仙ノ倉山荘管理手順
I. 仙ノ倉山荘の沿革
仙ノ倉山荘は1934年(昭和9年)に創建されたが、これは山岳部部長の吉岡教授の卓見と、山岳部委員長(10W沖)らの情熱の訴えを理解し、友情で建設資金提供を取り決めた交友会運動部リーダー達に負っている。
しかし、1977年(昭和52年)の豪雪はこれを崩壊させた。山岳部OBは吉岡教授を中心に計画を練り、資金を寄付して1979年(昭和54年)に、旧山荘と似た雰囲気を保ちながらもより強固である新山荘を竣工し、盛大に祝った。
群馬大学工学部の前身である桐生高等工業学校の山岳部は1926年(大正15年)に発足したが、冬休みのスキー合宿は1929年(昭和4年)の第1回(赤城山、猪谷旅館)以降、毎年場所と宿舎の選択に悩んできたので、泊まれて滑れるスキー合宿所を建設したいとの希望が強くなった。
1932年(昭和7年)より吉岡教授を中心に山岳部部員らは建設地の調査を開始、前年の上越線の開通を踏まえて、ここ新潟県南魚沼郡湯沢町字土樽に毛渡沢上流の仙ノ倉沢出会の台地を選び、当時の六日町営林署と折衝して山荘候補地に定めた。
建設費は600円と見積もられたが、この調達につき山岳部委員長(10W沖)及び会計担当(11C外山)らは1934年(昭和9年)3月全運動部のキャプテン(委員長)に「全学生のための施設」を学校にかわって建設したいとアピールした。これが理解され、友情により運動部は一年少ない予算で我慢して、その分の校友会費を建設資金に廻すことが、4月の予算会議で決まり、山荘建設費の大半に当たる500円が校友会から、残りの不足分の100円は当時の教職員から寄付を仰ぐことで賄われることになった。
同年の4月と7月には、吉岡山岳部長らは自ら現地に赴き、検分、測量され、自主設計、材料(ブナ材)現地調達で、間口3間(5.4m)、奥行4間(7.2m)、木造二階建て、名付けて「仙ノ倉山荘」が、この1934年(昭和9年)9月24日に竣工した。
この年の12月に初めてのスキー合宿が行われ、やがて仙ノ倉山荘は上越国境連山の尾根歩き、沢登りの基地の役割を果たすようになった。
残念ながら、1977年(昭和52年)2月の豪雪で屋根が落ち、修復は無理とみて取り壊された。
山荘取り壊しの後、山岳部OBの間に再建復興の気運が高まり、1978年(昭和53年)吉岡先生を委員長とする仙ノ倉山荘再建委員会が発足し、旧山荘の雰囲気を残しつつ、積雪の重みに耐える頑強な構造とすべく、構想、資材を検討し、総工費を1200万円と見積もり、これを寄付金で賄うこととした。
大学本部施設部の協力による設計図に従い、小野里工業(前橋市)の監督の下、小野塚組(塩沢町石打)が1979年(昭和54年)6月下旬より9月下旬にわたり施工、晴れて同年10月13日に竣工式が挙げられ、森平三郎先生(元本学紡織科科長、元山形大学学長)、吉岡先生遺族(先生は山荘完成目前の7月11日心不全で急逝。享年86歳)、建設関係者、山荘管理人の劔持義治氏、全国の山岳部OB有志、現役WV部員有志等44名が参加した。
新仙ノ倉山荘再建を機に、山岳部OB会の中より仙ノ倉山荘管理委員会(代表16M忍足先生)を発足させ、山荘に対する公租・公課、山荘管理人(山荘と林道車両ゲートの鍵保管委託)の委嘱、山荘保守・営繕のための支出、山荘利用料の収受、維持管理費の募金活動、5年ごとの山荘創建記念祭の企画、夏季WV部部員の小屋番奉仕、秋季山岳部OB有志の薪入れ奉仕および年末山岳部OB会兼忘年会の設営、仙ノ倉山荘便りの発信の窓口となってきた。
その主なものは次の通りである。
1979年(昭和54年)再建費
1982年(昭和57年)山荘修理費
1989年(平成元年)山荘維持管理費
1994年(平成6年)山荘維持管理費
2004年(平成16年)山荘維持管理費
2015年(平成27年)山荘維持管理費
2021年(令和3年)山荘維持管理費
U. 仙ノ倉山荘管理手順
群馬大学工学部山岳部OB会及び同ワンダーフォーゲル部OB会より委託を受けた仙ノ倉山荘管理委員会(以下「管理委員会」という)が、国より借り受けた敷地に建設した仙ノ倉山荘(以下「山荘」という)に関して、その管理を行う。
管理委員会は、仙ノ倉山荘の利用を通じて、山岳部OB、ワンダーフォーゲル部OBのみならず群馬大学三学部の学生、OB、教職員とその家族並びに学外一般の自然愛好家に、山行、散策、休養上の便宜提供をはかる。
管理委員会は、前項の目的を達成するための次の管理業務を行う。
(1)
公租公課対策
(2)
保守営繕
(3)
管理人委嘱
(4)
山荘利用者受け入れ
(5)
仙ノ倉山荘に関する定例行事の企画、実施
(6)
仙ノ倉山荘管理基金(以下「管理基金」という)の管理
(7)
その他前項の目的を達成するのに必要な業務。
契約の相手先は、中越森林管理署(〒949-6641新潟県南魚沼郡六日町大字美佐島字京田61-8、業務課管理係またはその出先機関の湯沢森林事務所)である。
更新は3年毎で、更新年の4月に先方より送付される契約文書に管理委員会代表委員の記名捺印をして返送する一方、借地料を振り込む。この借地料は管理資金より支弁する。
代表者の住所・氏名に変更があるときは、速やかに森林管理所に届ける。
湯沢町役場税務課(〒949-6102 新潟県南魚沼郡湯沢町大字神立300 から届く納税通知書に基づいて、管理基金より支弁して払い込む。
管理委員会の住所・代表者に変更があるときは、速やかに上記の税務課に連絡する。
山荘の外装、内装、設備等に生じた損傷を発見もしくは利用者から連絡を受け、その修復に専門家による修復工事が必要と判断される場合、管理委員会担当委員は工事業者に見積りを依頼し、それが妥当と認められれば、工事を発注し、検収の上、工事費を管理基金より支弁して払い込む。
損傷修復に専門家の工事を要しないと判断される場合は、その損傷の発見者、通報者又は管理委員に、修理、交換等を依頼し、発生した費用は領収書に基づき、会計担当委員が管理基金より支弁する。
管理委員会は土樽在住の適格者に山荘管理人を委嘱し、次項の管理業務を委託する。
委託する業務は次の通りとする。
(1)
山荘利用者に関する業務
山荘使用許可の確認又は仲介し担当委員への連絡、山荘及び林道車輌ゲートの鍵
の保管並びに貸し出し、鍵貸し出し簿の維持、山荘使用料の仮収受。
(2)
山荘付近の状況把握、連絡
管理委員会は管理の謝礼として年30,000円を贈呈する。謝礼金は管理基金より支弁する。
入荘を希望する場合は、管理委員会担当委員又は山荘管理人に、氏名、卒年、入荘予定日時、目的(行先)、人数、日程などを告げ、了解を得た後、入荘当日山荘の鍵及び自動車利用のときは林道ゲートの鍵を借り受け、鍵貸出簿に日付、代表者氏名を記入する。
入荘者は直ちに山荘の外装、内装、設備等を点検し、もし異常個所を発見した場合は詳細に記録し、退荘後の報告、連絡に備える。
入荘者は、状況に応じ、山荘周囲の草刈り、水場水槽、トイレの清掃を行う。
退荘時には、「来たときよりも美しく」をモットーに室内を清掃し、火の元、水廻り、残存食料の鼠害防止策、道具類の整理整頓に配慮し、備え付けの山荘日誌に行動記録および必要あれば特記事項を記入し、最後に戸締まりを確認し、帰路山荘管理人宅に立ち寄り、鍵を返還し、異常の有無等の状況報告を行う。
一般者が山荘使用を希望する場合は、管理委員会の担当委員まで、代表者の住所、氏名、電話番号、目的、日程、人数を電話で連絡する。担当委員は代表委員と打ち合わせの上、山荘行事などに支障がないときは、使用許可書を発行する一方、山荘管理人に連絡する。
一般利用者に対して、担当委員及び山荘管理人は、鍵の受取・返還方法、入荘時の内外点検、山荘日誌への記入、退荘時の整頓、清掃、戸締まりの確認、周囲状況の連絡などを要請する。
山荘使用料金は一泊につき、次の通りとする。
一般者 1,000円
群大関係者 700円
子供 500円
使用料金は許可を受けたと同時に担当委員に送金するか、日程上間に合わない場合は、入荘に先立ち、山荘管理人宅に預託する。
管理委員会は次の定例行事の詳細を企画し、関係者に参加要請もしくは関係者を招待する。
(1) 冬・春季のスキー合宿
(2) 夏季の小屋番
(3) 秋季の薪入れ
(4) 5年ごとの山荘創建記念祭
管理委員会でとりまとめてOB会総会に諮って実施する。
この規程を円滑に運用するために必要な事項は別に定める。
この規程は2000年(平成12年)1月末日より施行する。
策定 1999年(平成11年)12月3日
改定 2000年(平成12年)1月30日
改定 2015年(平成27年)12月7日
改定 2021年(令和3年)12月31日