「鹿島槍山行記録」   文責 星野 博明 (35C)    
(写真はこちら)
メンバー: 丑澤(28C),竹内(35C),布河谷(35M),櫻井(35C),星野(35C)
日 付: 2004年7月24日、25日
7/24
第1日目
   行動地       着時刻 発時刻      メモ
1 池田山荘             4.52 晴れ
2 爺岳登山口(扇澤下)   5.25   5.35 1300m 柏原新道入口
3 八ツ見ベンチ      6.35  6.45 針ノ木,蓮華岳望見
4 ケルン          7.25  7.35 1670m
                    道標扇澤1.7km 種池4.5km
5 石畳          9.15     2020m 20℃ 快晴
6 水平道         9.35     2050m 22.5℃
7 石ベンチ        10.00     2100m 24℃
8 ガラ場通過      10.28     25℃ 過ぎで小昼食
9 種池小屋       11.35  12.30 2360m 曇り 昼食
10 爺ガ岳南峰       13.35     通過
11 爺岳中峰       14.20     2669m 豪雨雨具着用
12 爺岳北峰       14.30  14.40 雨止む
13 赤岩尾根分岐点    15.20     道標,爺岳3km,
                   鹿島槍4km大谷原12km
14 冷池小屋       15.45     2300m宿泊2食付\8600
                  予約無しで泊まれるも超満員
                  
6畳位のスペースに15名

 池田山荘丑澤宅4時52分、四駆の愛車は布河谷ドライバーに操られ、快調にエンジン音をたて続け、柏原新道の扇澤口5時25分到着。
 呼吸を整え1300M地点から5時35分に登山開始。
 快晴。道は完全に整備されている。いくつかの箇所には名称まで付けてある。八ツ見ベンチ着6時45分、針ノ木岳が鮮やかに見える。
 ケルン着7時25分,1670M地点。右手上方に種池小屋が、左手上方には針ノ木から蓮華岳が指呼の間に望める。道標には扇澤へ1.7Km40分,種池へ4.5Km3時間半と標されている。
 
 石畳9時15分着,2020m地点気温20℃快晴。
ここから見ると登山道入口には駐車スペースから 溢れんばかりの車が詰まっていた。
 登山道は圧倒的に登り者ばかりだ、下り者は数える程しか会わなかった。後続者にはもう100人ばかり抜かれた。下り組の情報では冷池小屋には200人の予約しているとか。向かい左手に扇沢の展望が続いている。道は低草木地帯に入った。ゴゼンタチバナが清楚な小さい花弁を上空に向けている。例によって、ここでまた一つ試験問題が提起された。ツマトリソウとの区別は?両者共白い花びらだがゴゼンタチバナが4弁でツマトリソウが7弁だ。
 
 水平道9時35分着,高度2050M地点気温22.5℃。石ベンチ10時2100M地点24℃。ガラ場通過10時20分2170M25℃前後。10m位の岩石に少し雪渓が混じっている。岩清水がポタポタ程度それでも冷たく美味い。種池小屋支配人の立て看板には少人数で静かに速やかに通過せよ。もしかしたら上辺をカモシカやサルが通り落石があるかもしれない。
 11時に持参のおにぎりやお稲荷さんで小昼食を取る。休憩の頻度を上げ摂食の機会を増やすのが本パーテイのモットーだ。種池小屋の直下に至りツマトリソウ,コバイケソウ,ハクサンフウロ,チングルマ,イワカガミ等のお花畑に出会う。天気は急変してガスに覆われてきて視界が効かなくなった。種池小屋11時35分着2360M20℃曇り。小屋には入らず、爺ケ岳方面へ100Mほど進み昼食休憩,爺ケ岳の先に鹿島槍が望見でき途中に冷池小屋も見える。
 
 13時35分、爺ケ岳南峰直下通過(本峰2669M)。頂上より10m下を廻る。ピークハントはせず14時に爺ケ岳中峰下を通過。雨のサインがきた。前年の合宿で懲りて早めの雨具着用としたが、同時に相当の雨が降り出した。肩や腕のあたりが痛い.雹が混ざった雨だ。行く先の路に白い小粒が弾んで見える。14時30分爺ケ岳北峰通過頃、雨が止み気持ちにゆとりが出来た。尾根筋にミヤマリンドウ、クルマユリ,クモマグサ等が顔を出す。高嶺バラだってあるぞ..よく見ればコマクサだってある。細かい緑の葉が地面を覆っている。これが浦島ツツジで、この緑が9月には真っ赤になって山を色彩るとは丑澤氏の解説だ。

 顔を向けて右の谷筋を望めば赤い小石が崩れそうな尾根が縦走路の東に取り付いている。赤岩尾根とはズバリのネーミングだ。更に頭を上げると、右前方に明日の目的地鹿島槍の両耳見えるではないか。
 
 15時20分赤岩尾根分岐点に至る。道標には冷小屋を経て鹿島槍ケ岳4Km、爺ケ岳方面3KM。大谷原方面12KMとある。トウヒ林を少し登ると冷池小屋だ。15時45分着2300M,25℃。今夏新改装オープンしたばかりだ。二食付き\8600円。20時15分消灯。夕食が16時に第一回目が開始 二回 三回 四回に分けられている。我々は最終の四回目で、19時45分だ。それまで間が持たず、外で生ビールを飲みお変わりをする。8畳部屋に8人であったが後から団体が来て16人となりまさに刺身状態だがいつの間にか寝についた..
 
7/25
第2日目
  行動地       着時刻 発時刻      メモ
1 冷池小屋           6.05  鹿島槍までお花畑の連続
2 テント場           6.15  テント20張可能
3 布引岳       7.40    7.50  2683m20℃晴れ 雲発生
4 鹿島槍ケ岳     9.05   9.25   2889m 21℃ 小雨 中止
5 冷池山荘     12.00  12.25   
6 赤岩尾根分岐点  12.45  13.05  剣岳、立山が薄く見えた
7 擬似高千穂平   14.10  14.15  2270m 鹿島槍双耳発見
                    黒雲発生
8 高千穂平     15.00  15.30   大雨と雷発生,
                    多数の階段を連続下山
9 西俣出会      18.20       雷鳴止み雨小康
                    砂防ダムトンネル通過
10 大谷原駐車場   19.50       布河谷隊員の出迎え

 冷池小屋の点灯は4時30分,朝食が5時30分。水と食料を持っての出発が6時5分であった。鹿島槍までは全行程が登りだ。途中テント場が6時25分、20張りは数えられた。過ぎるとすぐお花畑だ。アオノツガザクラ,とチングルマが主流だ。それらに混じってイワカガミ,キヌガサソウ,シオガマ,キンレイソウ,キンバイと目が離せない。ハイマツが無くなるとツガザクラやチングルマにかわって、ハハコやイワオオギ,イワベンケイ,クモマグサ,リンドウ等に変わる。
 
 布引岳頂上7時40分。2683M晴れ。近くの峰々が見える。雷鳥発見の報に探している瞬間霧が発生し小鳥の姿を見失った。鹿島槍の頂き方向が見えるだけになった。
 
 ありがたいのは登山道の両脇が花で溢れていることだ。イワツメグサ,タカネツメグサ,トモエシオガマ,トウヤクリンドウ,ウサギキクとカラマツソウは新たに記憶された花だ。トリカブトが数株見られ通過者の足を止めた。
 鹿島槍ケ岳(南峰)着9時5分。21℃、曇り、2889M。小雨に変わった。
 登頂直前に雨具を着用していた。道標には高度の数字の他に冷池に1時間30分キレット小屋に2時間と記してある。北アルプスの北方五龍や白馬岳も後方の爺岳も見えない。見えるあたりが・・・・と言いつつ鹿島槍の空気を充分吸い込んだ。9時25分引き返し下りだから楽だ。砕けた小石の連続した路だ。見逃した花々の名前を復習しながら、撮り残しの写真も補充出来た。
 
 テント場11時40分、用心して着用していた雨具を脱いだ。12時に冷池山荘に帰着、手持ちの食料で昼食を取り、水を買い入れて下山の準備が完了した。12時25分出発、赤岩尾根分岐点12時45分。剣,槍,立山連峰の見納めだ。13時出発まさしく赤岩のガレ場の連続だ。急崚なジグザグの下りだ。鎖場もある。左手に鹿島槍が見える。シシが下向きに、ツルが上向きに見える。雪渓の残存をアドバイザーから示されイメージを確認した。
 
 ガレ場から岩場を過ぎてトウヒと白樺の樹林帯に入る。見晴台13時50分。その時初めて、メンバーの竹内が大谷原で待機中の布河谷さんとの間で携帯電話の交信が可能となった。高千穂平(にせその一)着14時10分、2270M。シモツケソウ等を見るゆとりを残して下り続ける。鎖場に何度か遭遇したが道は良く整備されている。有限会社鹿島槍観光開発が新越山荘,種池山荘,冷池山荘を管理し鳴沢岳,爺ケ岳,針ノ木岳,鹿島槍ケ岳への登頂の便宜を図っている。従って周辺の登山道も人力の他トラック,ブルトザーまでも注入している。
 
 ホントウの高千穂平着15時,2049M。雲が発生して既に鹿島槍は見えない。右手の爺ケ岳北峰からのびる冷尾根上空が真っ黒に変わってきた。遠雷が近づいてきた。木の真下を避けて大岩の陰に入り雨具の着用を急いだ。急激に大粒の雨が落ちてきた。滝の様な水が岩から流れ出てくる。道も水浸しになった。一時の雨だから通り過ぎれば止むだろうと高千穂平下部の岩場に30分間滞在した。大雨と雷は止む気配すらない。
 
 意を決して動き出した。本日のクライマックスを迎えた。最高の気力をだし最高の注意を払って下山に専念した。乾いていれば素晴らしい道だが目検討で3メートルとか5メートルとか時には7,8メートルあったかと思われる木製の梯子段が所々に設置してある。100ケ所くらいはあったか背筋を伸ばして上下出来るのに,今回は違う。
 
 雨が降りしきる中に雷鳴の追い打ちを受け、しかも逃げ場が無いのだ。更に暗黙の心配は時間がなくなりつつあるのだ。子供のように階段に尻をつきながら降りた。立ち休みを繰り返し下り続けた。丑澤アドバイザーが足がつると言いながら定常速度を保つのには頭が下がる。高山病だよ、一番先に高山病にかかった,うつるのだと煙に巻いていたがそれでも落雷の閃光の恐怖には意識の領域を超えて足場を不安定にした。赤岩尾根を別名長ザク尾根と呼んでいるのには実感出来た。金属のメッシュを備えた階段もあったが落雷は無かった。
 
 西俣出合い18時20分着。やっと平地に降り立った。雨は小やみになった。大冷沢は泥水で増水している。出合いから100Mで渡渉かと思いきやさにあらず。コンクリートの永久トンネルが用意されていた。砂防ダムの堰堤直下を利用してだ。頭上に濁流の滝を頂きながら山道から工事用の道路に導かれるのだ。7月17日の降雨出水で路が荒れているのではとの予想は外れた。修復が完了していた。ただトンネル通過後の工事用車道の一部が流失し迂回路が出来ていた。通行者には問題ない。懐中電灯の光で石につまづきながら歩くこと一時間半、19時50分大谷原の橋に到着。布河谷隊員の出迎えの車にたどりつき、人心地がした。