真空管
■エジソン効果
1883年、発明王エジソンは自分が発明した電球でいろいろ実験をして行くうちに、偶然発光して熱せられたフィラメントから電子が放出されることを発見し、この現象をエジソン効果、この電球をダイオードと名付けました。ダイドードというのは半導体のところでも紹介しますが、最初に名付けられたのは電球なのです。
電子が放出されるということは、図のように電球に電極をつけて、プラスの電気を加えれば、電子は電極にひきつけられるのです。(ということは、真空中に電流が流れるということです。真空というのは、電球はフィラメントの酸化を防ぐため、空気を抜いているからです) これが真空管のはじまりなのです。 彼の功績はここまでです(と言いましても大変な功績なのですが) |
■三極管の発明
1906年、フランスの物理学者ド・フォレはフィラメントと電極の中間に網状の別の電極を取り付け、この網電極の電圧を変えることで、電極→フィラメント間の電流を制御できることを発見しました。
これがその後のエレクトロニクスの発展に大革命を巻き起こしたのです。
それまでの電極をプレート、網電極をグリッドといいます。フィラメントとあわせて三つの電極がありますので三極管といいます。 その後フィラメントは直径数mmの筒(カソードといいます)に収められたものが主流となりました。金属を熱すれば電子を放出するのです。 グリッドがプラスなら、電子を吸引しますから、電球に流れる電流(プレート電流)は増加し、グリッドがマイナスならプレート電流は減少します。 |
三極管の概念はこのようなものです。カソードとは中にヒーターが入っている金属棒だと思ってください。熱せられた金属からも電子が放出されるのです。 動作している真空管を見たことがある人は、内部に赤く熱せられている細い棒があることを知っていると思います。あれです。
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■長所と短所
どんなものにも長所と短所があります。
真空管はその短所のために(どんなものでもそうですが)、トランジスタにその立場を奪われました。現在では生産しているのは中国・チェコ・ロシア等の一部の国だけです。
長所 | 短所 |
タフで少々の無理な動作でも壊れにくい 回路が比較的単純にできる(アマチュアの製作向き) |
機械的衝撃に弱い(ガラスで覆われているため) トランジスタに比べて大型(製品の小型化が難しい) ヒーターを熱するなど、消費電力が大きい |