鮎釣り(アユ釣りを楽しむ為、冷水病対策は釣り人の義務です。釣り人が出来る冷水病対策新感染症

●鮎について ●アユと付着藻類 ●アユの生態 ●冷水病について ●利根川の天然アユ ●適正なアユ放流量 ●小国川漁協の取り組み
●江戸川・松戸漁協稚アユ漁 ●江戸川の稚アユ救出作戦 ●群馬県産アユの生産と放流

●川の美化に協力を・・!!

※何でこんなにゴミを捨てる人が多いのでしょう。

切れた釣り糸、タバコの吸殻・・・・
ビールやジュースの空き缶、ペットボトル、おにぎりやパンの包装紙、挙句の果てはオムツまで・・・・。

釣れないと嘆く前に川をきれいにしましょう。川を汚しては魚が居なくなります。自分で釣れないようにしているようなものです。ゴミは持ち帰りましょう。
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【新たなアユの感染症について】

● 昨年8月〜10月にかけて、新たなアユの魚病としてエドワジエラ・イクタルリ(Edwardsiella ictaluri という病原菌による感染症が確認されました。
● この病原菌はアメリカナマズの腸敗血症の原因菌とされています。今回アユ病魚から分離されたこの菌が感染実験によってナマズ及びアユに対して病原性を示すことが判明したそうです。
● 症状としては顕著な外部症状には乏しいものの@体表、鰭基部及び肛門部に発赤が認められる A腹部膨満、眼球突出が認められる B血液の混じった腹水の貯留が認められる等だそうです。
● 我が国の発生事例は東京、広島、山口で確認されました。発生水温は20〜26℃の時期で大量斃死はなかったようです。
● 冷水病に較べ発生の危険性は低いと考えられますが、猛暑となって水温が上昇すると危険性が高まるため、農水省ではアユの移動等は自粛して欲しいと呼びかけています。また、あやしい症状のアユを捕獲した時は漁協・水産関係機関へお知らせ下さい。なお、この病原体はヒトの健康への影響はありません。

碓氷川(上州)の解禁
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吾妻川(坂東)の解禁
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吾妻川(坂東)の解禁
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● 鮎について
 魚偏に占と書く「あゆ」の由来は、神功皇后(じんぐうこうごう)が筑紫(現在の佐賀県)で新羅遠征の前、裳の糸を釣り糸に、縫い針を針に、飯粒をエサにして「新羅をおさえることができるなら、川の魚は針にかかるべし」と戦勝を占った時に掛かった魚が鮎だったからといわれています。
この他にアユは香魚(香りの良い魚だから)や年魚(1年で生まれ育ち死んでいくから)とも書きます。
鮎の漁法は、餌釣り、ちんちん釣り、しゃくり、どぶ釣り、コロガシ、引掛け(ちょんがけ)、友釣り、火振り網、投網、簗、鵜飼いなどたくさん有ります。
アユに関する生態冷水病対策ページ

 中でも友釣りは、よく知られている釣法です。友釣りの由来は、狩野川(伊豆)の瀧源寺草庵の虚無僧法山(安政九年[1780年]没)が狩野川の吊り橋で川を眺めていて、鮎が体をぶつけて争っているのを見て、針を付けると掛かるのではないかと思いつき漁師に伝えたのが初めとか言われています。
また、17世紀後期に書かれた「本朝食鑑」には、鮎の友釣りは京都の八瀬の里人が長い馬尾にオトリの鮎をむすんで水中に入れて、近づいてきた鮎を引っ掛けて釣る、といったことが書かれているそうです。友釣りは狩野川か京都か?どちらが発祥の地でしょうか?
ちなみに群馬県の魚は鮎です。平成元年の5月24日に県の魚に指定されました。
● アユと付着藻類
 海から遡上してきた稚アユは、川虫も食べますが、主に川の石に付着した藻類を食べて大きくなります。川には珪藻類、藍藻類、緑藻類などの藻類が生えています。アユは、この藻類のうち珪藻と藍藻類を食べます。食べる量は多く、体重の半分くらい食べると言われています。特に珪藻が好きで、これがアユの味を良くすると言われていますが、よく分かっていません。アユの香りや味覚に関する成分も餌によると言われていますが、これも良く分かっていません。でも、川の藻類によって魚が変わるのは確かなようです。
(人工産のアユは形が悪いとか味が落ちるとか言われていますが、川の藻類によって変わるので、この根拠は無いのです。)
 珪藻が主な餌だと思われていますが、これは珪藻がガラス質の殻で包まれている為、消化が遅く胃の中に残っているのを、そう思ったからかもしれません。藍藻は窒素が多く、たんぱく質をたくさん含んでいてアユの成長はよくなるようです。
 珪藻はアユに過度に食べられると再生産が追いつかなくなって、その後に藍藻が繁茂してくるそうです。藍藻は過度に食べられても餌を供給する能力があるようです。珪藻は黄色の色素が多く石は茶褐色になります。それをアユが食べると珪藻の再生が遅く、藍藻が生えてきます。藍藻は黒光りします。アユがなめた石が真っ黒だと言いますが、この藍藻のせいなのですね。

 最近の碓氷川・・・他の川でもそうですが、流れの速い瀬に糸状で枝分かれした緑藻がびっしりと生えて、針や糸にくっついて釣りにならない事が多くなりました。これは糸状緑藻のシオグサで厚い細胞で覆われアユの餌にはなりません。かえってこれが繁茂するとアユは近寄らず、釣りにもならないので害を及ぼす藻と言えます。何故この藻が増えたのでしょうか。環境悪化のせいでしょか?
● アユの生態
     アユは鮎の他に香魚とか年魚といわれます。年魚は名前のとおり1年で生活を完結します。
     秋遅くに川の中流から下流域の産卵場に生み着けられた卵からふ化して仔魚は海へ降ります。
→孵化までの時間は水温によって異なり、15日〜30日前後になります。
→孵化直後は砂礫の中に潜み、日没後に孵出して流れに漂い、遊泳力が着いてから降河します。

     仔魚は春まで海で過ごして春に稚アユは川を遡上し始めます。
→河川水の水温が海水の水温とほぼ等しくなる時期に遡上を開始します。
→稚アユは成長するに従って冷水を選ぶようになります。6cmくらいだと11℃〜15℃
→海水から淡水へ水質選好性が変わっていきます。
→アユは明らかに濁った水よりも清水を選びます。(濁りはストレスであり冷水病の原因となります)
→濁りなどで下ってしまったアユが差し直すことはほとんどないようです。
→稚アユの遡上は水温に影響されるので西の方が早く、太平洋側の方が日本海側より早まります。
→移動速度は4
kmを3〜5日で遡上するようです。
→稚アユは体長6cm内外まで動物性プランクトン、7〜8cmで動植物の混食です。
→9cm以上で植物食になります。最近の研究ではもっと小さい時期からという研究もあります。

     川を遡上したアユは、中流域まで達して定着します。
→遡上したアユが解禁までの間に生き残る率は30〜60%前後と推定されています。
→放流アユについての生存率は群馬県の温川で65.5%と48.6%という結果があります。
→アユの口は大きく歯が櫛の歯のように並び石の表面に付着した藻類を食べやすくなっています。
→藻類の種類としては珪藻や緑藻・藍藻で、1日に体重の35〜50%の量を食べています。
→成長は水温の影響が大きく、水温の高い地方ほど成長が良くなっています。
→生息密度は天然でばらつきがあり、0.1尾/u〜0.5尾/uとなっています。
→生息数の多い川は魚体が小さく、少ない川は魚体が大きくなります。
→実験的には1尾/uが個体の成長、群の増重とも比較的良いとの結果があります。

     中流域に達したアユは強いなわばりを形成します。
→なわばりの広さは1平方メートル内外で、2〜3平方メートルの範囲を泳ぎ回ります。
→なわばりを持つことができたアユ以外に群をなして泳ぐ「群れアユ」が生息します。
→なわばりアユの成長は群れアユの成長より明らかに良くなります。
→なわばりアユの攻撃回数は200秒間に9〜11回といわれます。
→攻撃の合間にも餌を独占して200秒間に10〜12回食べ、速やかに成長します。
→群馬県産の人工アユは200秒間に17回攻撃します。「けんかっぱやい」所以です。
→なわばりを持ったアユほどけんかでストレスがたまり、冷水病にかかりやすくなります。

     春から夏にかけて成長したアユは、秋になって下流域まで降りて産卵して一生を終えます。
→アユの成熟は秋に急速に早まります。主な原因は日照時間が短くなることにあります。
→産卵期は東北が早く九州が遅く、日本海側が早く太平洋側が遅くなります。
→産卵期は9月下旬〜12月上旬で10月中旬〜11月上旬が最盛期になります。
→群馬県産アユの産卵期は天然アユよりも早まります。このため下る時期が早くなります。

→産卵場所は河川の購買が緩やかになった砂礫状で浮石の多い瀬が好まれます。

● 冷水病
1 発生の経緯
 冷水病は、もとはマスやサケの病気で北米に発生していました。低水温(5℃)で稚魚に発生し死亡率が高くbacterial coldwater disease と呼ばれていたものを直訳して冷水病としました。
 日本ではギンザケやニジマスに昭和60年頃から見られるようになり、アユでは昭和62年に初めて発生が確認されました。
しかし、アユの冷水病は稚魚・成魚にかかわらず発生し、発生温度も16℃〜20℃が中心となっていて5℃ではほとんど増殖せず25℃以上では活動停止してしまいますのでマス類の冷水病とは違うようです。このため冷水病と言うのが正しいか疑問です。

2 冷水病の原因
 冷水病はフラボバクテリウム・サイクロフィラムを原因とする細菌性の感染症で、条件性病原体、つまり水温の乱高下、濁水、縄張り争いなど魚にストレスが貯まると発病します。
 薬剤による治療では再発しやすく完治が困難で、現在のところ細菌の進入防止が最も有効な対処法となっています。
 河川では死亡したウグイやオイカワからも冷水病の病原菌が分離されていて、主な感染経路は水を媒介して感染する水平感染とされています。ただし、アユからアユへの感染は確認されていますが、他の魚種からアユへの感染は確認されていません。また、菌を持った卵でも消毒で防御は可能となっています。

3 発生の状況
  症状は、筋肉・ひれ付け根・あごの出血や潰瘍、体側の穴あき、えらの貧血(退色)が見られますが典型的な症状が出ないこともあります。
今まで冷水病は養殖場での問題とされ自然河川では大きな問題となることは無かったのですが、自然河川で平成4年に確認されて以来、平成14年次現在34県で確認されています。
 群馬県内でも近年は冷水病の発生が見られカワウの食害・河川環境の悪化にともなって極端な漁獲量の低下が見られます。

4 河川における感染源の排除
 第一次の感染源は何らかの原因で発病したアユと考えられますが、釣り人が持ち込むオトリアユや釣り具からの感染も考えられます。
 さらに、輸送時(輸送車の消毒・密度等)、放流時(水温調整、時期等)に如何にストレスを与えないかが大切となります。

5 今後の対策
     基本的には無菌のアユを放流していく。現在の対策を徹底して継続します。
     感染経路の解明と遮断方法を確立します。
     保菌検査時における検出率精度を上げます。
     卵の消毒法の確立、無菌飼育法の確立を行います。
     実用的なワクチンの開発を行います。
     感染魚の治療法の開発を行います。
     感染耐過魚を使い耐病性のある魚を選抜育種します。

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※ 釣り人ができる冷水病対策

川には率が低くとも必ず冷水病菌がいると思ってください。冷水病が発生しないように釣り人の方も次の事を守ってください。
川を汚したり、壊したりしないこと、冷水病対策を率先して実行することは、マナーと言うより釣り人の義務です!

@他の河川で釣った鮎をオトリとして持ち込まないで下さい。
  
(冷水病に罹っている川のアユを持ち込み、冷水病をまん延させる恐れがあります)
A
釣った鮎をオトリとして飼って使用しないようにしましょう。
  (アユを飼ってオトリとして使う事は冷水病に罹りやすく、その川の冷水病菌の濃度を高め感染率を上げることになります)
Bオトリは保菌検査をした健全なアユを購入して使用しましょう。
  (無菌の健全なアユをオトリとして使う事が冷水病のまん延を防ぎ、長く釣りを楽しめます)
C釣った鮎が小さい・奇形、死んで鮮度が落ちたなどの理由で、川に戻さないようにしましょう。
  (冷水病は弱ったアユやストレスを受けたアユが発生しやすくなります。釣ったアユは全て持ち帰りましょう)
D使ったオトリを弱ったから、養殖じゃ要らないからと言って放流するのは止めましょう。
  (オトリとして使われ、疲れたアユはストレスだらけで、冷水病が発生しやすくなります)
E死んでいたアユを見つけたら川から出しましょう。冷水病かなと思ったら漁協に連絡しましょう。
  (死んでいるアユを放置する事は、冷水病に罹っていた場合、川の冷水病菌の濃度を高め感染率を上げることになります)
Fウェーダーや船、オトリカンなど釣具を消毒しましょう。酒屋などで食品用のスプレー式消毒アルコールを売っています。
  (冷水病がまん延している川で使った釣具は菌が付着している恐れがあります。天日干しや薬剤で消毒しましょう)


釣り人の一方的な都合、身勝手な行い、オトリ代の節約などによって、冷水病がまん延して1〜2週間でアユが壊滅するよりも、ルールを守ってシーズンいっぱい、アユ釣りが楽しめるほうが良いと思いますよね

● 適正なアユ放流量はどのくらい?

 現在の群馬県におけるアユの放流量は、ここ数年(平成15年度以降)は重量で21トンから25トン、尾数で200万尾から230万尾(平均218万尾)程度となっています。

 この数字は、どの程度の釣果をもたらすのでしょうか。
 冷水病の発生もカワウの食害も無い場合で、川での生存率が約70%と言われています。そして釣獲率は、率が良い人工産で約70%と言われているので、70%×70%=49%が釣れることになります。
 この考え方で計算すると、218万尾のアユが49%釣れる=107万尾が釣れることになります。1尾の重さを60gとすると64トンのアユが釣れることになります。
 107尾を、のべ7万人(平成15年推計)のアユ釣り師が釣るとすると、1回平均15尾が釣れる計算になります。
 しかし、感覚的には、「平均で、そんなに釣っちゃいねぇよ」「それだけ釣れれば群馬の川でやるよ」と言う声が聞こえてきそうです。しかも、これには天然遡上の数字は入っていないのですから・・・。

 実際には、カワウの食害が多く、冷水病も未だに終息しない、解禁当初にたくさん釣ってしまう、若しくは追いの悪い(釣獲率の悪い)海産系種苗が多い、環境が悪く釣り人があまり入らないところまで放流している、放流量が少ない等の理由で釣れないのが現状でしょう。
 ちなみに生存率を60%、釣獲率を60%とすれば36%で78万尾・47トンという実状に近い数字がはじき出されてきます。

 さて、前述した釣れない理由の最後「放流量が少ない」という点について考えてみたいと思います。
 今までに研究された適正な放流尾数は1尾/uという数字があります。これは@アユの縄張り面積が1尾/uである。A河川における縄張りに利用できる率は平均60%である。B淵には瀬の約10%(0.1尾/u)の群れアユが生息する。C放流後の生存率が約70%ということを勘案してはじき出されています。つまり、((1尾/u×0.6)+0.1尾/u)÷0.7=1.0尾/uと言うことになります。また、別の研究では瀬に0.6尾/u、淵に0.2尾/uのアユが住めるという説もあります。
 ただし、この所見にも異論は有るようで、中央水研の研究ではアユの縄張りサイズはアユの密度で変化するという研究結果が出ています。これは、@密度が低いと縄張りをもつ個体が少なく、密度が高くなると縄張りを持つ個体が増加する、A密度が高くなるにしたがって縄張りサイズが小さくなる、B密度が高いと成長速度は鈍る、また群れ個体が縄張り個体の成長を上回ることはない等ということでした。
つまり、ある程度のアユがいないと縄張りが形成されない→友釣りで釣れないと言うことですかね?

 群馬県水産試験場で2000年に発表された「群馬県におけるアユ放流尾数の算定」によると、1尾/uの放流基準を使用してはじき出された数字があります。
 県内のアユ河川の流程がのべ389.24km、平均川幅が27.5mとすると1,070万尾が適正と算出されるそうです。平成18年度の放流量は207万尾ですから1/5以下と言うことになりますので確かに少ないということが言えるのだと思います。
 しかし、1,000万尾のアユ、8gサイズで80トンのアユを放流するのには、種苗代と放流経費を足して1kg当たり4,000円とすれば3億2千万円の経費が、10gサイズなら4億円が掛かってしまうことになります。
 全魚券と雑魚券の全売上げが2億6千万円程度しかない群馬県の漁協では無理な数字です。ましてやアユ漁が行われている漁協は11漁協で、アユ漁ができる全魚券の売上げが1億4千万円程度しかないのですから、とてもかなわない数字と言えます。

 我が上州漁協をみると、烏・鏑・碓氷の3河川はちょうど同規模の面積を持っていて適正な放流尾数を算出すると230万尾程度になります。8gサイズで18トン強、3河川平均6トンずつ入れる数字ですから、今年(平成19年)の放流量4.3トンは適正量の1/4以下であり、1河川の適正量にも満たないということになります。
 中央水研の研究結果から考えれば・・・放流数が少ない→縄張りアユが少ない→アユは見えるけど群れていて釣れない・・・と言うことになりますが、まさに今年の状況は・・・?
 放流量をもっと増やせと言えば、「そんな金が何処にある。そうじゃなくても組合がつぶれる状態だ!」と言っている組合ですから、とてもとてもこの数字を放流できるはずがありません。

 では、どうしたら良いのでしょうか。私としては、放流の考え方を変えるしかないと思います。
 例えば、@河川環境の悪いところには放流しない(地域の役員さんが自分の地区に環境が悪くても入れたがる傾向を是正する)、A釣り人が多く入る地域に集中的に放流し、カワウの食害を減らすとともに冷水病が発生しないよう漁場管理をしっかりと行う。B追いの良い種苗と晩成型の種苗を混ぜて放流して漁期のコントロールを行う。C1尾当たり放流時重量を下げて単位当たり尾数を増やしてコスト減と放流尾数の増を図る。D1日当たりの採捕制限尾数を設ける。E天然遡上がある地域には放流しないなどが考えられますが・・・さてさて、漁協の体質がそう簡単に変わるのでしょうか・・・!?


● 利根川の天然アユについて
 利根川は現在、関宿(茨城、埼玉、千葉の県境付近)で、千葉県銚子へと流れる利根川本流と東京湾にそそぐ江戸川とに分かれています。けれども、江戸時代以前の利根川は東京湾に流れ込む川で、渡良瀬川も平行して東京湾に流れ込んでいたのです。銚子から太平洋に流れ込んでいたのは、渡良瀬川の東側を流れる鬼怒川や小貝川でした。
 利根川が現在の流れになったのは、徳川家康の「利根東遷」という大事業以後のことです。江戸に入城した家康は、江戸を水害から守ることと、水戸方面からの水運を作ることを目的に、利根川と渡良瀬川・鬼怒川などをつなぎ、利根川本流を銚子に向けました。一方、古い利根川の流路は埋め立てられました。現在の、東京湾に流れ込む利根川の流れ=江戸川は、旧渡良瀬川の流路なのです。

 そして、東京湾の三番瀬など波打ち際の浅瀬は、アユの子の絶好のゆりかごとなっています。ここで大きくなったアユは、桜の花が咲くころに多摩川や荒川、江戸川に大量に遡()上してきます。
 利根川は分流とはいえ江戸川を通じて東京湾とつながっていますから、銚子から遡上する「九十九里浜育ち」のアユと「江戸川ルート」のアユが遡上してきています。


 ところが「江戸川ルート」のアユにはいくつかの問題があります。江戸川と同じように東京湾にそそぐ多摩川の調布取水堰
(しゅすいぜき)や、荒川の秋ヶ瀬取水堰には魚道があり、最近は水質も改善されて大量のアユが遡上していますが、残念なことに江戸川の場合は水閘門(すいこうもん。洪水を流す水門と船を通す閘門が一体となった施設:魚道は無い)があって、普段は閉められています。水位が上がった時や船が通る時だけ開くこの水閘門のため、開いた時にうまく通過できた魚だけが利根川に入れるのです。アユをはじめ海と川を往き来する魚たちの自由な回遊は、この水閘門に妨げられてしまっているのです。

 さらに、水閘門が開くのを待っているアユの稚魚たちは、心ない釣り人(5月一杯はアユを釣ってはいけない規則がある)やカワウに捕られてしまいます。アユの遡上時期には100200人の釣り人が、多い時には1日で一人1000尾も釣るというのですから、少なめ(100人×300尾×40日)に見積もっても、300万尾が遡上しているといわれる稚アユの4割が、ここで捕られてしまっているのではないでしょうか
(江戸川松戸漁協の稚アユ漁の様子・江戸川水閘門の密漁の現状はこちらをご覧ください)

 江戸川水閘門より上流でも、地元漁協による漁(これは正当な漁で、捕った稚魚は放流用として売っています)などがあるので、利根大堰(千代田町)までたどり着くアユはさらに少なくなります。そして、利根大堰付近での密漁やカワウの捕食、魚道を見つけられないなどが原因で、実際に利根大堰をのぼっているアユは平均で年20万尾程度となってしまっているのです。

 そして、前橋から海(河口)までの距離は、利根本流では200km。ところが江戸川ルートでは137km63kmも短いのです。アユは1日にせいぜい2〜3kmくらいしか遡上しません。二つのルートの時間距離を比べると、80日と55日弱となり、1カ月近くもの違いがあることに気が付きます。(下の流域図を参照してください)
 3月下旬に川をのぼり始めたとすると、江戸川のアユは早いものでは5月上旬に利根大堰を通過して中旬には前橋あたりまで来ていることになります。ところが距離が長い九十九里産のアユが前橋に着くのはその1カ月後。実際には銚子からのアユは水温の関係でのぼりはじめが遅いので、こんなに時間がかかったら九十九里産のアユは途中でのぼるのを止めてしまうことはないのだろうかとも思えます。さらにアユは水温が高く水質の良い川を好むので、銚子のアユは途中にある鬼怒川などを選んでのぼる可能性が高いのです。つまり、群馬県の利根川の天然アユは銚子からのぼってくる九十九里浜育ちのアユよりも江戸川をのぼってくる『江戸前のアユ』の方が多いと考えられます。
● 山形県小国川漁協の取り組み

平成15年8月4日にがまかつの全国大会が開かれた小国川漁協のアユに対する取り組みを5〜6日に視察してきました。

漁協の組合長と専務にお聞きした話で印象に残ったのは、まずは、この川を何時までも後世に残さなければならないということ、川づくりが大切であり河川工事等の補償金で生きていく漁協は何時かダメになるということでした。
どこかの組合に聞かせたいです。

1400人くらいの組合員の出資組合、海産系の県産人工アユを4トン強入れている。
組合で中間育成を行っている。
この他に海産が遡上している。
1500円の日釣り券でも4トンを入れる十分な財源を稼ぎ出している。
もちろん、冷水病は出ていない。
他からのオトリの持ち込みも禁止されている。
2つの町も警察も協力的であゆっこ村(写真上)や若アユ温泉を整備し、防犯でパトロールしている。
アユが沢山取れるため簗場(写真中)も沢山ある
河川敷は整備され道路、駐車場、芝生広場、便所、売店、キャンプ場などが整備されている(写真下)
川はゴミ一つ無くとてもきれい。
漁協が数人の人を雇って週に2回清掃している。
便所は近くの人が清掃している。
あまりにきれいになっていると汚す人がいなくなるそうである。
川には家族連れの釣り師が多く入っている。
川がアユが地域に大きな経済効果を及ぼしているのである。

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