並行輸入のチェンソーを修理してみました 

                                            

USA仕様のスチールMS260修理記 並行輸入品のシリンダー 日本仕様のシリンダー
(別の修理機より外したものなので
少し汚れています)


先日弊社のお客様から修理依頼を受けました。
友人からもらい受けたものとかで、
エンジンが焼きついておりました。

並行輸入品の修理は基本的にお断りしているのですが、
懇意のお得意様でしたので、お受けいたしました。
写真をご覧ください。
日本仕様と形状は似ていますが、これまったく違うのです。
まずデコンプが取り付け不能です(穴が塞がれています)

(右側の写真(日本仕様)の穴はプラグ穴ではありません。
デコンプを取り付けるための穴です)
重要なのがシリンダーの内径です。
44.6mmなのです。
日本仕様が44.0mmですので、差が0.6mmあります。

このわずか0.6mmがとても問題です。
日本仕様のピストンをUSAシリンダーに入れますと、
0.6mmでも隙間が大きすぎて、ガタガタです。
つまりシリンダー&ピストンでセット交換する必要が出てきます。
たとえピストンだけのダメージとしても
無傷のシリンダーを交換しなければならなくなります。
今回はシリンダーも傷がありましたので交換しましたが、
取り付けている最中に随所に細かい違いがあることに
気が付きました。
この違いがどれほどの影響が出るか分かりませんが、
不安な気持ちで組み上げました。
マフラーも違いました。
マフラーはスクリーンという網が排気口に挿入してあるタイプで、
日本仕様では取り付けていないものです。
このマフラーを組む時にシリンダーの違いが現れました。
マフラーの位置が少しズレてしまい、きっちりと収まらないのです。
仕方なく、ほんの少しマフラーを加工して組み込みましたが・・・

こうなるとクランクシャフトが同じかどうか、
という疑問も沸いてきます。

過去に数回ほど並行輸入品を修理したことがありますが、
わずか数回ですが、
部品の違いで苦労することがけっこうありました。

並行輸入品は確かに安いですが、
こと修理となると難しいと言えると思います。