荒川三山・赤石岳縦走記録

 

期間201081日(日)〜5日(木)

登山ルート:椹島−千枚岳−荒川東岳(悪沢岳)−荒川中岳−荒川前岳−小赤石岳−赤石岳−赤石東尾根−椹島

参 加 者CL 荒井真二(38C)、SL 関 将盛(40C)、石川 弘(40S)(記)

地図    

 

登山記録

  8月1日(日)晴 

静岡駅前発9:50(しずてつジャストラインバス「南アルプス登山線」)= 畑薙第一ダム着13:15、同ダム発14:05(東海フォレスト無料送迎バス)= 椹(さわら)島ロッジ着15:00(泊)。

 

「南アルプス登山線」は大型バスで期間限定の1日1往復、料金は荷物料込で片道3,000円。畑薙第一ダム付近に2か所の駐車場があり自家用車の利用も可。

東海フォレスト無料送迎バスは椹島ロッジ等の宿泊施設利用者に限り一般車通行不可の林道を小型バスで送迎。バスに約5時間乗って登山基地に到着。椹島ロッジは定員200名と大規模、プレハブ造の4人部屋。懇親会の後、入浴し早めに就寝。

 

82(月)晴、曇

椹島ロッジ(標高1,120m)5:35−小石下着8:25(昼食1)−清水平着10:25−見晴台(2,130m)11:55(昼食2)−駒鳥池着13:50−千枚小屋(2,600m)14:50(泊)。行動時間(休憩を含む):9時間15

 

このコースは平成3年の高校総体で利用されたもので、岳人20097月号別冊 夏山で「幾重に連なる3000m峰をダイナミックに越えて」と紹介された。

小石下まではやや急登、その後は小屋までほぼ均一な傾斜の登り。ロッジの弁当は菓子パン2個、ジュース、ゼリーと飴玉で食欲を減退させた。清水平には冷たくてきれいな水場あり。見晴台ではガスの中から一瞬、小赤石岳が顔を見せた。駒鳥池は倒木と苔の静かな小池。千枚小屋は森林限界付近にあり、周りは少し手を入れた感じのお花畑。昨年6月に全焼したためプレハブの仮設小屋で営業中。小屋正面に富士山が見えるはずだが雲の中。小屋到着後、小屋脇のテーブルで懇親会。人気のあるコースらしく我々と同方向縦走と逆方向の合計の小屋宿泊者は50人ほど。登山口から小屋までは水平距離約8Km、標高差1,450m、平均傾斜18%で、1日の登りとしては距離と標高差が大きくかなりの消耗を強いられ、鈍行登山となった。

 

  

見晴台にて、背景は小赤石岳               駒鳥池   ]

 

83(火)霧雨後、曇、晴

千枚小屋(2,600m)5:45−千枚岳(2,879m)6:40−荒川東岳(3,141m)8:50−荒川中岳(3,083m)避難小屋着10:30(昼食)−荒川前岳・荒川岳山小屋分岐着11:35〔荒川前岳(3,068)往復〕同分岐発12:00荒川岳山小屋(2,600m)13:30(泊)。行動時間:7時間45

 

夜中に豪雨と雷。朝は霧雨で天候が回復する兆し。雨具のズボンを穿いて出発。直ぐに針葉樹林からハイマツ地に変わった。千枚岳の下りから荒川東岳の下りまでは足場が悪いところがあるので慎重に行動。荒川東岳山頂付近は赤色の石が目立った。頂上の標識は「荒川東岳」だった。荒川中岳付近からガスが切れて赤石岳が望めるようになった。昼食は中岳避難小屋前で持参のインスタントラーメンを調理。特別食は青蜜柑。荒川前岳頂上直下の「荒川大崩壊地」は凄まじい光景。荒川岳一帯には氷河によって削られたカール(圏谷)とモレーン(堆石)が見られた。高山植物も豊富だった。ライチョウの親子に2回出会った。

小屋に到着後、小屋脇の木陰で懇親会。小屋の夕食は名物のカレーライス、美味。夕方、荒川岳山小屋から富士山がよく見えた。

 

  

荒川東岳(悪沢岳)の頂上標識              小赤石岳からの荒川三山(荒井)             ]

 

84(水)晴

荒川岳山小屋(2,600m)5:25−大聖寺平着6:00−小赤石岳(3,081m)7:35−赤石岳(3,120m)8:25(昼食)同岳発9:40−赤石東尾根下降点10:00−北沢の源頭(水場)着10:40−富士見平着1150(コーヒーブレイク)−赤石小屋(2,500m)1255(泊)。行動時間:7時間30

 

夜明けの富士山等を写真撮影。大聖寺平で中央アルプス、北アルプス方面の視界が開けた。小赤石岳では富士山、南アルプス・中央アルプス・北アルプスの山々、八ヶ岳、白山等の景色を堪能した。赤石岳頂上で持参した味噌汁、コーンスープと小屋の弁当で昼食。いつの間にか富士山は雲の中に。赤石岳一帯には赤い石は見当たらない。

下降点から急な谷筋を下った。北沢源頭の水は晴天のためかややぬるかった。赤石東尾根に入り針葉樹林の中の道は富士見平まで急斜面の途中をゆるく登り下り。栗羊羹付きのコーヒーブレイク後、赤石小屋までは尾根道の下り。今日は不調だったメンバーの体調が改善し、ほぼ標準タイムで歩行できた。小屋到着後、小屋前のテーブルで老舗メーカーの豚肉の角煮他をつまみに夕食まで延々と懇親会。調理師がバイトしているというこの小屋の食事は今回の山小屋の中で最高だった。

  

荒川岳山小屋からの夜明けの富士山        小赤石岳からの北ア・槍穂連峰

 

 

小赤石岳からの赤石岳(荒井)         赤石小屋からの夜明けの聖岳

 

85(木)晴

赤石小屋(2,500m)5:50−椹島(1,120m)9:10。行動時間:3時間20

椹島ロッジ発13:00=畑薙第一ダム着14:00、同ダム発14:25=静岡駅前着17:50(解散)。

 

 4時過ぎに起きて、小屋から15分の三角点に登り夜明けの富士山、赤石岳、聖岳等の写真撮影。小屋を出発し、針葉樹林から広葉樹林のやや急な尾根道を快調に1,400m下り、最後に10m位の鉄梯子を下って椹島ロッジに近い林道に到着。途中の特別食はワックス処理なしレモンのカット品。売店で1人500円のシャワー券を購入し、バスの整理券を入手。シャワーを浴びて帰宅用の服に着替えてから生ビール、枝豆を購入し、持参した酒、つまみのすべてを出して木陰のテーブルで反省会。縦走中に顔見知りになった隣のテーブルとも、つまみの交換をして互いの苦労をねぎらった。

静岡駅で解散し、全員が無事に帰宅した。

 

その他気付いたこと

1.「荒川岳」という名前は、荒川前岳が、天竜川水系の小渋川の支流である荒川の源頭にあたる事からつけられたといわれる。

2.「荒川三山」という呼称について、三山全体と南北に連なる赤石岳、小河内岳との標高差等から三山全体で1つの山と見られると。また、深田久弥は「日本百名山」の中で「古書に『赤石山は荒川・鍋伏・赤石岳の三連峰より成る』とあり、荒川は荒川中岳・前岳、鍋伏は悪沢岳(荒川東岳)であろう。荒川東岳は荒川岳の東の1峰と見るには余りにも立派すぎるので、ぜひ「悪沢岳」と呼んでいただきたい」と。

3.「赤石岳」の名の由来は、深田久弥の「日本百名山」によれば、この山の南面から発して東流する沢に、赤褐色の岩石が大崩壊して押し流された。そこでその沢が赤石沢と呼ばれ、それが山の名になった。自分も赤石沢の河原で美しい赤い石をいくつも拾ったと。

.千枚小屋下の「蕨段」、赤石東尾根の「樺段」の「段」は南アルプスの登山路によくある名で、尾根上の小平地の呼び名であると。

5.各山小屋は清潔で食事も良く、トイレは別棟。料金は1泊2食+弁当で9,000円。ビールの500ml缶は800円、350ml缶は600円。

6.出会った高山植物

タカネビランジ、イワギキョウ、チシマギキョウ、シナノキンバイ、ヨツバシオガマ、トウヤクリンドウ、ヤマハハコ、タカネヤハズハハコ、クロユリ、イワツメクサ、コイワカガミ、アオノツガザクラ、ゴゼンタチバナ、チングルマ、ミヤマダイコンソウ、イワベンケイ、ハクサンイチゲ、イブキトラノオなど。

 

   

タカネビランジ(荒井)     シナノキンバイ                 チシマギキョウ

                                   (以上)