核磁気共鳴装置(かくじききょうめいそうち)
核磁気共鳴装置(Nuclear Magnetic Resonacc・・・NMR)とはやたらと難しい言い方ですが、身近なところでは(本当に身近では困りますが)病院でのNMR-CT検査に利用されています。
■NMRの原理
原子の中には、例えば水素原子では磁石の性質を持つものがあります。
この磁石は普段はコマのように自転していますが、磁界の中に入れると磁界の周波数によっては磁気エネルギーの吸収が起こります。この吸収状態が『共鳴』でして、吸収量を電気信号(NMR信号)に変換して測定することで判明します。
共鳴は磁場強度によっても変わるようですが、例えば水素では500MHz、窒素では50MHzのようです。NMR−CTはこの共鳴状態を利用して人体の断層を画像化するのです。
■化学的分析機器として
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核磁気共鳴装置は、薬品や農薬のような有機化合物、およびビニール、ポリエチレンといった高分子材料、そして核酸、タンパク質のような生体物質を中心とした炭素、酸素、水素、窒素、リンといった原子からなる有機物の分析に最も威力を発揮します。特に、その原子のつながりである平面構造や立体的構造まで知ることができるため、これら有機化合物の分析では中心的な位置を占めています。(日本電子ホームページより) |
■医療用として
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CTとは Computed Tomographyの略で、断層撮影のことです。つまり人体の断面を画像として映すもので、その前提となるものが代表的なものでは核磁気共鳴装置です。 患者の内部の様子を知るにはエックス線(レントゲン)がよく使われますね。あるいは超音波を利用したエコー診断装置もあります。これらは使用目的によっては、大変便利で効果的ですが、欠点がないわけではありません。 また放射線であるエックス線を利用しているので放射線被曝の問題から、診断の回数、時間などの制限があります。一方でエコー診断では、血管などの細部の様子は正確にはわかりません。 これらの問題を解決する方法として、強力な磁場を利用して、生体内を映像化する方法が開発されました。それがNMR-CTです。 |
NMR-CTに対してX線CT(1970年ごろ開発)というのもありますが、なにぶんX線を利用したものなので放射線障害の危険性は否定できませんでした。このX線CTの開発(1970年ごろ)から間もなく、放射線障害の危険のないNMR-CTが開発されたのです。
核磁気共鳴の「核」という言葉が、核反応や核燃料を連想させるので、近年はMRI(Magnetic Resonance Imaging)とも呼ばれます。もちろん、ウランやプルトニウムなどの放射性物質の核分裂反応とは無関係の安全な診断装置です。
そんなこんなで、しくみは・・・・
またまた、ヘタな絵でごめんなさいねm(__)m
左の絵を人間の頭を上か見たところと思ってください(汗)普通の状態では、体内の水素原子核はそれぞれバラバラな方向を向いています(赤と青)。ただし、この方向はテキトーです。
そこに強力な磁場を与えると、水素原子核は一斉に一方向に向きます。この方向もテキトーですのでご了解ください。
上の状態で、さらに電波をあてると水素原子核は一斉に、別の方向を向きます。これが核磁気共鳴状態です.。
電波を切ると水素原子核は磁場だけの状態に戻ります。この時の水素原子核の戻り方によって、疾患の状態がわかるのです。 これを電気信号としてコンピュータに送り、画像とします。