白馬・雪倉・朝日 花の山旅

 

8月6日〜10日、白馬大雪渓−雪倉−朝日−蓮華温泉を歩いた。山岳部OBメンバーで、荒井リーダー、昭和6年生まれの関谷さん、永井さんとS40年卒同期3人のロートル6人パーティ。

 初日は白馬駅から大型タクシーで猿倉まで行き、2:35分この日の宿、白馬尻小屋に向けて歩き出す。沢沿いのワンピッチ目でいろいろな花に出会った。


  
シシウド                   ヤマゼリ
  
ヤマホトギス                オオバミゾホオズキ


この他にもヨツバヒヨドリ、ヤマアジサイ、ギボシなど低山の花が見られた。

 白馬尻小屋着3:50分、1560mの小屋から大雪渓の下部が望めた、山はガス。周辺にはキヌガサソウ、サンカヨウなど沢山の花がある。山小屋の食事は5時からと早い、メニューはハンバーグ、豚汁が旨かった。部屋は6人で貸し切り、ウイスキー、焼酎、ズブロッカ、トカイワインの蒸留酒、デンキブランと様々な酒で盛り上がった。


  
キヌガサソウ                サンカヨウ
  
ズダヤクシュ                エンレイソウ


ズダヤクシュは喘息薬種、長野県では喘息のことをズダといい薬草にするようだ。

 

 2日目晴れ、大雪渓から頂上直下の白馬山荘まで。5:45分出発、15分で雪渓下部、軽アイゼンを着け歩き出す。今年は雪解けが遅く花は遅れているとの情報、期待出来そうだ。雪も多く2年前の7月初に2ヶ所あったクレパスもない。7:45分雪渓終わり、アイゼンを外しガレ場で休憩。

前回雨のなか震えながら昼食を摂った避難小屋は今年の雪崩で土台を残し跡形もない。小雪渓はトラバースせず瓦礫を歩く。お花畑を愛でながら、ロートル歩みで村営頂上宿舎着11:25分。ゆっくり昼食。大きな旭岳を左手に見ながら咲き終わったウルップソウのなか山荘まで一歩き。

 

生ビールで乾杯、部屋に荷物を置いてから白馬岳頂上往復。礫のなかのコマクサをはじめ様々な花が楽しい。しばし酒盛りの後5時から夕食、鰹の煮付け、フライ、がんもどき、小芋、蕗など。

 



大雪渓を登る
  
村営宿舎から白馬山荘         山荘への尾根から旭岳を望む

  
至福の一時二景:白馬山荘前(石川さん撮影)


 今日の花々。写真の他にもハクサンイチゲの群落、イワオオギ、ミヤマキンバイ、リュウキンカ、タカネバラ等など花に囲まれた一日だった。


  
ハクサンフウロ               シナノキンバイ
  
僅かに咲き残ったウルップソウ     タカネシュロソウ
    
タカネシオガマ              イワキキョウ
  
ホソバツメクサ               イワツメクサ
  
コマクサ                   ミヤマアケボノソウ

 

 晴れ、3日目は三国境雪倉岳-水平道-朝日小屋とそこそこの長丁場。ガスで御来光はあきらめ5:40出発、6時白馬頂上。南に・立山が北にはこれから行く雪倉岳が大きく聳え、朝日小屋も遥か彼方に小さく見えた。

写真撮影の後三国境に向け下る、斜面の礫のなかにコマクサが沢山咲いていた。三国境着6:35分。蓮華温泉に下りる鉱山道を右に見て鉢が岳の迂回道に入ると潅木のなかに花が多い。ぽつんと黒百合もあった。避難小屋から雪倉への登り、頂上着9:13分。素晴らしいパノラマだ。東に妙高・黒姫・戸隠の連山、後ろに白馬を挟み旭・小蓮華、・毛勝、前方には朝日岳、小屋も良く見える。雪倉の北面は崖になっており右の尾根から瓦礫をトラバースしてツバメ平手前の風のあるところで昼食、11時から11時半。



白馬頂上から雲に隠れる雪倉方面を望む、遥か彼方に朝日小屋も見えた。

船窪(二重山稜)を下に見て三国境に下る(永井さん撮影)

 

  

モス・キャンピオンに似ているイブキジャコウソウ 右はミヤマムラサキ

 

両方とも瓦礫に群れて咲く小さな可愛い花、ムラサキの花はワスレナグサに似ている。



雪倉頂上から、立山方面を望む。

  
ミネウスユキソウ             クロユリ
  
マツムシソウ                8弁で薄紫のキヌガサソウ


 赤男山の迂回道は小桜ヶ原という湿原、カラマツソウ・イワイチョウが群生して咲いていた。咲き残りの水芭蕉もある。1時間でキヌガサソウやコバイケイソウの咲く水平道分岐着。水平道は名称と全く異なり幾つかの沢の度にきついアップダウンのあるトラバース道、ネットで情報は得ていたが予想以上の厳しさだった。2:45分ニッコウキスゲの咲く朝日小屋着、缶ビールで乾杯。

    
ミツガシワ                  水平道に咲くキスゲ他

 

朝日小屋の前は湿原でチングルマ、ハクサンコザクラなどの群が綺麗だった。


  

小屋の前に咲くチングルマとミヤマセンキュウ、ヨツバシオガマなど



朝日小屋・・・夜の山小屋灯がともる恋しアルプス乙女の夢よ・・・(石川さん撮影)


 5時からの夕食はマグロの昆布締め、肉じゃが、天ぷら・フライ、山芋の千切りなど元気一杯の管理人清水ゆかりさんの気合が入った手作り料理。食事の後は山を眺めたり散策したり。残りのアルコールも充分、しばし語りタフな一日のアルバイトの身体を早めに休めた。



朝日小屋の夕餉

 

 山旅最終日の9日は朝日岳照葉の池往復-八兵衛平-花園三角点白高地沢-兵馬平-蓮華温泉。快晴、5:35小屋発、1時間で朝日岳山頂。ここからの眺望も素晴らしい。・毛勝の右奥に白山が見える。東の妙高連山も大きい。分岐に下り、荷物を置いて照葉の池往復。作業小屋の先に小さな池が二つあった。この先は栂海(つがみ)新道が親不知まで延びている。復路、若い女性単独行が颯爽と歩いていった。


朝日小屋出発前に、清水ゆかりさんと

八兵衛平は花の多い湿原と草原、コザクラやカラマツソウの群落、ヒオウギアヤメなど花のなかを行く。さらに下るとキンコウカが多くなる。樹林帯をしばらく下るとやっと水場に出た、12時。ここで持参したラーメンなどで昼食、12:45出発。白高地沢に下りてからが長い。ピンクのシモツケソウが咲き乱れる湿原の兵馬平からさらに1時間。4:40分蓮華温泉着。歩き始めて11時間、予想以上に長い行程だった。生ビールで労をねぎらい、温泉で4日振りに汗を流しさっぱりした。



朝日岳から・毛勝方面、右奥に白山が見える

妙高・戸隠方面
  
照葉の池二葉(右は永井さん撮影)

八兵衛平に咲くハクサンコザクラの群落

八兵衛平のカラマツソウの群落
  
ハクサンシャジンとキンコウカ、何れも八兵衛平下の草原


 翌朝はゆっくり起床、朝食後露天風呂めぐり、四つの露天風呂がある。最初に20分ほど歩いて一番奥の薬師の湯に浸かる。少し下り仙気の湯では朝酒を楽しんだ。

10時7分発平岩駅行きのバスに乗り無事山行を終了した。



一番奥の薬師の湯、6人で満杯、入ると湯の花で白く濁る

仙気の湯、朝酒も楽しんだ

宿の前に咲いていたシナノナデシコ


 
花を堪能した山旅だった。尾瀬で6月から8月に咲く花が殆ど見られた。サンカヨウやエンレイソウは花と実、イワイチョウやミツガシワ、キンコウカなど盛りが見られたのは予想外、タカトウダイもあちこちで見かけた。雪が多く花が遅れたこと、いろいろな花の開花期が標高差でカバーされたのだろう。

 

07年8月 山田記