お彼岸入荘報告
(49S)相川 
日程:2003.03.21〜23
メンバー:戸田(28C),萩原(54Edu),相川(49S)
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321()
高崎(6:00)(8:30)土樽(9:30)(12:10)山荘(14:30)(15:30)
長ツル尾根第一展望台−
(15:50)長ツル尾根第二展望台−(16:30)山荘

 萩原さんのRV車で土樽に向かう。お彼岸の6時はもうすっかり明るい。ノロノロ運転の関越道には乗らず、三国越えで行く。三国トンネルの向こう側はまだ冬景色だ。苗場スキー場もまだまだシーズン真っ只中といった様相である。

 劔持で戸田さんと合流し、山荘に向かう。ショートカットで線路を越え、林道の十字路に出る。最近では珍しいことに、山荘方面ばかりでなくタカマタギの取り付き方面にもしっかりとしたトレールが伸びている。萩原さんの情報では、最近、タカマタギルートが山岳雑誌で紹介されたとのこと。三連休のこともあり、今年は入山者が多いのだろう。

 仙ノ倉北尾根上部には雲が懸かっているが、時々青空も覗き、静寂な春山の中、暖かい日差しを浴びて山荘への道を進む。

 山荘の庭のブナの木にくくりつけたメジャーが示す積雪は3m。例年より50cmほど多い。南と北の窓先に備え付けた雪よけネット。北側のネットは予想通り機能して雪の壁と窓の間に空間を作っていたが、南側では、東西方向からの雪の吹き込みがあったようで、窓に雪壁が迫っていた。ひと工夫すれば、窓を開けられるようにはなるようだ。水道は完璧だった。バルブを捻ればたちまち水が流れ出し、3mの雪を掘って水場を求める必要はなかった。

 山荘を開け一息ついたあと、長ツル尾根を展望台まで登る。この頃になると空はすっかり晴れ上がり、まだ雪をたっぷりと抱いた早春の山並みを眺めることができた。この日差しで雪もだいぶ腐っていたが、野ウサギの足跡すらない雪面を滑降用にと残すため、できるだけ谷よりのルートを選んで第二展望台まで登る。
 16時近くなり、日も西に傾いたころ滑降を開始する。…… おかしい。スキーがうまく操作できない。春の日差しで腐った雪の表面が、夕方になって固まりはじめ、スキー操作には抵抗が大きすぎる。登りながら思い描いていたシュプールは早々に儚い夢と散り、どうにか誤魔化しながら山荘に滑り降りた。


322()曇り
(5:00)起床−山荘(7:00)−デトイノマチ(8:30)(10:10)尾根取り付き
(10:30)−大笹台(12:00)(12:55)クレバス(13:05)(15:00)山荘

 夕べは星空が美しかったのに、夜が明けてみると曇り空である。今日は大笹台で昨日の借りを返そうと意気込んで出かける。毛渡沢にはかなりのシュプールが残っていた。シッケイ沢ばかりでなく、大笹台からのものもあった。この時期は渡渉の心配はなく、大笹台への取り付きまで沢を登る。ここで山荘に引き返す戸田さんと別れ、萩原さんと二人、大笹台への急登に挑む。イイ沢河原には、これからシッケイ沢を下ろうとする5人パーティーが見える。視界は効くがハッキリしない天気で、大笹台に出ると風も強い。傾斜が再び急になる斜面の左側に、岳樺が数本、稜線に向かって並んでいる。その右上に見えるクレバスまで登ることにする。

 大笹台でクレバスを見ると、春の山荘に入るようになって間もない頃、大雪だった年の5月に丑澤さんと登った山行を思い出す。まるでヒマラヤの様相でたくさんのクレバスが口を開け、右に左に避けながら万太郎に登った。昔のことだ。

 今日もまた雪質には恵まれなかった。昨日の長ツル尾根での借りを大笹台で返そうと登ってきたが、返り討ちにあったようなもの。気温が高く雪は腐り気味だが、表面はウィンドクラストで抵抗があり、拙いスキー技術では歯が立たない。斜滑降とキックターンで毛渡沢まで下る。沢に出れば、高速道路と化したシュプールを一気に毛渡の吊り橋まで滑り降りることができた。


323()快晴
(5:00)起床−山荘(7:35)(8:50)長ツル尾根第一展望台−(9:55)長ツ
ル尾根第二展望台−
(10:45)馬の背−(12:55)稜線−(13:05)日白山
(13:20)(16:00)山荘(16:45)(17:20)土樽(17:45)(19:45)高崎

 今日入荘予定の中林さんに書き置きをし、日白山を目指す。今日は雲一つない素晴らしい天気だ。
 長ツル尾根の展望台から、仙ノ倉谷を行く3人パーティーが見える。仙ノ倉谷の出会いを過ぎ、平標沢を登っていく。一番左の、平標新道に突き上げる沢を岳樺の林が出てくるまで詰め、ここから滑降を開始したようだ。この沢ならば雪崩の心配もなく、スキーを楽しめる。これとは逆に、右の沢には大きなデブリが見える。また、カンバガオキにも大きなデブリが見え、平標沢の出会いまで伸びている。これから5月まで、この辺一帯は雪崩の巣となる。

 雪が多いため、馬の背やその手前の急登は例年よりも楽に越えられた。雲一つない快晴の中、春の日差しと雪面からの反射光を存分に浴び、自然の活力を体一杯に吸収して日白山を目指した。

 滑降は快適だった。溶けた雪の表面が堅くなる前に下ることができたので、長ツル尾根の滑降を堪能することができた。前二日は苦い思いをしたが、最終日に素晴らしい滑降を楽しむことができた。

 山荘に戻りソバとビールで一息ついた後、もう一晩山荘で過ごす戸田さん、中林さんと5月の再会を約し、退荘した。

入荘
入荘
山荘
山荘
長ツル尾根
長ツル尾根にて萩原
仙ノ倉〜西ゼン
仙ノ倉
大笹台
大笹台にて萩原
カンバガオキのデブリ
カンバガオキのデブリ