平成13年8月30日、「区画整理地内住民より」という差出人名で、「斉藤議員」の名宛てでハガキが届きました。文面は以下の通りです(本文縦書き、ワープロ書き)。


前略
法律に大変詳しい議員さんとお聞きしましたので、税金の使途についておねがいがございます。
私たち市街化区域に住む住民がが(ママ)払っている都市計画税ですが、目的税で法律により市街化区域の事業しか使用できないこととなっているようですが町は以前から目的税の趣旨に反し、他の事業に多額の支出をしていると聞きました。
これで道路や下水が良くならないことが納得できました。つきましては、過去十年間の都市計画税の支出先を調査して頂き、法律どおり支出されていたか、もし不正に支出されていたならばその総額はいくらか、調査権を行使して究明して頂きますようよろしくお願いいたします』

以下に、私なりの回答を記します。

はじめに
 
 都市計画税とは、@都市計画法に基づいて行う都市計画事業(街路整備事業、下水道事業、公園緑地事業など)A土地区画整理法に基づいて行う土地区画整理事業の用に供する費用に充てるため、都市計画法に規定する都市計画区域のうち原則として市街化区域内に所在する土地及び家屋に対してその価格を課税標準として課する市町村の目的税です(地方税法第702条)。

 このような目的税としての都市計画税の性格から、都市計画税を課するか否か、その税率水準をどの程度にするかについては、地域における都市計画事業等の実態に応じ、市町村の自主的判断(条例事項)に委ねられています。
 このように、都市計画税は目的税であることから、普通交付税の算定にあっては、都市計画税相当額の収入が当然あるものとして基準財政需要額にこれを算入しないしくみとなっています。また、同様の理由により、基準財政収入額には算入されていません。加えて、標準税率が設定されていないことから、その課税の如何が地方財政法第5条に基づく地方債発行の制限に該当するものではありません。この観点からは、都市計画税は地方税の中では課税上の自由度が比較的高い税目であるといえます。

 
 
市計画税は都市計画事業又は土地区画整理事業に要する費用に充てるために課税される目的税であるため、都市計画事業と同様の施設の整備を行う事業であっても、市町村が独自に行うものには都市計画税を充当できません。都道府県知事の認可を受けた事業でなければ対象とならないのです。今後は都市計画施設の更新(リニューアル)の事例が増加することが予想されますが、その際に建設についての許可を要しないような場合にも、都市計画税を充当することはできません。

 また、注意すべきなのは、町内のある地域で徴収された税が必ずその地域内に還元されるというわけではないという点です。一市町村内の市街化区域内の税収が、その市町村の都市計画事業と土地区画整理事業全般の費用に充当されるのです

境町における都市計画税の使途(単位 千円)

都市計画税収入(X) 都市計画関係事業費(A) 都市計画債償還金(B) 都市計画基金積立金(C) Y=A+B+C X-Y
平成3年度 102,006 86,869 41,443 128,312 -26,306
平成4年度 115,655 38,159 43,843 82,002 33,653
平成5年度 120,271 120,485 45,818 166,303 -46,032
平成6年度 126,841 112,678 47,307 159,985 -33,144
平成7年度 134,411 72,252 49,838 122,090 12,321
平成8年度 142,695 85,143 51,170 67,489 203,802 -61,107
平成9年度 144,302 34,931 56,994 72,152 164,077 -19,775
平成10年度 152,446 37,256 61,852 65,303 164,411 -11,965
平成11年度 161,108 47,658 64,404 71,462 183,524 -22,416
平成12年度 157,000 32,981 64,651 78,510 176,142 -19,142
平成13年度 160,039 57,966 90,977 148,943 11,096
境町では
 上掲の表が、財政課によって明示された都市計画税の使途です。(A)は資産が残る投資的経費、(B)はいわゆる借金返済です。(C)の合計額は、現時点で3億5491万6000円です。上で、(X-Y)がマイナスになっているのは都市計画税収入だけでは足りずに一般財源から繰り入れていることを示します。
 
 結論としては、ハガキで問われているような不正な支出は境町においてはありません。上で述べた
@
都市計画事業(街路整備事業、下水道事業、公園緑地事業など)と、
A土地区画整理法に基づいて行う土地区画整理事業
に、適正に支出されております。


問題点・今後の課題
都市計画税の使途の明確化
○ 都市計画事業は非常に期間が長くかかるので単年度では厳しいが、基金等を活用しつつ使途を明確化するというような議論が必要ではないか。
○ 議会等で歳入と歳出を一緒に議論することがないのは一番基本に欠けている。
○ 少し長い時間をとって地方独自の支出計画をたて、それに対する財源調達というような形で住民にそれを示していくということが必要ではないか。
 このような議論を受け、旧自治省から都市計画税の使途の明確化を促進する旨の通知が発出されましたが(平成8年11月20日自治省税務局固定資産税課長発)、以下に示すように必ずしも使途の明確化が促進されている状況にはないのが現状となっています。

都市計画税の使途の明確化の状況
 平成11年度現在で、使途の明確化の状況は、議会に対する明確化を行っている団体は12.7%、納税者に対する明確化を行っている団体は16.1%にすぎず、いまだ十分な使途の明確化が図られていない状況にあります。
 また、特別会計については、86.7%の団体が設置していますが、その殆どが地方財政法第6条に基づき設置が義務づけられている下水道事業のほか、土地区画整理事業に係るものとなっています。
(参考)都市計画税の使途の明確化の状況(平成11年度)
@ 議会に対する使途の明確化(予算・決算説明書(事項別明細書)において、都市計画事業費に都市計画税収を充当していることを明示)
ア 明示有…100団体(12.7%)
イ 明示無…689団体(87.3%)
・明示の方法
a 財源内訳の特定財源の欄に明記…42団体
b 備考等の欄に充当額を明記…4団体
c 予算・決算説明書の参考資料に都市計画事業の充当調書を作成…42団体
d その他…13団体
A 住民に対する使途の明確化
ア 目的税である都市計画税の概要について毎年周知
A 周知有…322団体(40.8%)
B 周知無…467団体(59.2%)
・周知の方法
a 市町村の広報誌…112団体
b 税に関するパンフレット…159団体
c 都市計画事業等の説明会における説明‥32団体
d 納税通知書(裏面等)に記載…51団体
e その他…24団体
イ 予算額又は決算額により都市計画税の使途を毎年周知
A 周知有…127団体(16.1%)
B 周知無…662団体(83.9%)
・周知の方法
a 市町村の広報誌…92団体
b 税に関するパンフレット…16団体
c 都市計画事業等の説明会における説明‥10団体
d その他…15団体
B 特別会計の設置状況
ア 設置有…703団体(89.0%)
(下水道事業特別会計、土地区画整理事業特別会計等)
イ 設置なし…87団体(11.0%)

都市計画税の性格の明確化
都市計画税は実務上、課税コストを軽減するために固定資産税と併せて賦課徴収されることから、都市計画区域における固定資産税の附加税(あるいは固定資産税の超過課税)ではないかという誤解を納税者から受けがちです。そこで、このような状況を改善するために、使途を明確化し、納税者に対して受益と負担の関係を明確に説明して行くことにより、目的税としてのアカウンタビリティの向上を図る必要があると思われます。

最後に
町長と財政課の皆さんのすばやい対応に、敬意を表します。住民の皆様の行政に対する疑問にお答えするのは議員の最大の仕事だと思いますので、今後とも何なりとお申し付け下さい。ひとつ残念だったのは、地域を特定して顕名で投書していただければ、より具体的なお答えが出来たと思うことです。また、例えば折り込みチラシなどの発表の手段も取り得たと思うのですが、地区が限定できないのでは無駄や混乱のもとになりかねないので今回はHP上で公開するに止めました。