群馬県野鳥の森「小根山森林公園」

 群馬県野鳥の森・小根山森林公園は、群馬県碓氷郡松井田町横川にある約91haの国有林です。
 林業関係者の見本林として活用されていたものを、昭和48年に当時の前橋営林局(現在の関東森林管理局)と群馬県、松井田町が協力して「森林公園」そして「野鳥の森」を設定・整備したものです。

 園内には野鳥の森研修館、鳥獣資料館をはじめ、野鳥観察小屋、展望台、休憩園地、3コースの遊歩道が整備され四季を通じて自然探勝が可能となっています。
 森林公園へは、信越線横川駅から徒歩で50分(2.5km)、車で10分(4km)で行けます。また、上信越自動車道の横川SAからも歩道が整備されています。園内に入ったら研修館を訪れ案内指導を受けた後、自然探勝をするのが良いでしょう。
(参照:群馬県発行「ふるさとの道」・小根山森林公園執筆者:松岡正、小泉正人)

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 主な観察ポイント

小根山は、天然林を伐採して、新しい造林樹種を研究するための外国産樹種(40数種)や造林方法の試験を行ったり母樹の遺伝試験を行った日本産樹種(20数種)を人工的に植栽した場所でした。このため観察のポイントとして植物、特に樹木では人工的に植栽された外国産樹種と日本産樹種が中心となってしまい、天然林は「社の森」と呼ばれるものが唯一残されているのみです。動物は多くの野鳥、そしてほ乳類や両生類、昆虫などが観察できます。

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場    所

観  察  ポ  イ  ン  ト

駐車場  杉林を抜けて森林公園の入り口にはいると外国産樹種の試験を行ってきた小根山の顔であるストローブマツの林が目に入ります。真っ直ぐな幹が奥行き観を出し快適な印象を与えてくれます。青黒い樹幹を定間隔で白い帯が巻く5葉の松です。
 この付近は園内で唯一開けた場所なので、鳥影も多く姿を見られる場所の一つです。近くの木に取り付けられた巣箱ではヒナにエサを運ぶ姿も繁殖期には見られるでしょう。
 駐車場にはいるとコナラの大木が散在する林間駐車場となっていて一番奥に研修館と資料館があるのでここでパンフレットをいただいてから出発しましょう。

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ケヤキ試験林

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駐車場からケヤキの道を下っていくと右側にケヤキの純林が広がってきます。小根山にはケヤキの林がいたるところに有りますが、木の植え方が少しずつ違っています。平地で独立しているケヤキとは枝の張り方が違っています。下層にはアブラチャン、ムラサキシキブ、ツリバナ、ガマズミ、ノリウツギ、ニワトコ、クサギ、キブシ、モミジイチゴ、コゴメウツギ、ヒトリシズカ、フシグロセンノウなどが見られます。
見本林事務所  ケヤキ林を通り過ぎると木造の見本林事務所前に出ます。学生の頃、森林公園計画を教授の手伝いをして作成していた頃はここに何度か泊めていただき、朝早くに外壁をつつくキツツキの音で目を覚ましたり、屋根裏でムササビがはい回っていた思い出が有ります。(今は取り壊され敷地が残っているだけです)
 事務所の前は色々な樹種がまばらに生えている場所で、特にねじれたように枝を出しているリキダマツは特徴的です。3葉の松で常に成長しているためねじれが出るようです。幹や切り株からも芽を出す松です。
 春には、この付近で耳を澄ますとクロツグミ、キビタキ、オオルリ、エゾムシクイなどの野鳥の声が聞こえてきます。冬には桜の木にやってきたウソやマヒワ、アトリなどの大群に出会うこともあります。
 事務所の裏の沢筋にはクレソンが密生しイタチやキツネの足跡や糞が見られることもあります。
展望台  見本林事務所の下から右に歩道を進むとスズカケの道に入ります。坂を上りカラマツとヒノキの林をすぎると尾根筋の広い道に出ます。これを左に曲がってしばらく行くと展望台に出ます。展望台からは南側に裏妙義の山々が広がり高速道路の帯が県境へ伸びているのが見渡せます。北側には倉渕村との境の山々が見え一面森林が広がっています。うまくするとチョウゲンボウやオオタカがひらひらと飛翔する姿が見られるかも知れません。

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スズカケノキ

展望台からさらに南東にすすむと明治の頃に植えられたスズカケノキの大木が道の両側に連なります。多分、日本でも最初の頃のものでしょう。大きく雲状に剥がれた樹皮と球状に集まった花そして果実が特徴的です。剪定されている街路樹にはこの木の名前の由来となった球果は付くことが少ないですね。
 少し下がった場所の藪の中からはヤブサメのけたたましい声が聞こえてきます。
ヤマドリの園地  スズカケノキの手前を左におりて、さらに左に階段を上っていくとヤマドリの園地に着きます。以前は回りの木も小さく30年前の写真のように視界が広がっていましたが今は暗くなってしまいました。
 周辺を注意深く探すとヂエビネやチシオスミレが残っているかも知れません。
モミの純林  ヤマドリの園地を下り直角に右に曲がって下るとモミの純林に入ります。平均樹高が30mにも達し良好な成長をしている林です。全国的にも人工林とはいえモミの木の純林は非常に少なく珍しい存在です。景観的にも真っ直ぐな幹の壮大さと奥行き観は美林の一つに数えられています。下層にはタマアジサイが多く見られキイチギ、ムラサキシキブ、ニワトコ、ツタ、ノブドウなども見られます。
 以前は枯れた株のシロアリを食べるためツキノワグマが爪でひっかいた跡が有りましたが今はどうでしょうか。林の右手の沢沿いを少し下った所には野鳥観察小屋があってオオルリヤクロツグミ、キビタキ、コサメビタキの声が聞こえ、オオタカやカケス、コサメビタキの樹上の巣も見られます。
トチュウの林  聞き慣れない名前の木ですが中国原産の落葉広葉樹です。最近は栽培をされ杜仲茶などで売り出されています。葉っぱや枝を折ってみると粘質の糸を引きます。グッタペルカというゴムの一種を含み強壮剤として使用されています。ここの純林は早くから植えられたもので栽培種の種子はここから出たものも多いようです。
 この付近ではオオルリの声が多く聞かれ、過去には道沿いの土手で巣が観察されたこともあります。
「社の森」山の神  見本林事務所の前を西に上っていくと、森林公園でただ一カ所残された天然林が有ります。天然林と言っても何度か人の手が入っている二次林です。高木層にはコナラが多く、カシワやクリも見られます。亜高木層にはミズキやクマシデなどが、低木層にはツリバナ、ニシキギ、ノリウツギ、オトコヨウゾメ、などがあり、これに草本層が入った4段の階層を持った林となっています。
 この付近は高木が多く梢に止まるため鳥の姿を見るのは難しいですが野鳥観察小屋から時にはアカゲラやコゲラを見ることができます。キビタキ、クロツグミ、カラ類、ケラ類、イカル、センダイムシクイ、ヤブサメ、ウグイス、ホトトギス類などの声を聞くことができます。
野鳥観察小屋  園内には休憩所と野鳥観察小屋が兼用になった建物が4カ所有ります。小屋の中には鳥獣図板や説明板があるので指導者がいなくてもある程度の観察は可能です。あとは忍耐力が必要ですが・・・。

 小根山雑感

 小根山は、小学校の頃から親しんでいる。小根山の手前に学校林があって下刈りに行った後、小根山で遊んで帰ってきたのを覚えています。

 大学では森林風致を学んでいましたが、研究室で小根山の公園化の計画作成を請け負って教授に付いて何度か訪れました。その当時の状況が右の写真です。今は木も大きくなって大分変わってしまいました。

 木が小さい頃にはサクラソウの群落があったり、モミの林ではチチタケが取れたり、エビネの群落も可憐な花を咲かせていたのですが・・・。

 とはいっても、今でも小根山は絶好の観察ポイントであって、あまり多くの人で賑わうことにふさわしくない場所であると思っています。
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