「正しい会社の辞め方 番外編」
〜尋常じゃない会社の辞め方〜
(雑想記その12)
会社を辞めると言っても普通に辞めるパターン以外にもいろいろあるものです…
今回はそんなパターンを調べてみたので解説をしてみましょう
●会社が倒産した!
うーむ…最近はどんな大企業でもいつ倒産するか分からない時代ですからねえ…(-_-;)
さて、会社が倒産してしまった場合、労働者の賃金は他の一般債権より優先して弁済を受けられることになっています。(これを「先取特権」といいます。)
つまり会社が借金をしていた銀行や、原料を仕入れていた問屋などより優先して未払い賃金をもらえるのです。さて、会社にお金がない場合はどうするかというと…(だから倒産したんだろうけど…(^^;)売り掛けや会社の所有財産があれば先程の「先取特権」があるので、判決を待たずして差し押さえられます。(但し、これは裁判所の執行官が行うので自分でやらないように。)
よく、破産が決定すると社員が先を争って会社の備品を持っていくことがあるけどこれは「自力救済の禁止」と言って禁じられているものです。(でも文句言う人も少ないだろうし持っていく人が多いだろうなあ…でもダメですよ。(^^;)
でも労働者の「先取特権」より強いのがあるのだ…それは国税。労働者の賃金が優先と言いながらそれより先に取っていくすごい奴です。(さすが政府は抜け目無い…(^^;)
でもそれじゃあんまりなんで過去6ヶ月の未払い賃金の約8割(年齢によって上限がある)を国が立て替えてくれる制度があります。で…破産が決定したら…
1.裁判所から郵送されてくる労働債権の届け出に未払い賃金を記入して破産管財人に提出。
2.裁判所で開かれる、債権者集会に出席して金額が決定。
3.破産管財人から証明書を受け取り労働福祉事業団に送る。ただし、裁判所が破産を決定してからすぐにはもらえないのでご注意を…
ちなみに賃金請求権は2年で時効です。未払い賃金がたまっている場合には時効になる前に書面で未払い額を確認してもらっておきましょう。
●リストラされてクビになった!
これも最近多いのよねえ…(-_-;)
民法によると「期間を定めずに雇用した者に対しては、原則として14日以内に予告すれば、労使いずれからも任意に契約を終了させることができる」のが原則。ん…と言うこととはいつでもクビに出来る…と言うことにもなりかねないけど、実際には「正当な理由がなければ解雇は職権乱用となり無効である」と言う考え方が確立されてきているので取り敢えずは安心かな。
ではどういう場合が正当な解雇理由になるのか、ですが…
A.労働者の労務提供の不能や労働能力または適格性の欠如・喪失、つまり労働者が働かない、働けない、またはその仕事に適していない場合。
B.労働者の規律違反、つまり労働者が職場の規律に反し、懲戒処分の事由のある場合。
C.経営上の必要がある場合、つまり合理化のための人員削減、経営不振による人員整理などの必要がある場合。
…などです。これだけ見ると、かなり労働者の不利なようにも見えるけど、実際の判例では労働者に有利なあらゆる事情を考慮して、解雇が妥当であるか判断しています。例えばCの場合だと本当に人員削減の必要があるか、使用者は最大限の努力をしたか、解雇者を公正に選んでいるか、などで判断しています。
その他女性だからなどという差別的理由や、組合活動を行ったからという理由、あるいは労災で休業している期間とその後の30日間の解雇は禁止されています。
しかし、それでもなお「解雇」にする場合、使用者は少なくとも30日前に解雇の予告をするか、30日分以上の平均賃金を支払わなければいけません。
ただ…これら以外にも即時解雇の場合もありますそれは…
1.天災(地震等)によって工場や事務所が崩壊した場合
2.懲戒解雇の場合
でもこれらの場合は労働基準監督署の認定が必要です。
●過労死しました…
うーん、それは不幸でしたね…と言っている場合じゃない。死んで辞めたと言うんじゃお話にならない…
過労死は労働災害の最も重大なものです。過労死の労災認定を受けるためには「病気が発症する日の1週間以内に日常の業務に比べて過重な業務が継続していたことが必要である」とされています。
じゃあ、たまたま症状が重くなる1週間がヒマだったらどうなるの?…と言う声も聞こえてきそうですが、実際には1週間分の過労だけが原因ではなく長年の疲労が蓄積して病気になるのが普通です。だからこの基準にとらわれずに認定が降りているケースも少ないくないようです。ですから普段から労働の記録を付けておくことをお勧めします。(日記みたいなものでいいので、今日は残業で何時から何時まで働いた…と言うように)そうすれば労災だけでなく、会社に損害賠償も請求出来るかも…
ちなみに過労死だけに限らず。労働災害が発生したら労働基準監督署に保険の支給手続きを取ります。本来なら会社がやってくれるんですけど、個人でも出来ます。万が一、会社が労災に加入していなくても保険の請求は出来ます。(強制加入が原則ですから。)支給されるのは医療費は全額、休んだ分の給料については平均賃金の80%です。その他、障害補償や遺族補償、葬祭料…(T_T)などがあります。
どのみち、死んでしまったら元も子もないので働き過ぎには注意しましょうね。
どれも極端な例かも知れないけど
どれも有り得ない話ではないんですよね…
(最後の過労死はあっちゃ困るけど。)今回で一応「正しい会社の辞め方」のシリーズはお終い。
ここまで見てくれた方ありがとうございました…m(_ _)m
(何人見るのかは知らないけど (^^;)