それぞれの組織の中で評価を上げた。
しかし、小泉組長の決断をカタギの衆は、よしとしなかった。
  田中追い出しの功労者となって有頂天の鈴木であったが、違法なシノギ(仕事)が明ら
かになり、窮地にたたされていた。


●新企画                       H21.12.10更新
   これからの企画について                            
  ヒナの会について
  田中追い出しの功労者となって有頂天の鈴木であったが、違法なシノギ(仕事)が明ら
なり、窮地にたたされていた。

 

 

 

過去コラム一覧へ