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アイレディース宮殿

 普段、温和な性格で通っているたみぃであるが、久しぶりに憤懣やるかたない報道があったので、そのことについて触れてみたい。

 普段のバカげた内容でなく、またオチも考えていないので、そういったものを期待される方は、ここから先は読まない方がよいだろう。

 熊本県の黒川温泉にあるアイレディース宮殿黒川温泉ホテルが、ハンセン病の元患者の宿泊を拒否したとの報道が11月18日にあった。

 内容を御存知ない方のために概要を説明すると、

 熊本県がハンセン病の元患者を対象とした「ふるさと訪問事業」で、県はホテルに宿泊を依頼した。

 当初、宿泊の依頼をしたのは9月。11月に県側が宿泊するのは元患者だということを伝えると、ホテルは「乳幼児など他の宿泊者に感染する恐れがある」【共同通信11月18日】ことを理由に宿泊を拒否した。

 県は「治癒した元患者であり、感染することはない」と説得したが、ホテルは「社の方針」としてこれを受け入れることはなかった。

 この報道を見たときは、「無知とは恐ろしいものだ」程度の感想だったのだが・・・・・・。

 ハンセン病についても簡単に説明したい。

 ハンセン病は抗酸菌の一種である「らい菌」により末梢神経が侵される感染症であるが、感染力は極めて弱い。乳幼児期に患者と長時間接触することにより感染することもあるが、治療薬が発見されて以来、比較的容易に治る病気である。

 ハンセン病が発症すると、末梢神経が侵されるため知覚障害が起こる。皮膚も侵されるため外見上に変化があるうえに、知覚障害のために怪我や火傷などを負っても気づかず治療が遅れ、更に外見上に著しい変化を伴うこともある。

 乳幼児期に長時間接触することにより感染することから、らい菌が発見されるまでは「遺伝病」であると誤解され、見かけ上のこともあり多くの偏見と差別を患者は受けてきた。

 しかも、らい菌が発見され感染症であることが判明すると、日本では強制的に隔離されることとなった。極めて感染力が弱いにも関わらずだ。それまでの偏見や差別があったこともあり、隔離先では人間的な扱いはされず、その生活は過酷なものであったらしい。遺伝病でないことが判明したのに、子どもを作ることも禁じられたそうである。

 ハンセン病であることが判り隔離されると、家族や親戚に迷惑をかけられないと本名を捨て、現在でも偽名で生活をしている人も多い。

 このようにハンセン病患者は、いわれのない差別を受けてきたのである。

 ハンセン病は極めて感染力の弱い病気であり、感染しても発病する確率は低い。現在、日本で発病する人は1年に数人程度である。

 また、発病したとしても現在では薬物療法などにより、入院するまでもなく治る病気である。

 12月1日、先ほどの事件に関しホテル側の会見があった。

 その報道内容を見て、たみぃは愕然としてしまった。

 親会社アイスターに就任した新社長によれば「宿泊日直前に入所者と知り、他の宿泊客に説明する余裕がなかった。宿泊拒否は当然の判断で、説明不足の県側に責任がある」【毎日新聞12月1日】であり、「宿泊者が入所者と知ったのは宿泊日直前で、認識不足もあって他の客と調整する時間がなかった。予約から2カ月間(入所者であると)ひた隠しにした県に責任がある」【毎日新聞12月1日】そうである。冗談ではない。責任転嫁も甚だしい。

 仮に予約と同時に元患者であったことをホテルに伝えてあったとしよう。ホテルが他の客と調整した結果、ホテルと同じような偏見を持った客が一人でも居ようものならば、「他のお客様から同日の宿泊は困ると言われましたので」と他の客に責任を転嫁して宿泊を拒否したことに違いない。

 ホテルはこのようにも言っている。

 「車いすの方や高齢者がいる場合、普通は事前に説明してもらっている」【読売新聞12月1日】と。このホテルでは車いす利用者や高齢者が宿泊をすると、その都度、他の宿泊客にその旨を事前に説明しているということか。馬鹿も休み休み言え。

 これに対する、熊本県の健康づくり推進課長の発言はもっともである。

 「他の宿泊客に迷惑をかけることはなく、早く伝える必要はない。出発点から偏見がある」【読売新聞12月1日】

 「完治した病気を知らせる必要があるなら、個人の宿泊者は『二十年前に結核だった』などとホテルに言わなければならないのか」【西日本新聞12月2日】

 ハンセン病よりも、インフルエンザの方が爆発的な感染力を持っており、毎年死者も多数出している。

 このホテルでは、インフルエンザの患者も宿泊を拒否するのであろうか。しかも、治癒した患者まで受け入れないのであるとすれば、このホテルを利用する資格を持つ人間は果たして全国に何人いるのやら。

 これらの件に関して他の記事も検索してみたところ、もはや呆れるしかない発言がまだまだ転がっていた。

 「他の客の迷惑になるので、ハンセン病の入所者は泊められない」【毎日新聞11月19日】

 よくぞ、そこまでハッキリ『迷惑』だと言いきれるものだ。

 「国が隔離政策に対して謝罪した経緯は今回初めて知った。しかし、国が謝罪したからといって、100%の国民が受け入れているかといえば疑問」【毎日新聞11月19日】

 一時期あれだけ大きく報道されていたのに、この方は新聞もテレビも見ないのか。それとも、記憶に関して何らかの障害をお持ちなのだろうか。

 そもそも、100%の国民が受け入れていないのは、その中にこの方が入っているからだろう。

 今回たみぃが柄にもなくこんなことを書いているのは、今後もし黒川温泉に行くことがあっても、決してアイレディース宮殿黒川温泉ホテルにだけは泊まらないよう、自分への忘備録としてである。

 そしてアイレディース化粧品をはじめ、アイスター関連企業の商品を間違って買ってしまわないように、自分へ注意を促すためである。

 男性であるのにアイレディース化粧品を使う可能性があるのか、ということは置いといて・・・・・・。

(2003.12.2)