第4回
Ride a white swan(ライド・ア・ホワイト・スワン) |
前にも紹介した、イギリスのグラム・ロックの雄「T−REX(ティー・レックス)」。このロック・グループでギターやボーカルを担当するフロント・マン、彼の名はマーク・ボラン。彼がよく使っていたギブソン(※1)・レスポール(※2)などのギターから奏でるその独特のリズムやメロディ、グルーブ感は「ボラン・ブギ」と評されています。
「ライド・ア・ホワイト・スワン」は、そのT−REXの曲。日本語に直訳すると「白鳥に乗れ」(命令形)といったところでしょうか。最近、この曲が入っているカセット・テープを、自動車の中でよく聴いています。そのたびにあることを考える。
それは今年のゴールデン・ウイーク(GW)に、前橋市の敷島公園に家族と遊びに行ったときのこと、子どもが白鳥の形をした足こぎボートに乗りたいと言い出した。手をつないで歩いていくと、そこはGW。とっても混んでて、1時間待ち。子どもにあきらめるように説得した。いわく「また、今度、空いてるときにね」。
けれど、「『今度』とお化けは出た試しがない」とよく言われるように、私が家族と休日を過ごせることは、1年で何回あることか・・・。休みがね、少ないの。休みはね、土曜も日曜も関係ないの、とほほ・・・。
家の中で子どもたちが騒ぎまくって、騒々しいような時には「まったく、もぉー」「うっせーなぁ」と思うこともあるが、私も人間。多少の人情もあり、「たまには遊んでやりたいな」と思うことも。嗚呼(あぁ)、自己矛盾。「また、今度」の約束を実行できる日は、いつになることやら。自力でどうにもできないことには、本当に腹が立つ。「もぉー」である。まことにもって、精神衛生上よろしくない。「『ライド・ア・ホワイト・スワン=白鳥に乗れ』と言われるまでもなく、乗りてーよ!!」と、怒りで身を引きちぎられんばかりである。こういう気分の時は「セックス・ピストルズ」を聴くに限る。やるせない怒りを昇華させるのである。
騒々しいときには「もぉー」と、頭からは角を出して“牛”になることもしばしばだが、すやすやと寝息を立てる3人の子どもたちには、ジョン・レノンの最後のアルバム「ダブル・ファンタジー」(1980年)にから、「ビューティフル・ボーイ」をプレゼント。頭をなで、愛らしい寝顔にそっと頬(ほほ)をすり寄せてみる。「いつも遊んであげられなくてゴメンな」と心の中でつぶやいてみるが、子どもたちには「怒(おこ)りんぼパパ」としか見えてないだろうな。息子・ショーンの誕生に、一切の音楽活動を停止し、ハウス・ハズバンド(主夫)となった「ジョンの魂」に学ばないとな。
「少しは贖罪(しょくざい)をしないといけないな」。「ライド・ア・ホワイト・スワン」を聴きながら、自分をたしなめる日々は続く。
2001年6月12日 「地味い」記
※1 アメリカのギター製造会社。(かの井上陽水氏もギブソンで「傘がない」を弾いてました。ただしアコギ)
※2 そのギブソン社が製造するギターの機種名。多くのミュージシャンが愛用している。
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