釣り餌の虫たち(昆虫学にならない虫の話)

※自然の虫たち
・・・・・・・・・・・・水生昆虫
クロカワムシ・クロンボ)(キイロイムシ)(オニチョロ・キンパク)(カメチョロ)(ピンチョロ)(スナムシ
・・・・・・・・・・・・陸生昆虫
ブドウの虫・エビヅルの虫)(モロコシの虫・唐虫)(イラガ・ガイガイ)(ヤナギの虫)(テッポウ虫
・・・・・・・・・・・・昆虫以外
ミミズ
※養殖の虫たち
・・・・・・・・・・・・水生昆虫
アカムシ
・・・・・・・・・・・・陸生昆虫
養殖ブドウ・ハチッコ)(サナギ)(サシ・白サシ・紅サシ・バターウォーム)(ラビット)(ジャンボサシ

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キンパク
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エビヅルムシ
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アカムシ
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 釣りの餌となる昆虫たちは、何故か海には住んでいません。そのため、ここでで扱う「釣り餌」は全て淡水魚の釣り餌となります。
 淡水魚は、幼虫と成虫を問わず虫たちを食べて生活しているものがたくさんいます。コケを食べると言われるアユでさえ、海ではワムシなどのプランクトンを食べて大きくなり、川に遡上して暫くの間は水生昆虫を食べ、その後に珪藻や藍藻を食べるようになります。

 このような食う食われるの関係は生態系の中でも重要なものですが、自然環境の悪化でこの様な繋がりが絶たれてしまって生き物が棲み辛くなって、最終的には人間生活まで影響を及ぼすようになってしまいました。
 渓流釣りの対象となるヤマメやイワナは主にカワゲラやカゲロウなどの水生昆虫や蛾(ガ)の幼虫といった陸生の昆虫を食べ、ワカサギなどはプランクトンやユスリカの幼虫などを食べています。このような習性を利用して魚を釣るため、釣り人は様々な虫を釣り餌として使ってきました。
 本来、釣り人は自ら川に入って、これらの水生昆虫を集め、野山でブドウやエビズルに、畑でモロコシに入った虫を捕まえて「釣り餌」として使って来たのですが、最近は養殖された虫を買って使用する事も多くなってしまいました。このため、これらの虫が自然の状態で、どこにどのように暮らしているのか知らない人達も増えてしまいました。
 単に川や湖で釣りを楽しむだけでなく、川の環境を考え、川の健全性を取り戻すためには、これら虫たちの生態も知っていなければならないと思い「釣り餌の虫たち」のページを開設しました。
 しかし、地域によって同じ種類でも呼び名が違い、同じ呼び名でも種類が違うことが多いので私が住んでいる群馬県西部での事例であることを断っておきます。
(資料的に少ないですが徐々に増やして行きたいと思います。)

※ 自然の虫たち

−水生昆虫−

ヒゲナガカワトビケラの幼虫】(俗称:クロカワムシ、クロンボ)

 トビケラ目ヒゲナガカワトビケラ科、小石を集めて巣をつくり、石と石の間に網を張って網にかかった藻や落ち葉などの破片を餌にしています。比較的きれいな川に住みます。

 クロカワムシやクロンボと呼ばれ釣りの餌に使われます。伊那のざざむしの佃煮はこの虫がほとんどです。諏訪湖から流れ出した天竜川の有機物の多い水をこの虫がろ過しています。成虫になると川面をあまり高くなく上流に向かって飛び産卵します。このため、ダムや高い堰堤があると上流に行けないので、その河川には住めなくなってしまいます。

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ニンギョウトビケラの幼虫】(俗称:キイロイムシ)

 トビケラ目ニンギョウトビケラ科、小石と砂を集めて筒状の巣を作ります。両脇に大き目の石を3対くらい付けます。渓流から中流までいて付着藻類を食べます。渕や早瀬から緩流部までいます。

 西毛地域ではキイロイムシといって、動きがほとんど無くたくさんいたため捕まえやすく、ウグイなどの釣りの餌にしていました。しかし、巣を割って取り出すためよく潰れてしまいました。

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大型のカワゲラの仲間(幼虫)】(俗称:オニチョロ、キンパク)

 カワゲラの幼虫は中流域のきれいな川の石の下に棲んでいます。大きなものはカゲロウ類の幼虫などを食べています。小さなものは藻などを食べています。 
 成虫は、口が小さく餌を食べられず水を飲むくらいしか出来ません。そのため、長く生きていく事が出来ないようです。

 大型カワゲラの幼虫をオニチョロとかキンパクと呼んで渓流釣りの餌にしています。流れのあるところで下流に網を構え、直ぐ上流の浮石を持ち上げて洗うようにすると簡単に捕まえられます。しかし、餌箱に入れておくと歩くのが早いので直ぐに逃げ出してしまいます。濡れたガーゼ等で巻き込んでおくと逃げずに取り出しやすいです。

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ヒラタカゲロウの仲間(幼虫)】(俗称:カメチョロ、チョロ)

 カゲロウ目ヒラタカゲロウ科、体は扁平、尾は2〜3本ですばやく石の上を移動します。中流域の流れの緩やかな石の下にいて、石についた藻類を食べています。

 カメチョロと呼んで渓流釣りの餌にしています。浮石を持ち上げて捕まえますが、動きが速く手で持つと足や触角が取れてしまうことが多いです。このため、タワシ、ヘチマ、タオルなどでこすってとると採りやすいです。究極の採取法は両手で石を持ち上げて口で吸い取る人もいると言うことです。

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フタオカゲロウの仲間(幼虫)】(俗称:ピンチョロ)

 カゲロウ目フタオゲロウ科、体は泳ぐのに適した紡錘形で暗灰色で背面に斑紋があり、時に白い斑点もあります。ピンピンと跳ねるように泳ぎ回ります。上・中流域のトロ場や水溜りに群生して落ち葉の破片などを食べています。

 ピンチョロと呼んで渓流釣りの餌にしています。専用の網で群生している水溜りを10分ほどすくって歩けば1日分は十分に取れます。(これを売っている釣具屋さんもあるとか!川で採ればただなのに・・・)餌箱にミズゴケ、籾殻などを入れて湿らせておけば長持ちします。餌箱の中にウレタンをはって湿らして冷蔵庫に保存すれば1週間は持ちます。

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モンカゲロウの仲間(幼虫)】(俗称:スナムシ)

 カゲロウ目モンカゲロウ科、幼虫は河川中流域の流れの緩やかな砂利や泥の中に穴を掘って生活しています。このために、スナムシと呼ばれています。
 群でいないためたくさんは取れませんが、上記のフタオカゲロウを採集するときに一緒に入ってくることが多いです。動きはゆっくりで、何となくオケラを細長くしたような感じがします。

−陸生昆虫−

ブドウスカシバ】(俗称:ブドウの虫、エビヅルの虫)

 全国的に分布しているスカシバ科のガの仲間でブドウの害虫です。成虫がアシナガバチにそっくりで、飛ぶ姿や刺すような仕草までそっくりであると言われ擬態として有名です。年1回の発生で、葉柄基部に一つずつ生み付けられた卵から孵った幼虫は新梢に入って食害し、老熟した幼虫で越冬します。その部分が紡錘形にふくらんで見えます。
ブドウの虫は昔から渓流釣りに使う虫として主流でした。自宅近くにもブドウの栽培農家があって取らせて貰ったことも有りましたが、今は無くなり、もっぱら川沿いや里山のエビヅルを探して歩き採取しています。この幼虫が寄生した枝は太くふくらんで(虫こぶ)、その先は枯死しているので注意して探せば見つかります。

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アワノメイガの幼虫】(俗称:モロコシの虫、唐虫)

 トウモロコシの大害虫として有名なアワノメイガ属のガで、年に2〜3回発生します。幼虫はトウモロコシの実や茎などの中で越冬し、5月に蛹化、6月中〜下旬に羽化して、その後1〜2回成虫が発生します。
 特に渓流用の餌として使いますが、ワカサギにも裁断して使うと効果があります。夏場の幼虫は食用のモロコシから取って使いますが皮が柔らかく釣り餌には向きません。冬に枯れたトウモロコシを立てたまま束ね、春先に中に入った幼虫を採取し利用しています。茎を横にしておいたりすると幼虫の入りが良くなく、また束ねておかないと鳥に食べられてしまいます。

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イラガの幼虫】(俗称:玉虫、ガイガイ、デンキケムシ)

 日本全国に分布する有毒の毛を持ったイラガ科のガです。幼虫はたくさんのトゲをもち毒液を注入するため、刺されると激痛が走ります。成虫は刺すことはありません。
 幼虫はカキやウメの木の葉を食べて11月ころに繭をつくって越冬します。この中にいる終齢幼虫を釣り餌として使います。この中にいる幼虫はトゲも柔らかく刺されることはありません。タナゴ専用の餌として使われていたようですが、私はワカサギの集魚用や渓流釣りの餌として使っています。

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ボクトウガの幼虫】(俗称:ヤナギの虫)

 日本全国に分布し、幼虫がヤナギやポプラに穿孔して被害を与えるボクトウガ科のガです。終齢幼虫で越冬し、成虫は6〜7月に出現します。
 食害した幹の外に樹液と木くずと虫糞(写真)が排出されているので、その部分を探すことで採取出来ます。渓流釣りの餌として使います。

【カミキリムシの幼虫】(俗称:テッポウムシ)

 枯れ木や生きている木に侵入して材部を食べる「せん孔性昆虫」と呼ばれています。テッポウムシと呼ばれるのは、一般的にはシロスジカミキリやゴマダラカミキリの幼虫が多いのですが、コスカシバやボクトウガ、コウモリガの幼虫もそう呼ばれています。
 写真はシロスジカミキリの幼虫で、友人のKさんにもらいました。彼は薪ストーブを使っているので薪割りをして見つけたものを釣り餌として使っています。昔は薪割りをしていてこの虫が出てくると焼いて食べたものです。見た目は何ですが・・甘くて美味しい味だったのですね。

シロスジカミキリの幼虫
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Kさんがテッポウ虫で釣った岩魚
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昆虫以外

ミミズ(俗称:きぢ)

 普通にミミズと称しているものには、小さいツリミミズ科と大きいフトミミズ科の2種類があります。堆肥などによくいる「シマミミズ」はツリミミズ科に属していて、科名のとおり釣りに使います。また、ウナギ釣りや大ヤマメ釣りに使われる「ドバミミズ」はフトミミズ科に属しています。俗名のきぢは体液が黄色く「黄色い血」を出すからだそうです。
 堆肥等をひっくり返して採集したミミズは、オチャガラを入れて一日くらい飼うと鮮やかな赤い色になります。鉤に付けるとき、ぬるぬるして動きすぎて上手く通らず、臭いもきついのであまり好まれていないようです。
 ところが、このミミズは土の中で穴を掘って進み、落ち葉や有機物を土と一緒に食べ、糞として排出することから結果として土を耕していることになります。この働きによって、森林や畑の土壌がふかふかで肥えたものになるのです。この働きで植物が生長し、動物が生活できるのですね。

※ 養殖の虫たち

水生昆虫

ユスリカの幼虫】(俗称:アカムシ)

 日本各地の湖沼にいるユスリカ科の仲間で、多くの種類が生息しています。ユスリカの幼虫は湖沼の泥の中に潜って有機物を食べて育ちます。冬の活動が活発で夏は休眠しているようです。二年かけて育ち10月から11月に羽化します。この仲間では、汚れた川の指標生物として有名なセスジユスリカ、湖沼で発生するオオユスリカなどが代表的ですが、大きさや皮の弱さの問題で釣り餌には向いていません。
 このため、アカムシユスリカが養殖され釣具店の店頭に通称アカムシで並んでいます。アカムシユスリカは諏訪湖などの湖沼で大発生して公害問題までになっていますが、ほとんどは韓国から輸入しているようです。
 もし地域的な遺伝子の変異があれば、使い残しを湖に棄てることで遺伝子のかく乱が起きる心配が指摘されることになるかもしれませんので、安易な廃棄は慎みましょう。

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陸生昆虫

ハチミツガの幼虫】(俗称:養殖ブドウ、ハチッコ)

 ブドウの虫やエビヅルの虫の代用品と発売されているものですが、本来のブドウスカシバとはまるっきり違う虫で、ミツバチの巣に寄生して食い荒らす養蜂の大害虫だそうです。

 しかし、養殖が簡単で、皮膚も適度に柔らかく釣り餌として最適なので体形を大きくしてサナギにならない特別の処理をして売る出しているそうです。これによって、虫が長持ちし成虫にならないので逃げ出しても養蜂に被害を与えることもないのだそうです。

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カイコガのサナギ】(俗称:サナギ)

 昔からコイの餌として人気がありました。特に群馬県は昔は養蚕が盛んで生糸を取った後に出た大量のサナギでコイの養殖が盛んでした。最近は養蚕が減ってサナギの出荷量が減って他の餌に取って代わられつつあります。

 以前、伊那市に住んでいたとき、スーパーでサナギの佃煮を売っていたのに驚いた事があります。ザザムシや蜂の子は珍しくて美味しかったのですが、さすがにサナギは買って食べる気にはならなかったです。

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【ハエの仲間の幼虫】

 キンバエの仲間の幼虫、つまりウジは昔からサシと呼ばれて釣りの餌とされてきました。最近は、ワカサギ釣りの餌として定番になっています。ワカサギの餌として白サシ、紅サシ、バターウォーム、チーズサシ、ラビットウォーム、ラビットなどがあって、ものによってハエの種類が違っています。下記は種類ごとの詳細です。
 本来、ハエの幼虫は動物の死体や糞に発生するため、不潔であると嫌われていましたが、最近は比較的清潔な養殖方法が出来てきたようです。

キンバエの仲間】(俗称:サシ、紅サシ、バターウォーム、ラビットウォーム)

 ヒツジキンバエ、ヒロズキンバエという種名のハエから養殖したもののようです。白サシはそのまま、紅サシは食紅で染め、バターウォームはバターを塗ったものです。
 白サシは目の悪いワカサギに大型のプランクトンに見える?紅サシはアカムシユスリカに見えるため、バターは匂いで寄せるためであるといわれています。ラビットウォームは小さめに仕立て本来のラビットに似せているものです。

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チャバネトゲハネバエ(俗称:ラビット、黒ラビット)

 小型のワカサギ釣り用の餌で、冬季限定で出回っています。気温が低くても動きがよく、小型でつりやすいので人気があります。チャバネトゲハネバエの幼虫だそうです。
 ウサギの糞によく発生するためこの名前が付いたそうですが、鶏糞にもよく発生します。数年前、友人から鶏糞をバケツ一杯もらって、必要分を網に入れ天日にさらし、下に容器を置いておくと5回分ぐらいが取れ、1シーズン餌に苦労しなかった事がありました。(ちょっと臭いがすごいのには閉口しましたが・・)

 

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ケブカクロバエ(俗称:ジャンボサシ)

 ケブカクロバエのほか、数種のキンバエの仲間などから自然発生させたものを販売しているようです。魚が大きい時には有効です

 

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