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コピーの倍率

 「コピーでA3用紙からA4用紙に縮小するのは、なんで70%なの?」

 今回のネタは、そんな素朴な質問から生まれた。

 この人の言い分としてはこうだ。

 「A4用紙はA3用紙の半分でしょ。ならば、倍率は50%じゃないの?」

 確かに尤もであるように聞こえる。

 しかし、A4用紙がA3用紙の半分なのは、あくまでも面積なのである。

 コピーの倍率は、面積ではなく縦・横の長さ(若しくは対角線)が何%かで顕されているのだ。

 A3用紙をA4用紙に縮小する場合の倍率を、もう少し正確いうと、0.70710678倍である。

 逆に、A4用紙をA3用紙に拡大する場合の倍率は、1.41421356倍である。

 勘の良い方は既に気づかれたことと思うが、拡大するときの倍率は√2倍。縮小するときの倍率は2分の√2倍なのである。

 何故、このようになるのか。

 中学の数学を思い出しながら、確認してみよう。

 コピー機で拡大・縮小した結果、出力される内容はコピー元と相似形である。

 もし、お使いのコピー機の出力結果が相似形でないとしたら、故障が考えられるので修理が必要だ。

 先にも述べたが、A4用紙はA3用紙の半分の面積である。

 A3用紙に正方形を描いて、A4用紙に縮小した場合、出力される正方形の大きさはA3用紙の正方形の半分の面積になるはずである。

 何故、正方形かというと、この後の構成上の都合からだ。

 では、A3用紙の正方形と、縮小したA4用紙の正方形との、一辺の長さの比率はどのようになるのか。

 「図1」を御覧いただきたい。

 正方形を対角線で4分割して、できた直角二等辺三角形を2つ組み合わせると、元の半分の面積の正方形ができる

 正方形(a)の対角線に線を引くと直角二等辺三角形が2つできる(直角二等辺三角形の面積は正方形(a)の2分の1であることに注目)。

 直角二等辺三角形を一つだけ使い、長辺の2分の1の地点から対角に線を引き(正方形(a)のもう一つの対角線)更に直角二等辺三角形を2つに分ける。

 こうしてできた2つの直角三角形の長辺を合わせると正方形(b)ができる。

 つまり、正方形(b)は正方形(a)の半分の面積である。

 次に「ピタゴラスの定理(三平方の定理)」を思い出していただきたい。

 「直角三角形の直角を挟む二辺の二乗の和は斜辺の二乗の和に等しい」のだから、正方形(a)の一辺の長さを「1」とした場合、『12+12=x2』から、正方形(a)の対角線で切って作られた直角二等辺三角形の長辺「x」は「√2」である(図2)。

 直角二等辺三角形の短辺の二乗(面積)の和は、長辺の二乗(面積)の和と等しい

 「図1」でできた正方形(b)の一辺は、正方形(a)の対角線の2分の1なので、正方形(a)の一辺の長さを「1」とした場合、正方形(b)の一辺の長さは「2分の√2」である。

 ゆえに、コピーでA3→A4のように面積を半分にする場合、倍率は対角線(縦・横)の比率である2分の√2倍(約70%)に設定するのである。

 説明は省略するが、面積を2倍にしたとき(A4→A3)も、同様の考えをしていくと一辺の長さが√2倍(約141%)になることが解るであろう。

 ちなみに、コピー機の拡大率で50%を選択すると、面積では4分の1。A3用紙からA5用紙への縮小が可能である。

 ところで、A3の用紙を長辺で半分に切ると、キチンと相似形を保ったA4用紙になることを、不思議に思われたことはないだろうか。

 これは、用紙を裁断するときに紙の無駄がでないような縦と横の比率になっているのであるが、この比率が『√2:1』なのである。

 直角二等辺三角形は長辺の2分の1の地点から対角に線を引くと、面積が半分の直角二等辺三角形が2つできる。

 これを応用して(?)、直角二等辺三角形の長辺と短辺の比率(√2:1)を長方形にあてはめているのだ。

 計算してみても『√2:1』の√2を半分に割ると、比率が逆の1:√2になることがわかる。

 √2÷2:1

  =1.41421356÷2:1

   =0.70710678:1

    =0.70710678÷0.70710678:1÷0.70710678

     =1:1.41421356

      =1:√2

 例えば、1.5:1の用紙を長辺で半分に切った場合で計算してみよう。

 1.5÷2:1

  =0.75:1

   =0.75÷0.75:1÷0.75

    =1:1.33333… 相似形にならない。

 ちなみに、A3、A4などのA規格であるが、最も大きいA0用紙の寸法は1,189mm×841mmである。

 これは計算すると999,949mm2

 A0規格の寸法は1m2から決められているのである。

 たみぃの趣味として「折り紙」がある。

 折り紙は正方形の用紙から作ることが多く、それなりの大きさの正方形の用紙が欲しい場合、コピー用紙から正方形を切り出すことがある。

 通常このような場合、角を45°になるように折ってから正方形を導き出すのであるが、このようにして作った正方形には必ず対角線の折り目が付いてしまう。

 しかし、この√2:1の比率を承知していれば、同じ大きさのコピー用紙2枚で正方形を導き出すことができるのだ。

 コピー用紙の縦と横の比率は√2:1。

 正方形の対角線と辺の比率も√2:1。

 ということは、「図3」のようにコピー用紙を重ねると、紙を切る場所を導き出すことができるのだ。

 コピー用紙を2枚並べて、合わさった角を中心に用紙を1枚グルリと回し、回した用紙の中心にした角と同じ長辺にある角が、もう一枚の長辺にくっついた場所で紙を切ります

 正確に作られたコピー用紙であれば、であるが・・・。

(2005.6.7)