チェンソーエンジン他について |
・シリンダーピストン ・燃焼温度 ・クエンチングゾーン ・プラグ ・空燃比
・回転数 ・イグニッションモジュール ・
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材質は一般的にはアルミの合金で、
シリコンが主体となり、マグネシウムや銅が混ぜてあるようです。
シリコンを混ぜるのは鋳型に入れる時に入りやすく形成が楽なこと と
製品になった時の滑りが良いようです。
他の元素は熱処理などによって強度を上げるためのようです。
(正確には企業秘密なのかメーカー情報がありませんが・・・)
シリンダー壁にピストンと擦れても磨耗しないようなメッキが施してあります。
ニカジルメッキというもので、ドイツのマーレ社が特許開発しました。
ニッケル-炭化ケイ素の複合電解メッキで、かなりの強固な又頑強なメッキで、
これによりシリンダー壁の磨耗が防がれています。
・燃焼温度
シリンダー内での燃焼温度はMAXで2000度くらいにはなるようです。
アルミ合金の溶解温度が650度程度と推測されますから、
理屈としては溶けてしまいます。
溶けないのは空冷システムが働いているからです。
ただこの空冷システムもクエンチングゾーンの働きが大きいです。
・クエンチングゾーン
クエンチとは消火という意味だそうで、
シリンダー内でプラグのスパークから燃焼を始めた混合気体は、
シリンダーの壁近くまで来ると温度の低い壁で消火してしまうそうです。
それがクエンチングゾーンで、
故に材料が溶けてしまうまで温度が上がらずに済むようです。
そのためには空冷システムが働いていて常時シリンダーを冷やしている必要があります。
スターター側から空気を入れて冷やす訳ですが、
スターターの網目状の構造部分がゴミで詰まっていて流れが悪いと、
焼き付きを起こす可能性が生じます。
またシリンダーフィンに木屑やゴミが詰まっていても冷えが悪くなります。
また長時間高速で使用してエンジンが過熱している状態でガス欠等でエンストしますと、
過熱が除去できずに高温状態がピストンを溶かしてしまいます。
その状態でスターターを引くと溶けた金属が擦れて縦に傷が出来てしまい、
ピストンリングがピストンに張り付いたりと酷い状態になったりします。
スチールチェンソーに使用するプラグは主にBOSCHのWSR6FかNGKのBPMR7Aです。
(一部機種で違います)
熱価値が大事で、高速になるチェンソーにはこの冷え型のプラグの装着が必要です。
これより熱価の低い、焼け型のプラグを使用すると不具合が生じます。
プレイグニッションによるノッキングが起こったりします。
電極の下に碍子でリーク保護がしてありますが、
外側のネジと碍子の間が溝のようになっています。
この溝からも熱が放散されます。
この溝が浅いと冷え型で深いと焼け型です。
この溝の内部にカーボンが貯まるのは良くないです。
このカーボンと電極との間で火花がリークして、
スパークが弱まりエンジン不調になったりします。
プラグにカーボンが付着して黒くなっている場合は、
@プラグの熱価が違っている場合、
(以外とBPM6AやBM6Aを付けている方を良く見かけるのですが、
多くの場合プラグが黒くなっています、
理屈的には7タイプよりも焼け型ですので白く上がるはずなのですが、
逆の場合を多く見かけます)
Aキャブレターの調整が悪くて濃い混合気体になっている場合、
(濃い場合は燃焼温度が下がります、従って不完全燃焼を起します)
B混合燃料自体が濃い場合
プラグギャップは0.5mmです。
また放電電圧は15000〜20000ボルトです。
スチールによれば最近の圧縮の良くなった新型エンジンでも放電電圧は上げていないとのことです。
またWSR6FかBPMR7Aプラグには内部に抵抗が入っています。
メーカーの説明によれば、モジュール内部の電子回路を電波で狂わせないため、とのことです。
・空燃比
○理想の比率は重量比でガソリン1グラムに対して空気14.7グラムです。
この比率だと理論的には完全燃焼します。
○始動時にはシリンダーまでの空間が乾いてますので、始動時に入る混合気体が
マニュホールドなどの壁に貼り付いてしまいシリンダー内部に入る時には、
とても薄い混合気体となってしまいます。
それなので始動時にはチョークをして5:1程度のとても濃い混合気体にします。
これで初期爆発が起こります。
チョーク解除後の加速時は8:1程度になるようです。
つまり空燃比はその時々で変化していきます。
ちなみに使用している際のパワーのある空燃比は13:1位のようです。
・回転数
各メーカーの各機種により指定回転数が違います。
例としましては
スチールMS260
最高回転数 14000rpm
低速回転数 2800rpm
となっています。
この回転数はバーチェーンを取り付けた状態です。
これも同じ機種でも装着しているチェーンタイプが違うと回転数も変わってきます。
例えば25APという一番小さなチェーンタイプでは回転数が上がり、
それよりも大きなタイプを装着すると回転数が落ちるようです。
メーカー指定の回転数にセットして、
木を切断している時には回転数が落ちます。
大体9000〜10000rpmではないでしょうか。
そこに最大トルクの出るレンジがあります。
ちなみにMS260では9500rpmです。
ならばと最初から最高回転数を9500にすれば良いと思う方もいると思いますが、
その場合は木に当てた場合に回転数が落ちて、
更にトルクの出ない回転域に下がってしまいます。
・イグニッションモジュール
プラグに火花を供給するための電子ポイントとコイルが一体となった部品です。
この部品が不良になるとエンジンが始動しない、回転数が上がらない、
スローが不安定など色々と症状が出てきます。
プラグに火花が出ているかどうかの試験をする方もいらっしゃると思いますが、
残念ながらモジュールが正常かどうかの判断をする目安にはあまりなりません。
シリンダー内部の圧縮された混合気体は通常大気の10倍ほどになります、
ですので大気圧中でのスパークは高圧の気体内でのスパークとは違ってきます。
プラグの間隙が0.5mmですので、スパーク距離はその10倍の5〜6mmが必要となります。
そのため三針試験器というテスターやテストプラグというもので試験をすることが必要になります。
イグニッションモジュールの内部は電子回路、一次側コイル、二次側コイル、鉄心、の構成になります。
電子回路と一次側コイルで励起させて二次側コイルに高電圧(15000〜20000ボルト)を発生させます。
※モジュールに悪影響なこと
プラグをシリンダーから取り外し、シリンダーのフィン辺りにプラグのスパーク部分を接触させて火花試験をした時、
プラグがシリンダーから浮いてしまうことがあります、その際にはプラグにはスパークしないことになります。
ではその時に作られた高電圧は何処に行ってしまうのでしょう、
何処かに弱い部分があるとそこでリークしてしまうかも知れませんね。
それがコイル内部だと断線というような故障に繋がる可能性もあります。
またハイテンションコードの亀裂や断線により、
またプラグの放電での電極間の磨耗により間隙が広がったりして、
要求電圧が上がったりすると、コイル内部の耐電圧を超えてしまい、
劣化が始まったりします。