鮎釣り(アユ釣りを楽しむ為、冷水病対策は釣り人の義務です。釣り人が出来る冷水病対策・新感染症) (●鮎について ●アユと付着藻類 ●アユの生態 ●冷水病について ●利根川の天然アユ ●適正なアユ放流量 ●小国川漁協の取り組み) (●江戸川・松戸漁協稚アユ漁 ●江戸川の稚アユ救出作戦 ●群馬県産アユの生産と放流)
碓氷川(上州)の解禁
吾妻川(坂東)の解禁
● 冷水病 1 発生の経緯 冷水病は、もとはマスやサケの病気で北米に発生していました。低水温(5℃)で稚魚に発生し死亡率が高くbacterial coldwater disease と呼ばれていたものを直訳して冷水病としました。 日本ではギンザケやニジマスに昭和60年頃から見られるようになり、アユでは昭和62年に初めて発生が確認されました。 しかし、アユの冷水病は稚魚・成魚にかかわらず発生し、発生温度も16℃〜20℃が中心となっていて5℃ではほとんど増殖せず25℃以上では活動停止してしまいますのでマス類の冷水病とは違うようです。このため冷水病と言うのが正しいか疑問です。 2 冷水病の原因 冷水病はフラボバクテリウム・サイクロフィラムを原因とする細菌性の感染症で、条件性病原体、つまり水温の乱高下、濁水、縄張り争いなど魚にストレスが貯まると発病します。 薬剤による治療では再発しやすく完治が困難で、現在のところ細菌の進入防止が最も有効な対処法となっています。 河川では死亡したウグイやオイカワからも冷水病の病原菌が分離されていて、主な感染経路は水を媒介して感染する水平感染とされています。ただし、アユからアユへの感染は確認されていますが、他の魚種からアユへの感染は確認されていません。また、菌を持った卵でも消毒で防御は可能となっています。 3 発生の状況 症状は、筋肉・ひれ付け根・あごの出血や潰瘍、体側の穴あき、えらの貧血(退色)が見られますが典型的な症状が出ないこともあります。 今まで冷水病は養殖場での問題とされ自然河川では大きな問題となることは無かったのですが、自然河川で平成4年に確認されて以来、平成14年次現在34県で確認されています。 群馬県内でも近年は冷水病の発生が見られカワウの食害・河川環境の悪化にともなって極端な漁獲量の低下が見られます。 4 河川における感染源の排除 第一次の感染源は何らかの原因で発病したアユと考えられますが、釣り人が持ち込むオトリアユや釣り具からの感染も考えられます。 さらに、輸送時(輸送車の消毒・密度等)、放流時(水温調整、時期等)に如何にストレスを与えないかが大切となります。 5 今後の対策 ・ 基本的には無菌のアユを放流していく。現在の対策を徹底して継続します。 ・ 感染経路の解明と遮断方法を確立します。 ・ 保菌検査時における検出率精度を上げます。 ・ 卵の消毒法の確立、無菌飼育法の確立を行います。 ・ 実用的なワクチンの開発を行います。 ・ 感染魚の治療法の開発を行います。 ・ 感染耐過魚を使い耐病性のある魚を選抜育種します。
● 適正なアユ放流量はどのくらい? 現在の群馬県におけるアユの放流量は、ここ数年(平成15年度以降)は重量で21トンから25トン、尾数で200万尾から230万尾(平均218万尾)程度となっています。 この数字は、どの程度の釣果をもたらすのでしょうか。 冷水病の発生もカワウの食害も無い場合で、川での生存率が約70%と言われています。そして釣獲率は、率が良い人工産で約70%と言われているので、70%×70%=49%が釣れることになります。 この考え方で計算すると、218万尾のアユが49%釣れる=107万尾が釣れることになります。1尾の重さを60gとすると64トンのアユが釣れることになります。 107尾を、のべ7万人(平成15年推計)のアユ釣り師が釣るとすると、1回平均15尾が釣れる計算になります。 しかし、感覚的には、「平均で、そんなに釣っちゃいねぇよ」「それだけ釣れれば群馬の川でやるよ」と言う声が聞こえてきそうです。しかも、これには天然遡上の数字は入っていないのですから・・・。 実際には、カワウの食害が多く、冷水病も未だに終息しない、解禁当初にたくさん釣ってしまう、若しくは追いの悪い(釣獲率の悪い)海産系種苗が多い、環境が悪く釣り人があまり入らないところまで放流している、放流量が少ない等の理由で釣れないのが現状でしょう。 ちなみに生存率を60%、釣獲率を60%とすれば36%で78万尾・47トンという実状に近い数字がはじき出されてきます。 さて、前述した釣れない理由の最後「放流量が少ない」という点について考えてみたいと思います。 今までに研究された適正な放流尾数は1尾/uという数字があります。これは@アユの縄張り面積が1尾/uである。A河川における縄張りに利用できる率は平均60%である。B淵には瀬の約10%(0.1尾/u)の群れアユが生息する。C放流後の生存率が約70%ということを勘案してはじき出されています。つまり、((1尾/u×0.6)+0.1尾/u)÷0.7=1.0尾/uと言うことになります。また、別の研究では瀬に0.6尾/u、淵に0.2尾/uのアユが住めるという説もあります。 ただし、この所見にも異論は有るようで、中央水研の研究ではアユの縄張りサイズはアユの密度で変化するという研究結果が出ています。これは、@密度が低いと縄張りをもつ個体が少なく、密度が高くなると縄張りを持つ個体が増加する、A密度が高くなるにしたがって縄張りサイズが小さくなる、B密度が高いと成長速度は鈍る、また群れ個体が縄張り個体の成長を上回ることはない等ということでした。 つまり、ある程度のアユがいないと縄張りが形成されない→友釣りで釣れないと言うことですかね? 群馬県水産試験場で2000年に発表された「群馬県におけるアユ放流尾数の算定」によると、1尾/uの放流基準を使用してはじき出された数字があります。 県内のアユ河川の流程がのべ389.24km、平均川幅が27.5mとすると1,070万尾が適正と算出されるそうです。平成18年度の放流量は207万尾ですから1/5以下と言うことになりますので確かに少ないということが言えるのだと思います。 しかし、1,000万尾のアユ、8gサイズで80トンのアユを放流するのには、種苗代と放流経費を足して1kg当たり4,000円とすれば3億2千万円の経費が、10gサイズなら4億円が掛かってしまうことになります。 全魚券と雑魚券の全売上げが2億6千万円程度しかない群馬県の漁協では無理な数字です。ましてやアユ漁が行われている漁協は11漁協で、アユ漁ができる全魚券の売上げが1億4千万円程度しかないのですから、とてもかなわない数字と言えます。 我が上州漁協をみると、烏・鏑・碓氷の3河川はちょうど同規模の面積を持っていて適正な放流尾数を算出すると230万尾程度になります。8gサイズで18トン強、3河川平均6トンずつ入れる数字ですから、今年(平成19年)の放流量4.3トンは適正量の1/4以下であり、1河川の適正量にも満たないということになります。 中央水研の研究結果から考えれば・・・放流数が少ない→縄張りアユが少ない→アユは見えるけど群れていて釣れない・・・と言うことになりますが、まさに今年の状況は・・・? 放流量をもっと増やせと言えば、「そんな金が何処にある。そうじゃなくても組合がつぶれる状態だ!」と言っている組合ですから、とてもとてもこの数字を放流できるはずがありません。 では、どうしたら良いのでしょうか。私としては、放流の考え方を変えるしかないと思います。 例えば、@河川環境の悪いところには放流しない(地域の役員さんが自分の地区に環境が悪くても入れたがる傾向を是正する)、A釣り人が多く入る地域に集中的に放流し、カワウの食害を減らすとともに冷水病が発生しないよう漁場管理をしっかりと行う。B追いの良い種苗と晩成型の種苗を混ぜて放流して漁期のコントロールを行う。C1尾当たり放流時重量を下げて単位当たり尾数を増やしてコスト減と放流尾数の増を図る。D1日当たりの採捕制限尾数を設ける。E天然遡上がある地域には放流しないなどが考えられますが・・・さてさて、漁協の体質がそう簡単に変わるのでしょうか・・・!?
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