カナダのバンクーバー在住のOB高橋清君29Cから近況が入りました。彼はカナダに移住して40年になりますが、野生動物の保護など自然保護の面でなかなか活発に活動しています。最近そのボランティア活動で表彰を受けたという喜びの知らせです。05年の忘年会に顔を見せてくれましたので、お会いになった方も居られるかと思います。

山につながったこんな活動もあるということをOB諸兄にもお知らせ致したく、ご本人の了解を得てご披露する次第です。受賞時の近況と活動の一端の状況の2通です。

             平澤 英昭 29

 

件名 : ご機嫌如何ですか

2007127

 

平沢さん、

その後お変わりございませんか。寒に入ると言うのに日本は本当に暖冬に見舞われているようですね。ヨーロッパでは洪水や大雪、北米東部でも寒波が繰り返し襲っていて、確かに異常気象を感じますね。こちらは幸いごく平均的な冬で、雪も時々降り、よく雨があります。秋口に大風と大雪があって、バンクーバーの有名なスタンレーパークの原生に近い樹木が約600本倒されて巨額の被害があった後は、降雪量も平年並みで、昨日今日は又晴れ上がり、朝は皆凍りつきますが午後になると心地よい日差しです。

 

こちらですでに13年になる『ネイチャー・ウオーク』を日系人を対象に続けていて、約30人のメンバーで毎月一度の案内をしています(もちろん会費無料)。年に一度昼食会があり、そのときにはファンド・レイジングと称して皆で僕の所属する自然保護団体あての寄付をしてくれます。今年は約$600が寄付されましたので、僕の属するナチュラリストに半分、バンクーバーのスタンレーパークの復興に残りの半分を寄付しました。昼食会では近くの日本料理屋さんがちょうど休みの日に当たるので、貸し切りで店をやってもらい、ついでに僕の誕生日祝いもしてくれました。実は誕生日は今日で、これで75歳になりましたが、未だ生きていたか、と言う実感しかなく、持ち時間が少なくなったことを強く感ずるこの頃です。

 

それはさて置き、実はこの20日にこの近くのPort Moodyという歴史的にカナダの大陸横断鉄道が始めて太平洋に到着したと言う入り江の街で、定例の『ボランティア・感謝の夕べ』と言う夕食会に美那子と招かれ、又自然保護の分野で表彰を受けました。カナダはボランティア活動が盛んで、自治体や政府が積極的にこのような会合を持って功労者に褒賞をして、市民の活動を奨励しています。別に何の審査も無く、資格ももちろん無く、特定の個人、団体からの推薦で選ばれた人が褒賞を受けることで公表され、市民の励みになるわけです。

2003年にはこの地域全体の自治体から野生保護の賞を貰い、2004年にはBC州の『ムラサキツバメ』と言う絶滅寸前種の復帰を成功させてカナダ西岸地方の団体から賞を受け、これで3度目となりました。別に目立つ仕事もしないし、人目にはつかないように自分の判断でやって来た事ですが、矢張りコウモリとかフクロウとか、このムラサキツバメなどのようにあまり他の人が関心を持たない野生をいじくることは、何かの機会に人に知られると目立つものでしょうか。それと、自治体や市当局に写真撮影などを依頼されて、それが広報に使われたりするようになり、名が知られたのでしょうか。

 

夕食会が終わり、式が始まると冒頭に呼び出され、一席ぶつように言われましたが、大勢の前では日本語ですら弁が立ちませんから、予期していなかっただけに戸惑い、1分くらいで済ませてしまいました。後になってからあれも言えばよかった、これも言えば良かったと残念でしたが、後の祭りでした。

この種の受賞でいちばん嬉しいのは、自分の属する団体への一般の認識が上がることですね。いずれにしても、カナダに来てここまでこの国に定着できたこと、又第二の故郷にカナダを選んだことが間違いでなかったことを今更のように感ずるこの頃です。日本に居られる友人である貴君にもこのことをお知らせしたくてこのメールを差し上げます。受けたトロフィーはみどりのクリスタルで出来ていて中々素晴らしいものですので、写真を添付しますからご覧ください。


 

 

件名 : Re: 丑澤さんご葬儀のことなど

2007120

 

丑沢さんの葬儀には参列出来ずに残念でしたが、大変盛大だったご様子、生前の丑沢さんの人格の現れですね。

こちらでも40年を過ぎると多くの友も老年となり、これから次第に友の逝くのを見なくてはならない年になりました。カナダでは旧友も居ないので淋しい気もしますが、それでもこちらで出来た多くの友人の中で、人に惜しまれるうちに何とか人に迷惑を掛けずに去ってゆくことだけを願っています。
 最近の不調のときには、もうそろそろ完全に引退しようかと真剣に考え、クラブの指導者にも伝えましたが、完全引退、と言っても、ではそのあと何をするか、となるとやはり『万年現役』で居ることに落ち着きそうです。

体調も回復した今は、来週末、小鳥の巣箱の掃除や修繕の仕事を先導することになりました。これは小さなボートから梯子をかけて、沖合に立つ古い、高さ8メートルほどの杭に上って、一つの杭に約8個取り付けられた、合計約50個の巣箱を掃除したり、修繕したり、新品と取り替えたりする仕事です。20歳から76歳までの数人のグループですが、誰もボートの上でぐらぐらする梯子に登るものが居ないので、何時も自動的に僕の仕事になります。写真をご覧ください。この仕事は大成功を収め、1940年代以来ブラジルからの渡来の途絶えていた小鳥の再誘致が成功した作業で、3年前にこの鳥の保護協会から表彰されました。