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デジタル時計


おそらく最初にデジタルという言葉が一般的になったのはデジタル時計が普及してからでしょう。かつては数万円もしたデジタル時計ですが、今では100円ショップでも売られるほど低価格となりました。

■パルス

ここではすべてデジタル回路になりますのでご承知ください。

左の上の波形は今までに何回も登場(?)してきました。時間に対して電圧は一定の値(例えば100V)までじわじわと上昇したり、下降したりします。

これは数学の時間に学習したサイン(sin)の形と同じですので、正弦波(サイン・カーブ)と呼ばれます。

一方大変大雑把な分類ですが、サイン・カーブ以外の波形をパルスといい、その代表となるものが下側の方形波です。

デジタル回路はすべて1または0の世界ですから波形は下の図のようにいきなり上昇してしばらくの間一定(つまり1)、その後いきなり下降してしばらくの間一定(つまり0)を繰り返します。

パルスは他にはこんなものがあります


■カウンター

デジタル回路ではカウンター回路というものがよく使われます。

これは入力された方形波(以後単にパルスと呼びます)の数を数える回路です。

基本となるものはフリップ・フロップ回路といいまして、出力は1または0の2通りになります。左の図ではフリップ・フロップ回路を3個つないでいます。

この場合、出力は3箇所ありますので000(10進数の0)から111(10進数の7)までの8とおりの状態を表すことができます。

つまりフリップ・フロップ回路を3個使えば8進カウンターが作れるのです。(10進数が0〜9までの状態になるように、8進数は0〜7までです)

《お断り》
フリップ・フロップ回路は結構複雑な回路ですのでこのように簡略化しました。

それでは何らかの方法で左のように正確に1秒周期で繰り返すパルスをカウンターに入力すればどうなるでしょうか?

おわかりでしょうか?
これがデジタル時計の基本なのです。


■水晶振動子

いきなり水晶なんて言葉が出てきて面食らう人もいるでしょう。
水晶、あの水晶です。


東京電波

その外観と構造は左のとおりです。
水晶は圧電効果といいまして、金属板ではさみ、ある程度の圧力をかけると交流電気が発生する性質があるのです。

この交流電気は切断方法により周波数が数MHz以上のきわめて安定したものなのです。無線通信は電波を利用するものですが、その電波の発生源はこれです。

さて水晶振動子で発生する電気はサイン・カーブです。
仮に周波数を10MHz(1000000Hz)とすると、その周期は1/1000000秒になります。ですからこの周期を1000000倍にすれば、1秒間で繰り返すサイン・カーブになります。これを分周といい、さらにはサイン・カーブをパルス波形に変換するのです。ここで作られたパルスが『クロック信号』です。


■デジタル時計

下の図がデジタル時計の概略図です。

分周されて周期が1秒になったパルスがフリップ・プロップ回路に入ります。

左の図では普通とは逆に秒・分・時間の表示になっていますが、実際のデジタル時計の構造に則して描くとこうなるのです。この図では13時8分54秒になっています。

秒は1の位は0〜9、10の位は0〜5まで表示されます。(なぜなら60秒になれば分の表示が1桁上がりますから60秒を表示させる必要がないのです)

同様に分も1の位は0〜9、10の位は0〜5まで。
時間は24時間表示なら1の位は0〜3、10の位は0〜2になります。
ですから、必要なカウンターは次のとおりです。

時・分・秒 表示 必要なカウンター
秒1桁目 0〜9 10進カウンター
2桁目 0〜5 6進カウンター
分1桁目 0〜9 10進カウンター
2桁目 0〜5 5進カウンター
時1桁目 0〜3 4進カウンター
2桁目 0〜2 3進カウンター

桁上げは秒や分や時間のカウント情報を元にしていますが、桁を上げるというのがデジタル時計のポイントになります。

《おことわり》
昨今のデジタル時計は表示部を除いて1個のICで作られています。


フリップ・フロップ回路はあくまで1か0のデジタル方式ですから、そのままディスプレイで表示したのでは見にくくて実用になりません。

かつてデジタル時計(腕時計は別)や電卓の表示器は左のように発光ダイオードを利用したものが多かったです。今では液晶になってしまいました。

この表示器の構造は、簡単にいえば下の図のように7個の細長い発光部分(セグメント)からなっています。この8の字で0から9までの数字を表示していることはご存知かと思います。

デコーダーとはフリップ・フロップの出力を受けて、この表示器の指定された部分を発光させるものなのです。


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