剣岳、槍ヶ岳縦走  1946.7.

       槍ヶ岳        孟甫

      山巓尖鋭阻人堅

      稜線延々谿太淵

      正看四陲原始境

      好風吹領意澄然

読み下し文

      山巓は先鋭  人を阻んで堅し

     稜線は延延として谿は太だ淵し

     正に四陲をみる  原始の境

     好風 領を吹いて意澄然たり

意訳

     山の頂上は先がとがってなかなか人が登るのが難しい

     稜線は長々と続いて谿は大変深い

     正に未開の自然のままの処の辺境を見ているようだ

     心地良い風が襟元を吹いて心が澄みわたった

     山巓=さんてん=山の頂上、山頂

    尖鋭=せんえい=先が尖っている、先がするどい

    阻=阻む

    谿=たに

    太=はなはなだ

    淵=深い

    看=みる

    四陲=しすい=辺境

    領=えり

    意=い=心

    澄=すんだ

    然=ぜんたり=そうである