Index 過去の記録

なんでも雑記帖(2005年版)


■旅行(2005/10/30)

今月の20〜22日。東北の五大紅葉を見るという企画(バス・ツアー)があって、八幡平、十和田湖、奥入瀬、八甲田山、白神山地を順に巡って来ました。紅葉もいいけれど、ヂツは私、このツアーは銀婚式の記念も兼ねているのです(^.^)

東北というと、奥州藤原氏の栄華、三内丸山遺跡とか、環状列石、奥州藤原氏などを連想してしまいます。でも今回は残念ながらバス・ツアーなので、そのテのところには行けませんでした。

●初日
朝5時20分発。
座席は全員指定席。私の席は最前列で足が伸ばせない。
サービスエリアでの休憩時。歩くと膝が痛い。
(ただし座席は毎日変わったので助かった)

14時ごろ八幡平に到着。
雲が多くガスも出ていて紅葉もはっきり見えない。
桜と紅葉はタイミングが合う方が珍しい、とのツアー・コンダクターさんの話。
確かにツアーの企画は、今年の桜(紅葉)はこの日あたりが見ごろだろう、と予測して立てられるので、天候次第ではがっかりすることもありうる。

ホテルでは地酒を飲んでホロ酔い

●二日目
今日は良い天気で気持ちが良い。
十和田湖畔で、携帯から掲示板に書き込む。
駐車場から歩いて10分位のところに高村光雲最後の作品『乙女の像』がある。
モデルは愛妻の智惠子という話だ。
ここで記念撮影。

その後の奥入瀬は途中で20分休憩しただけで、バスで通り過ぎる。

八甲田山は天気に恵まれ紅葉がきれい。それでも例年ほどではないという。
今年は9月中旬まで暖かすぎたので、充分紅葉にならないうちに枯れてしまうらしい。

八甲田山は一つの山ではない。
八甲田大岳(標高1584m)を中心とする周囲のいくつかの山の総称である。
それほど極端に標高のある山々ではないのに、地理的環境で実に厳しい天候になるのだろう。
その厳しさは明治時代の雪中行軍の悲劇としても知られる。

映画『八甲田山』で有名になったあのセリフ・・天は我を見離した・・・・。
このため配偶者は八甲田山には良いイメージがなく、早く次に行きたいと言っていた(笑)

八甲田山を後にして、近くの城ケ倉大橋というところに行く。
この橋は1995年10月に完成したもので、上路式アーチ橋というモノらしい。長さは360m(日本一)、谷底までは122mもあるという。

 

この写真は私が撮影した当日のものです。紅葉はここからの眺めが一番きれいだった。
この日の地酒は、確か白神といったかな。
上手い。しかし高い。

●三日目
白神山地
世界遺産である。
世界最大のブナの原生林だそうだ。
情けないがガイドさんに教えられてどれがブナの木か憶えた。

うっそうとした森林の中の、けもの道のような小径を歩く。
向こうから来る人とは、すれ違うのがやっとである。

雨にぬれているので、ビジターセンターで長靴を借りて大正解。
普通の靴では泥だらけになって汚れるのは間違いない。

端から端まで往復すると(もちろん徒歩で)3時間近くかかるらしい。
今回の旅行では一番ここが良かった。時間の都合でほんのすこし歩いただけだが、この森の素晴らしさがほんの少しわかったような気がする。

世界遺産に認定され、生態系の保護のためペットは入れない。もちろん枝を折って持ち帰るなど犯罪行為に等しい。
世界に誇る自然が日本にあるなんて素晴らしいことだと思う。
しかし、その反面。
ここには山菜やキノコなどを採って生活の糧にしていた人達もいた。
この人達は白神山地が世界遺産に認定されたため、もう山菜などの採取はできなくなったのだ。人間あっての世界遺産のはずだと、ほんの少しそう思ってしまった。


まぼろしの満州国 (2005/09/23)

本日、中国満州をテーマに8部作をアップしました。
ヒマな時、ま、私は大抵の場合、ヒマなのですが(笑)、今年になってから少しづつ書いていったので、時間もだいぶかかりました。内容はそれなりに長文ですので、お時間のあるときにどうぞ。

終戦後60年を経て、当時の関係者は、中国人も日本人もほとんどが故人となりました。
私が思いつくのは、山口淑子と森繁久弥の両氏くらいなものです。

これを書こうと思いついたのは去年の暮でしたが、今年になって2月、山口淑子氏の近況が新聞に掲載されました。それまでは漠然と思っていただけなのですが、天の啓示じゃありませんが、この新聞記事が今回の契機となりました。

今回、関連する本を読んで再発見といえば、甘粕正彦のことです。
この人のことは、私には例の大杉栄事件の知識しかなく、満州建国時に暗躍したこととか、満映の理事長になったことは、これを書き始めて初めて知りました。へえ、この人、満州にいたの? という具合です。

そのくせ映画ラストエンペラーには坂本龍一扮する甘粕がちゃんと登場しているし、私はビデオで何回か繰り返して見ているのですが、一体わたしゃ何を見ていたのでしょう(汗)
大杉栄事件のことは別としても、調べれば調べるほど、この人はすごい男だと思います。こんな人が上司になったら、ある意味大変ですが(笑)、またある意味では自分の人生を賭けてしまうかもしれません。

最後まで解釈を迷ったのが川島芳子です。
この人については、清王朝再興の夢を関東軍に巧みに利用され、そのあげく捨てられてしまったという意見が多いです。

しかし、そんな単純なものだろうか、とも思います。
この人の軽薄で、目立ちたがりの性格が彼女を自滅に追い込んだのではないか。もちろん仕掛けた関東軍の罪は大きいけれど、世の動きを冷静に分析・判断し対処すべきだったとも思います。まあ、それができるような人なら、こんなことにはならなかったのですが。

直接の関係者ではありませんが、ラストエンペラー愛親覚羅溥儀の末弟、溥任氏(ふにん 1918〜)は少なくとも2004年の時点では健在のようです。偶然開いた旅行会社ANAのホームページで、北京に行って溥任氏と語るツアーが企画されていました。
溥任氏は満州国には関与せず、ずっと北京で暮らしていて中華人民共和国になると学校の教師をしていたそうです。

わずか60年前、13年間という短い期間。こんな国(満州国)があり、権謀術数がうず巻き、様々な人間模様があり・・・実に興味深いものがありました。


Now's The Time (2005/2/5 )

最近ではすっかりモノグサになってしまい(前からか?)、このコラムを書くのは今年初めてです(^。^)

1月29日上京し、ブルーノート東京でベニー・ゴルソンを聴いてきました。
14時ごろ表参道駅に到着し、まず根津美術館へ。
展示品は伊万里、柿右衛門、鍋島などの陶器です。素晴らしい作品ばかりで、ついこんな器で一杯やりたい、もつ煮が食べたいなどとアホなことを考えてしまうワタクシでした。

別室では古代中国殷の時代の青銅器も展示されていていました。詳しいことはなんとも言えませんが、この芸術的価値、あるいは考古学上の価値、いずれも大変なものでしょう。紀元前1000〜1500年ごろのものにもかかわらず、色彩・形の見事さに思わず唸ってしまいます。久しぶりに目の保養をさせてもらいました。

そこから数分歩けば待合わせのカフェです。すでにマダムさんと、がんまくくんが到着していました。
しばらくしてmasakiさん、ドラさん、みやちゃん登場。

さて本番です。
メンバーはBenny Golson(ts)、Mike LeDonne(p)、Buster Williams(b)、Carl Allen(ds)。
オープニングの Beautiful Love はモタモタした感じ。
おいおい、この人(ゴルソンのこと)、大丈夫かい?
一瞬、来たことを後悔(笑)

しかしその後は次第に調子が上向いてきます。
実は2曲目、3曲目あたりの演奏中、私は演奏はロクに聴かず別のことを思っていたのです。

誰でも同じでしょうか?
ある演奏者のLPやCDを聴く時、私は手持ちのLP・CD中でその人の最高と思われる演奏と比較してしまいます。ベニー・ゴルソンなら若いころの名演・・・例えばジャズメッセンジャーズや、あるいはカーチス・フラーとの共演盤のようなジャズ史上の名盤が意識の中で自然と『基準』となってしまい、それと比較して良かった、悪かったと判断してしまいます。

突然話は変わりますが先月の22日。誕生日を迎えた時、妻とこんな話をしました。

確かに若いころに比べれば体力は落ちているし白髪も増えた。動きも悪くなっているし、ちょっと何かをすればすぐに疲れてしまう。でも知識や経験は昔に比べれば比較にならないし、ものの考えも変わってきている。だから何歳ごろの自分が好きかと聞かれれば『今の自分が一番好き』とためらわずに答えられる。

あいつ(私のこと)の若いころは今以上にロクなヤツじゃかったんだな、と言われるかもしれませんが、ま、ソレハサテオキ(^。^)

私のゴルソンへの最初の印象と、妻への話は矛盾するんじゃないだろうか。若いころの演奏と比較する必要なんかないんじゃないだろうか。むしろ若いころには出そうと思っても出せなかったもの・・例えば味わい、風格など・・を感じ取れればいいのではないか・・・そんなことを考えていたのです。

ゴルソンに聞けば『もちろん昔より今の方がいいさ』と答えるかもしれません。それでなければあのトシ(1929年生まれですから今年76歳になります)で演奏などできないでしょうね。そんな風に考えてアタマを切り替えることにしました。でもちょっと時間もかかりました。

他の曲目や演奏のコメントはmasakiさんの方が私などよりはるかに的確なのでおまかせしましょう(^。^)
でも I Remember Clliford は特別です。
私の手持ちの中ではクラーク・テリー、ディジー・ガレスピー、リー・モーガン、アート・ファーマー、ライアン・カイザー、オスカー・ピーターソン、キース・ジャレット等が演奏していますが、この曲のサックスによるテーマ演奏ははじめて聴きました。元々大好きな曲ですし、しかも作曲者自身の演奏。これはもう感動ものです。

ベニー・ゴルソンはさすがに時々息切れ(?)はするし、とちることもありましたが、押さえるところはちゃんと押さえます。さすがに大ベテランは違います。アタマを切り替えなかったら聴き逃したかもしれません。
昔の名演は名演として大切にするが『今、この時も大切にすべきだ』と感じた一夜でした。まさにNow's The Time です。


Index 過去の記録