谷川 国境稜線縦走
「仙ノ倉山荘 75周年記念山行」のDコースは「肩ノ小屋」、「平標山ノ家」に泊まり平標新道を下って山荘に入る国境稜線縦走コース。肩ノ小屋から平標まで雄大な稜線歩きが楽しめるがアップダウンの多い長丁場のルート。
74歳の望月先輩(35C)、同期の石川君と私(40S)でこのルートを歩いた。天気も良く谷川山塊のパノラマを十分に楽しんだ稜線歩きだった。
17日、登山届けを出してロープウェイで天神平まで。12:30出発、熊穴沢避難小屋 13:10、肩ノ小屋 15:00着。トマ、オキと少し先の立派な鳥居のある富士浅間神社奥ノ院にお参りした。
オキの耳が水上町谷川にある富士権現の里宮・富士浅間(せんげん)神社の奥宮ということは知らなかった。御神体は一ノ倉の岩壁の岩室から発見された二面の仏で、「富士浅間大菩薩」の銘が刻まれているという。
額に「富士浅間神社奥ノ院」とある、ロープウェイ会社寄贈と有った。
肩の小屋はソーラー発電で水洗トイレ、奇麗ないい小屋だ。宿泊は我々だけ。ビールで乾杯、食事の後、椅子・テーブルの談話室でしばし歓談。お酒も廻ったところで小屋の寝袋に潜り就寝。
18日朝一面の雲海、天気は良さそう。5:45小屋発、オジカ沢の頭を目指す。左手の川棚の頭が大きい。コルから登りにかかると足場の悪い岩場の連続、手前で一息入れてオジカ沢の頭
7:07。熊笹のなかに縦走路が伸びてその先の万太郎が大きい。雲海も切れて湯沢や水上が見下せる。小障子の頭 7:50、大障子の頭 8:40、ウメバチソウやハクサンイチゲ、ミヤマコゴメグサ、アズマギクなどがポツポツ咲き残っている。急な下りが終わると万太郎への最後の登り、北斜面の紅葉が笹と綺麗なコントラストを見せてくれた。吾作新道分岐から5分弱で万太郎頂上着 9:50/10:00。
最初のピーク、オジカ沢の頭と左に川棚の頭 下は一面雲海 5時40分
オジカ沢避難小屋から万太郎、稜線縦走路を望む 7時7分
万太郎の紅葉 9時27分
咲き残っていたミヤマコゴメグサ ハクサンイチゲ
エビス大黒ノ頭と仙ノ倉がガスのなか大きく見え隠れしている。万太郎での展望を楽しんだあと痩せ尾根を下り越路避難小屋の前で昼食 10:40/11:20。
万太郎を下ったところからエビス大黒と仙ノ倉を望む 10時28分
本コース最大高度差のエビ大に向かう、きつい急登行2ピッチでエビ大頂上着 13:07。
仙ノ倉はまだ大きい、少し下ってからひたすら登り、2ピッチで2026m頂上 14:43/50。
ヤマハハコ 真っ赤なドウダンツツジ
仙ノ倉北斜面の紅葉 14時36分
歩き難い木道を下り一登りして平標頂上 15:50/55。平標山の家 16:33着。
縦走中に出会ったのは吾策新道を登り谷川岳方面へ行くヘルメットでゴム長靴の1人、昼食時先に行った茂倉岳避難小屋から元橋へ下る1人、逆方向の1人の単独行3人のみだった。
ストレッチの後、湧水で汗をぬぐい着替えた。新しい小屋は快適、管理人は大柄な髭のご主人と気さくなおかみ。稜線歩きのあと小屋の前でへたり込んだ著名な山歩きエッセイストなどなどエピソードのご披露があった。前夜泊したイイ沢下降組みの皆さんが我々のことを話したため様子を見られていた。ヘたりこまなくて良かった。
たっぷり汗をかいた体に缶ビール2本はあっという間。残りの日本酒、ウィスキーと夕餉のプレートで歓談の夜はふけた。この晩も宿泊は我々のみ。
平標新道を下る
19日朝は一面のガス、5時50分小屋発。平標頂上 6:40/50。ガスのなか平標新道を下る。40数年前に何回も歩いた道だが記憶はない。池塘群を過ぎると傾斜がきつくなる、ガスのなか東ゼンの大滝が見え隠れする、イイ沢も見える。少し下ると西ゼンも見えた。何れもきつい傾斜だ、昔登った記憶が切れ切れに思い起こされた。歩き難い急斜面を下り、3ピッチで渡渉点 9:45。
左にイイ沢、ガスの下にかすかに東ゼンの大滝が見える昔この左を攀じった
西ゼン 何回か登ったがこんなに急だったのか
ゆっくり休憩して10時発、吊橋手前の沢水で汗を流し山荘着11時。
皆さんに迎えていただいた。
トマとオキから西に雄大に広がる国境稜線は歩きたかったコース。岩稜やアップダウンが多く楽ではなかったが天気に恵まれいい山歩きが出来た。平標新道から両ゼンやイイ沢が良く見下ろせるのは記憶にない。景色を見る余裕もなく駆けるように下った記憶はうっすら残っている。
「平標山の家」に「渡渉点は膝下まであり、増水時注意」とあったのはややオーバー、去年の秋も今回も濡れずに渡れた。
09年9月 山田記
仙ノ倉山荘前で