黒部源流の庭園と露天風呂

 

 恒例となった山岳部OBの皆さんとの北アルプス山行、今年(08年)は折立−太郎兵衛平−薬師沢小屋(泊)−雲の平−高天原山荘(泊)−大東新道−太郎平小屋(泊)−折立のコース。

参加者:荒井リーダー、永井、関、石川、山田。

 

 8月3日晩は富山駅前の居酒屋で前夜祭。


 8月4日(月) 5時、雨のなかジャンボタクシーで出発、途中有料道路開門まで20分ほど待って1360mの折立6:20着。7時出発。雨とガスのなかひたすら歩いて2330mの太郎平小屋11:20着 昼食。11:40発 雨の太郎兵衛平に咲く花に慰められ樹林帯を下り沢を越し滑り易い木道を歩いてひと下りすると薬師沢と黒部川の交差する小屋(1912m)に着いた 2:20。

ずぶ濡れの初日歩き終了。外のベンチで乾杯の後、2段6人部屋で夕食まで歓談。

食後もアイスランドのブレンビン、グレンフィディックなどで談笑、消灯9時前に就寝。


  
薬師沢と薬師沢小屋


 この日の花は太郎平小屋手前でミヤマママコナ、キンコウカ、イワイチョウなど、小屋の先にチングルマ、ハクサンイチゲ、キスゲなどなど。一昨年少なかったママコナがあちこち沢山咲いていた。雨で写真は撮れない、帰りに期待。

 

雲の平と高天原の湯 8月5日

 雨も上がり晴れ間も見えるまあまあの天気。5時朝食、5時45分小屋発。吊橋を渡って梯子を幾つか上り下りすると約500mのきつい急登が始まる。道の両側にはカニコウモリがどっさり。

大汗をかいて木道に出るとギリシャ庭園も近い、ここから「雲の平」がはじまる。北東に薬師、南に黒部五郎、東は祖父岳・水晶に囲まれた草原はまさに雲上の楽園。雲の平山荘まで花のプロムナード、チングルマとハクサンイチゲの群落、アオノツガザクラ、イワイチョウ、キンバイ、ニガナ、イワカガミ、黒百合などなど盛りと咲いて楽しませてくれた。



ハクサンイチゲの群落と黒部五郎
  
チングルマもこの辺はまだ盛り     アオノツガザクラ
  
イワイチョウ                クロユリ


 雲の平山荘9:45着、昼食。弁当のちまきと熱い味噌汁が美味かった。10:30出発、2576mまで緩く登って少し下ると残雪がありその先に「奥スイス庭園」の道標があった。

鉄梯子の多い下りが終わると高天原峠 12:25着。岩苔小沢への下りにキヌガサソウが沢山、沢沿いにはオオバミゾホウズキ、シラネセンキュウ、クルマユリなど。 ワタスゲやタテヤマリンドウ、モウセンゴケの湿原を過ぎると2100mの高天原山荘 1:40着。


  
キヌガサソウ                オオバミゾホオズキ
  
シラネセンキュウ             クルマユリ

大型のワタスゲ

荷物を置いて700mほど離れた露天風呂へ出かけた。温泉沢に沿った風呂はよしず架けした女性用と着替えスペースのある混浴露天風呂がある。湯の花で白濁した硫黄泉はぬるめで10人はゆったり入れる。秘境の湯にのんびり浸り、宿に戻って湯上りのビールを存分に楽しんだ。


  
温泉沢:この右側に風呂がある     露天風呂


 北ア 最奥の宿といっていいこの山荘はもともと鉱山の作業員用宿舎として建てられたとある、名残の乳鉢がさりげなく置いてあった。人気の小屋のようでほぼ満杯、でも屋根の中央は窪んで床も傾いている、少し大きな地震でもきたら潰れそうだ。そんな心配もあるが、何か居心地がよい トイレも綺麗、食事も最奥のランプの宿とは思えない献立だった。


石川さん撮影

 

大東新道から太郎兵衛平

 8月6日 夜のうち降った雨も上がりまあまあの天気。5:40山荘出発。高天原峠6:40。樹林帯を下ると最初のE沢を渡る、アップダウンを繰り返しD沢、少し雪渓の残るC沢、流れのあるB沢を越すと黒部源流に下りる。ステップを探しながらの源流歩き、大石のロープや鎖のトラバースが続きA沢を越すと巻き道と川原歩きを繰り返して薬師沢小屋に着 10:45。

小屋のテラスを借りてラーメンの昼食。11:30小屋発。木道歩きと最後の急登で太郎兵衛平、花の写真を撮りながら太郎平小屋着 2:30。

 

大東新道で出会った花々

  
クガイソウ                  マルバダケブキ
他にシシウド、エゾニュウ、実をつけたサンカヨウ、エンレイソウ、アカモノなどなど
  
黒部源流に下りた

源流のヘツリ(荒井さん撮影)


 この日の太郎平小屋は超手前の満員。4畳に8人といわれ覚悟したが6人、良かった。

翌日は快晴。雄大な薬師、雲の平方面、北の俣のパノラマを楽しみ、5:40下山開始。

キンコウカの咲く尾根から大日・剣・雄山が見渡せ、正面には鍬崎山が大きい。入山者も多くパスを繰り返し折立8:40着。



太郎兵衛平に咲くキンコウカ

右手に剣、雄山の雄姿

 

9:30に予約したタクシーで亀谷温泉へ、汗を流し富山駅11:40着。

中華料理で祝杯。再会を期し関西と東京方面に分かれた。

 「雲の平」「高天原」 誰がネーミングしたのか。「高天原」は昭和になってからで以前は「岩苔平」と呼ばれていたそうだ。こんな魅惑的な名前に惹かれて訪れる人も多いのではないか。特に中高年の元気なおばさん連が目立った。でも北アルプスの奥座敷は予想以上にタフなアップダウンが待っていた。その苦労は四方を主峰に取り囲まれた一面のお花畑で十分報いてくれた、まさに雲上の楽園。高天原の露天風呂は綺麗で快適。山荘の皆さんが管理しているのだろうか、感謝。

                                                 08年8月 山田記

 

全員集合 2葉(永井さん提供)