丹沢主脈縦走  2013.45

夏山登行

巷中無處避炎威

踏破涼山人跡稀

攀石聴泉幽谷裏

煩襟洗卻入清機

 

読み下し文

         巷中炎威を避くる處無く

     涼山の人跡稀なるを踏破す

     石を攀じて泉を聴く幽谷の裏

     煩襟洗却して清機に入らん

意訳

   街中は真夏の燃えるような暑さを避けるところがない

   人影もまばら涼しい山を縦走している

   鎖場の岩場を攀じ登って、奥深く渓流の水音が聞こえてくる

   俗世界の煩わしさをすっかり洗い流し、清らかな心になった

 

:巷中(こうちゅう)=町中。炎威(えんい)=真夏の燃えるような暑さ。處(ところ)

  涼山(りょうざん)=涼しい山。人跡(じんせき)=人の往来する跡。

  攀()じて=よじ登る。泉(せん)=渓谷の流の音。幽谷(ゆうこく)=奥深く静かな谷間

  裏(うち)=物事の内側、ふところ。

  煩襟(はんきん)=俗世界の煩わしい胸中の思い。洗卻(せんきゃく)=すっかり洗い流す

  清機(せいき)=清らかな心の働き。