近況報告

29C高橋 清

 

       ご無沙汰しましたが、皆さんお元気ですか。カナダから近況をお知らせします。例年よりかなり遅い春がこちらにもやって来ました。桜はもう散って、家の庭のサクランボが花を開き始めています。ハナミズキは満開を過ぎました。今自然界ではいちばん忙しい季節で、熊も辺りの徘徊を始めました。庭に出ると野鳥の声が満ちて、名を見定めるのに苦労するほどです。僕たち環境保護団体にとっては今が一年でいちばん忙しいときで、昨年暮れ12月15日に襲った五十余年ぶりの暴風により、森の樹の多くが倒れました。例えばバンクーバーで最も良く知られた400ヘクタールの自然公園、スタンレーパークでは1000本以上の100年前後の樹齢の樹木が倒れました。我が家の近くの森も未だに倒木が散乱して通行困難な場所さえあります。

 

日本の桜(4月1日)

 

庭のハナミズキ(4月半ば)

 

メンフクロウ

家の前の林、12月の暴風による倒木

 

       毎年2月から約500個の自然地に設置された巣箱の掃除と修復、新品との取替えなどの作業に数日をとられますが、それも昨日ようやく大体終わりました。其の度に少しずつ巣箱の構造に改良を加え、毎年新しいアイデアが出てくるのが楽しみです。いまぼくが先導している鳥の一つはPurple Martin(日名、ムラサキツバメ)といい、この再起の仕事で二つの賞を貰いました。海の中の杭に巣箱をつけますので、小さなボートに梯子を立ててする仕事のため、若い人も余りやりたがりませんので大方は僕の仕事となります。其の僕もそろそろ辞める時期かと思い始めていますが。

僕の新作になるアメリカオシドリの巣箱

 

       このところとみに視力が衰え、中々小鳥を見られませんが、それでも毎月案内している探鳥会ではまだ大抵一番先に見つけられます。1994年頃からやっている探鳥案内で、先週末は、フェリーに乗り、3時間ほど山歩きを楽しんできました。この雨の多いカナダ西岸の年間降雨日数は200日前後といわれていますが、この4年間、たった一日雨で中止となっただけで、天気男になっています。今回はちょっとした山の中を計5キロほど歩きましたが、殆どはシニアーですので皆だいぶ参ったようです。時々立ち止まって、森や樹や花や小鳥の話などをしますが、この頃花の名を忘れて、頭から口への通り道で引っかかってしまっているような気がして困るのですが、一時間もすると思い出して名を言うと、今度は仲間の人たちが「それはドの花だったっけ」、という始末です。皆長いつきあいで、同じ経験を持つ人が多く、お陰で余り恥ずかしい思いをしないばかりか、皆して自分の経験を披露して大笑いで終わりです。

       では皆さんもお元気でお過ごしください。