最近の屋久島状況  (18W 宮本敬之助)
5/20〜5/28屋久島に行って居りました。
今年は石楠花の当たり年。ちょっと早かった(一週間)が充分鑑賞して来ました。
天候:名物の雨々々。山中5泊の内晴れたのは1日。幸い大雨ではなかったが、路は渓流を登降するが如し。
コース:(→登り、←下り)
淀川小屋(泊)→花之江河→黒味岳→投石岳→栗生岳→宮之浦岳←焼野→永田岳←鹿之沢(泊、連泊)→永田岳←焼野→長塚尾根←平石→坊主岩→小高塚山新高塚小屋(泊)←縄文杉←ウィルソン株←三代杉→辻峠←白谷山荘←白谷雲水峡園地
6回目の屋久島。前回は6年前鹿之沢に入った。
今回ほど変化の甚だしいのにオドロイタことなし。
1.  荒川ダムまでタクシー。森林軌道跡のトロッコ道を歩いて縄文杉へ至る銀座コースは観光道路となり、幅広い木道と階段の連続。上手に歩けばハイヒールでも行ける。(言い過ぎかな。実行しないこと。)
2.  縄文杉は50m位離れてデッキが出来て、そこから観る。動物園のゴリラを観る如し。ネパールに行って、ヒマラヤビューホテルへヘリで飛んでエベレストを見に行くのに近くなったと感ずる。
 縄文杉は乾いてしまって、老いたストリップ嬢を連想する。昭和31年初見。あの頃は怖かった。
3.  ヤクスギランドまでのバス、紀元杉まで延長。淀川小屋登山口まで1Hrの歩行。
4.  淀川登山口で尾之間→乃木岳←鯛ノ川上流渡渉→のコースと合うが、このコース、ヤブと渡渉でキケン。(昔はこのコース、一日がかりで来た。)
5.  淀川小屋立派。勿論無人。花之江川より宮之浦岳のコース、晴天なら問題ないプロムナード。
シャクナゲ、ハイマツの如く多数。ヤクシマミツバツツジ、ヒカゲツツジ、サクラツツジも多い。
6.  宮之浦岳より下って焼野に至り三叉路を右折、長塚尾根を縄文杉へ向かうのは何ら問題なし。これが銀座コースである。
7.  焼野より永田岳そして鹿之沢に入るコース。これは大変。ポイントには音の指導標あるも赤テープをたどる。
 まずヤブコギ。ヤクシマダケと侮るとイケナイ。コースの跡は溝となり、その両側に生えるのだから、身の丈を没すること多い。10,000mm/年の雨量という地帯。雨水は弱いところ(路)をぐんぐんエグリとり、2m近い崖を形成している。
 登りはまあまあ、降りは猛烈にコワイ。鹿之沢へは永田岳山頂直下より行くのであるが、路は殆どヤクシマダケで埋まり、アッとオドロクタメゴローで、2m位転落。私もオッコチ、新品の雨衣を破るほど。(ケガがなくてよかった。)
 単独行は止めた方がよろしい。昔、40分〜1時間で鹿之沢へ降りたのに、4時間かかった。(リュック20Kg)
 鹿之沢小屋20人収容可。水場すぐ。石積みトタン屋根。6年前、床etc剥がされていたが、キチンと修理。快適。但し、アカネズミ出没。雨衣のポケットに食物イレトクと危ない。穴をあけられる。
 鹿之沢よりの降路、花山歩道(原生林最高)ヤブ激しく、大型リュック通行難渋。赤テープあり。栗生(人家のあるところ)まで8Hrは要するか。
 別に永田へ永田川下降。これ又ヤブ激しく、同前。
 往路を永田岳へ帰るのが無難。
 殆ど人が来ないので、昔の楽園が残っている。推奨する。体力と勇気があれば技術的にムツカシクナイ。言い換えると、岩登り三級くらいの胆力がほしいということ。(私♀を一人同伴。但し、この人テレマークの名手。先行しては戻って、私のリュックを取り上げる程の人)
8.  辻峠。藩政時代、島民が奥山より材木を搬出した古い峠。縄文杉詣であっても、この峠越えをおすすめ。日本の峠選があれば、ベスト10に入ると思う。
最近の屋久島の遭難事情 (18W 宮本敬之助)
昭31年冬期遭難にはじまり、昨年まで死者行方不明31名。屋久島の友人よりの聞取り。  
  失道 19人(61%)
  疲労凍死、渡渉失敗 各4人(各13%)
  滑落、転落 2人(6.5%)
  病死 2人(6.5%)
 昭31年〜63年まで 16件(0.48人/年)
 平1年〜12年まで 15件(1.25人/年)

 昭和と平成の違い
             昭和     平成
  疲労凍死   4件(2.5%)  →    0件
  渡渉失敗   1件(6%)   →    3件(20%)
  滑落、転落  2件(13%)     →    0件
  失道       9件(56%)    →  10件(67%)
  病死      0件(0%)       →    2件(13%)
           (0.48人/年) → (1.25人/年)→
 皆さん御存知ハインリッヒ係数 1:29:300 をもしあてはめるなら36人/年の怪我人、375人/年のキケン行為があったことになる。

 失道は全部、淀川小屋−花之江川−宮之浦岳−平石−新高塚小屋に至る間である。
 銀座コースでなんで?となるが、昔の伐採人夫の踏跡、鹿のケモノミチが錯綜している。一歩踏みまちがえると判らなくなること事実。オカシイと思ったら稜線へ引き返す。滝が多くて、とても降れない。

 いずこの山も同じであるが、屋久島は、観光化、国立公園、森林生態系保護区域指定、世界遺産登録など客寄せレッテルを冠して観光の島のイメージが強い。

 現在の登山者は優れた登山用具に頼り、はじめから困難を目指す考えは全くなく、屋久島は簡単な島、簡単に登れる山と安易に考えている。
 要は、登山者個人の自然に相対する姿勢にある。

 2万5千分の1の国土院地図は、全島をカバーするとなると6枚になる。せめて奥山部分の「宮乃浦岳、永田岳、栗生」の3枚は持つべきであろう。地図会社の集成編集しているヤツは概念図として使用するもので、転ばぬ先の杖にはならない。
推奨民宿  熊毛郡上屋久町宮之浦2373-2 やくすぎ荘
         TEL: 09974-2-0023   FAX: 09974-2-1919 
屋久島のシャクナゲ  (18W 宮本敬之助)
 2種類あります。注意して見て下さい。
 アヅマシャクナゲの系列に入ります。他のシャクナゲは花7裂ですが、ヤクシマシャクナゲは5裂です。
 ヤクシマシャクナゲ Rhododendron Yakusimumun Nakai
 高さ0.5〜1.5m 葉の長さ5〜10cm 巾2〜3cm 風衝地に生育(1600m以上) 

 オオヤクシマシャクナゲ(変性) R. Y.Varintermedum
 高さ2〜3m 葉の長さ10〜14cm 巾2〜4cm 1000〜1600mの林内
 (前者の方が蕾の鮮紅度つよい。) 


歩きながら見た植物
 オオヤクシマシャクナゲ ヤクシマシャクナゲ オオゴカヨウオウレン コケスミレ ヤクシマミヤマスミレ
 ヤクシマテンナンショウ ヒトツバテンナンショウ マルバモウセンゴケ ヤクシマコンテリギ アリドウシ
 フタリシズカ ハイノキ ヤクシマダケ コミヤマカタバミ アセビ ヤクシマコケリンドウ ヤクシマミツバツツジ
 ヒカゲツツジ サクラツツジ ヤクシママイヅルソウ ツクバネソウ ヤクシマノギラン ヤクシマコオトギリソウ
 ヤクシマウメバチソウ(芽) ヤクシマホシクサ キバナ コマノツメ(芽) ヤクシマアザミ(芽) 低地ダチユラの花
 クワズイモの大群落 オオクボシダ ヤクシマウラボシ ヒカゲヘゴ ナチシダ


推薦植物図鑑
  屋久島の植物(株ェ重垣書房) ISBN4-8412-1172-1 C0045 \1,924
  続 屋久島の植物(株ェ重垣書房)ISBN4-8412-1181-0 C0045 \2,000
   川原勝征 著 初島佳彦 監修