中禅寺湖に巨大レイクトラウトの
ロマンを追う




 中禅寺湖のルアーで狙うレイクトラウトは、
1992年のレイクトラウトラッシュのピーク以降メートルの声を聞かない。

 しかし1997年、禁漁期にあと1ケ月を切った8月24日に、
久々に99、5cmという大物が釣れ上がっている。

死後硬直後の計測だった為、5mm足りなかったが、
釣り上げた時点ではメートルを完全に越していた筈だ。

 かわせみ倶楽部記録魚では1999年の97cmが最大だ。
 
 レイクトラウトを釣り上げるのは決して偶然の産物ではないが、
時としてホンマス狙いの比較的浅いタナでヒットする事もある。
完全に運の世界に入ってしまうが、やはりそれには理由があるのだ。

 そんな夢のレイクトラウトを釣り上げるため、
いままでのデータを基本に、徹底的に解明していきたい。



中禅寺湖、夢の巨大レイクトラウト徹底解剖

1.適水温を捜す
レイクトラウトの大好きな水温は、
他のトラウト達より若干低い7度前後だと考えられる。

表層でヒットするのはこの表水温の時が最も多く、
表水温が8度を超えると、ほとんど表層での
ヒットは無くなるし、
それ以下の水温でもそれ以上の水温でも
タナは深くなり水深20mでヒットしたりもする。


2.ターンオーバー
レイクトラウトはこのターンオーバーに
最も左右される魚だと思われる。

 中禅寺湖のターンオーバーは年によって
週単位のズレはあるものの、
平均的には5月下旬から始まり6月中旬まで続く。

この時期に狙って釣るのは最も難しく、
ホンマス狙いのトローリングにヒットするのも
この時期が多い。運も実力の内なのか?

ターンオーバーが引き起こす濁りによって、
レイクトラウトの適水温域は酸欠に陥ると思われる。

10mより浅い処での勝負となるが、これが結構難しい。

三寒四温が繰り返されるこの時期は、日々の表水温と
濁りの関係が最もキーポイント となるはずだ。


3.サーモクライン
ターンオーバー(湖水大循環)に代わって、
サーモクライン(水温躍層)が出現し始める。

平均的には6月下旬から形成され始めるサーモクラインは、
水深10m辺りから表水温の上昇とともにその層を下げ、
お盆頃の表水温が最も上がる時期には水深20m付近にまで達する。

それより深いところは酸欠状態になり、
最深部に近付くほどその度合いを増すため、生物の反応は無くなる。

全ての釣りの基本となるタナ≠ヘ、サーモクラインを直撃する
レイクトローリングの基本中の基本であり、最も面白く、
醍醐味有る釣りを約束してくれるはずだ。

沖から岸に向かった魚の優先順位は、ホンマス、レイクトラウト、
ブラウントラウトとなるので、釣り分けもまた楽しい。

湧き水や流水、日陰などの部分的に冷たい水の有るところでは、
完全なサーモクラインはその所々で崩壊する。

お盆を過ぎ秋風を感じる頃、サーモクラインは崩壊し始め、
またターンオーバーが始まるので、
自体も生きているのだと感じる事だろう。

4.レイクトラウトは回遊魚?
レイクトラウトも、70cm位までは比較的群れを
作り移動している。

タナさえ合えば連続でヒットしてくる。
最近は若干平均サイズが落ちている様だ。

成長すればするほど群は小さくなる。
1992年前後は、1m以上の雌雄一組づつが
戯れているのが表層でよく目撃されている。

回遊という言葉が適切とは思えないが、
尾鰭の切れ込む形を見ると、かなり広い範囲を
移動しているようだ。
餌場は必ず有り、そこがポイントとなる。

5.におい
レイクトラウトの大きな群が有る場合、
必ず独特な魚臭さがある。

風が強いと感じないが、絶好の条件と言われる
南東の風ピチャピチャの時は五感をくすぐられ、
しびれてしまい、なぜかラインが正常に結べず気が
焦ってしまうほどチャンスだ。


6.ファイト
ヒット時は他の魚の様にロッドの戻りが無い。
曲がったままさらにゴンゴンとしなっていくので、
ドラグは緩めの方がいい。

レイクトラウトの船縁のファイトは凄い。
スクリューに絡まないようエンジンを
ニュートラルにしたボートを平気で100m以上
引っ張る事もある。

大きくなればなるほど凄まじい。
また、奈落の底へ引き込まれると表現するのも正しい。

 取り込みは、映画の結末を話してしまう様なものだが、
一生に一度の大物をキャッチするために書いておく。

深場でヒットした場合、レットコアラインの長さ故、
最初は水中のゴミ袋を回収すると表現される。

レットコア残り40yd付近で
1〜5回10yd〜50yd引き出され
潜られる事が多い。

ニジマスのファイトの様な派手さは無いが、
体ごと奈落の底に引きずり込まれる様なファイトが
人気の秘密で、これがメチャクチャたまらない。
やみつきになる。


7.取り込み
@ ドラグをユルユルにし、とにかく時間を掛けて
巻き続ける。

初心者がよくやる手だが緩め過ぎると
ラインがたるみ、バラす危険性があるので注意。

A ポンピング+リールクラッチ切り作戦。

必要不可欠で絶対的な方法だから日頃から練習し、
イメージだけは頭の片隅にインプットしておく。
これを怠ると二度とチャンスは無い。

何度かのレットコアライン50yd〜10ydの攻防は
これでなんとかなるだろう。

注意しなければならない事として、
リールのクラッチを切る際に、
サミングを忘れてはいけない。
バックラッシュしては元も子もないのだ。

レットコアライン、リーダー共に常に張っておくことが
重要で、リーダー切れの限界点、
特に結び目の限界点は体に染み込ませておく。







ロッド


ウエダCLT1010MのシェアがNo1だが、
基本的にレイクトラウトもイワナの仲間なので口は堅く、
ヒット時のフッキングが完璧に行われる様なロッドの堅さが必要だ。

また、レットコアラインを長く出す場合が多いので、
レットコアラインの伸びを考え、ファーストテーパーミディアムアクションか
ミディアムヘビーで、長さ11ft位が使い易い。

グラスロッドやフニャフニャロッドでも兼用出来るが、
レイクトラウトがルアーを外そうとし、水中で頭を振る独特な
ゴンゴンと云う感触が釣り人に伝わってこないので、面白味にかける。

全体的なタックルの軽量化を図り、しなやかなロッドより、
張りの有る堅めのロッドの方が圧倒的にファイトを楽しめ面白い。


リール


やはりABU7000番台がシェアNo1を誇る。

どうしてもタナが深い処を狙うのと、ルアーを自船から
なるべく離したいので、レットコアライン100ydを巻きたいが、
現状のABU7000〜7500Cではチョットだけ
ラインキャパシティーがたりない。

私は7500Cのハイスピードギアモデルに90ydだけ巻いている。
レットコアラインの鉛芯を5ヤードほど抜くと100ヤード巻ける。
ついでに芯無し部分をバッキングと考えれば無駄も無くなる。

7700CLハイスピードモデルはなぜか97年カタログに載っているのに、
発売されていない。98年のカタログからは削除されてしまった。

7700CTのメインギアーとピニオンギアーを移植してしまおう。
@
MAIN GEAR(23674)¥3,800
A
PINION GEAR(23673)¥2,900

@+A=¥6,700


おまけ
(どうしてもアンバサダー7000のレッドモデルに拘りたい方には)


7500Cを赤カップモデルに

@
SIDE PLATE RIGHTハンドル側(95073)
A
SIDE PLATE LEFTパーミング側(95072)

@+A=¥10,000くらい。

7500C3はベアリングが一つ多い分不可?

ニュー7000Cはラインキャパシティーが若干多いが、
スプール軸を削らないとハイスピードピニオンギアーが入らない。

ハンドル赤とハンドル部クロームに

@
HANDLE RED(6962)¥3,300
A
HANDLE NUT LOCKING CHROME(6991)¥600
B
SCREW CHROME (301)¥200
C
STARWHEEL CHROME(9696)¥2,400
D
CAST CONTROL KNOB CHROME(9597)

7000赤ハイスピードに

@
MAIN GEAR(20871)
A
PINION GEAR(20873)
B
SPOOL COMPL.(970477)

@+A+B=¥15,000


ラインキャパシティーとハイスピードモデルは必要不可欠なのです。
できればもう少しコンパクトに作り上げてほしいな。


レットコアライン


27lbを使う人もいるが、太い分水中の抵抗が大きく、
沈みに関しては若干深く早い程度で、タックル全体の重量が重くなるし、
魚のファイトがダイレクトに伝わりにくいデメリットの方が大きい。

やはり他の魚同様18lbが扱い易い。湖底を這わせる事が多いので、
これより細いレットコアラインはすぐにぼろぼろになってしまい、
40cm程度の魚で切れた事が有る。

    いづれにしても、レイクトラウトとブラウントラウト狙いに於いては、
釣行前の入念な点検が必要だ。


仕掛け


ブラウントラウト編に同じ。

特にドジャーは本来の集魚板の働き以外に
ルアーの動きを補佐するために使われる事が有るが、
動きの良いルアーにすればいいのであって、
レイクトラウト狙いには適さない。

    ピンポイントを狙い「釣る」と言う行為からはほど遠く、
「釣れた」のでは無く「釣った」と言いたいのだ。

    現在の中禅寺湖に於いて、ゲームフィッシングトローリング大物派は
暗黙の了解の上で、このドジャー無しとレットコア18lb使用が
情報交換の前提となっている。


リーダー


6〜10lbで狙う人が多い。

長さは10〜20mで、いずれもその条件により使い分ける。


ルアー


最近目立って良くヒットしているものに、貝殻削りだしスプーンがある。

日本鮑を筆頭に、白蝶貝・夜光貝などで釣れている。
4〜9cm位の大きさが良い。

    牛角削りだしスプーンも好調だ。4〜9cm。

    ミノー・プラグともあまりウォッブリングし過ぎないルアーがよく、
特にミノーで攻める場合は、ローリングアクションが
強めの方が効果がある。5〜11cm。


ポイント


なんといっても「フランス大使館前」が筆頭だ。

6月中旬に1週間だけ「大尻湖畔亭前」に大きな群が入り、
中型の40〜60cmが入れ食い状態になる。
定量をクリアーしてしまう事も珍しくない。

そのほか、国道側は「二荒山神社前」「大崎」「丸山」「ポンプ小屋前」
「岸が渕」、山側では「立木観音駐車場沖」「本つが」「むじな窪」
「八丁出島」「小寺ケ崎」「あぜがた」「上野島」「大日岬」で実績がある。


タナ


レイクトラウトの好きな深度は?と、問われれば、
一言で言うならば15m。

   もちろん上記のようにその時期により、狙い方を変えるのが鉄則になるが、
最も確率の高いタナだ。「レイク岡甚」から赤い三角屋根が目印の
「両生類研究所」の間と心中する覚悟が有れば70cmオーバーは釣れる。


注意点


どうしても他の魚を狙うよりもレットコアラインを長く出すので、
湖が荒れると恐い。

早め早めの判断でレットコアラインを回収し、
避難しないと痛い目に逢ってしまうので気を付けよう。

レイクトラウトは10年以上は生きながらえ、
そのほとんどが自然繁殖に頼っている。

そのため他の魚の様に稚魚放流や成魚放流によって更新がなさらず、
幼魚の時代から解禁中は毎日毎日ルアーや餌で攻められて居るので、
とてもスレている。年々難しくなっているのが現状だ。

    地元のヒメマス漁師の中には害魚扱いする人がいるが、
貴重な種なので最低自己レコード以外はリリースしてほしい。

確実にレイクトラウトは減っている。


最後に


レイクトラウトが見たい人は、中禅寺湖漁協の先にある
水産試験場に見に行こう。 入場料150円位だったと思う。

メーター近いのがうじゃうじゃいる。
私もレイクトラウトが釣れなかった頃は良くそこに行き、
レイクトラウトとにらめっこしていた。
 


かわせみ倶楽部事務局発行
「本文章の 転載を禁止します。」



中禅寺湖トローリング大全へ