ネットワーク
■ネットワークのはたらき
高域再生を目的として設計されたツィータに無理に数百Hzの低域信号を入力するとスピーカーが破壊されるおそれがあります。スピーカーにはあらかじめ決められた周波数からかけ離れた周波数の信号を入力してはならないのです。
このためマルチウェイ方式の場合、メインアンプからそれぞれのスピーカーの間にネットワークというものを挿入して、信号を周波数帯域別に振り分けるのです。
上の図はネットワークの回路(左側)と、それぞれの周波数特性の概略です。
合成された低音、中音、高音の境目の部分(2箇所の〇印のところ)は実際には少々違っています。
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ネットワークの基本はLCフィルターというものでして、それはコンデンサーとコイルの組み合わせで作ります。
3Wayのスピーカーにおいては、フィルターは3つありまして、その働きはつぎのとおりです。(通さないと書いてありますが、全然通さないわけではなく、かなり減衰すると考えてください)
ハイパス・フィルター(高域は通すが低域・中域は通さない) → 高域用スピーカー(ツイータ)につなぐ
ハイパス・ローパス・フィルター(中域だけを通して低域・高域は通さない) → 中域用スピーカー(スコーカー)につなぐ
ローパス・フィルター(低域は通すが高域は通さない) → 低域用スピーカー(ウーハ)につなぐ
《注意》
ハイパス・フィルターはローカット・フィルター、ローパス・フィルターはハイカット・フィルターとも呼ばれます。
ハイパス・ローパス・フィルターは私の造語でして、バンドパス・フィルターとも呼ばれます。
■フィルター
高域用と低域用とではコンデンサーとコイルの位置が違うだけです。大きさがCのコンデンサーとLのコイルを組み合わせた時の周波数は上に書いたとおりで、高域用ではその周波数以下が、低域用ではその周波数以上が通らなくなります。
つまり ある周波数以下、または以上を遮断するものなのです。
この遮断周波数をクロスオーバー周波数といいます。
低域用と高域用を組み合わせたものが中域用になります。
大雑把なたとえ話ですが・・・。
ここに低域用スピーカー(ウーハ)があってその周波数特性は30〜1500Hz とします。
中域用スピーカー(スコーカー)の特性は 500〜10000Hz、高域用スピーカー(ツイータ)の特性は8000〜20000Hzとしましょう。
3本のスピーカーの周波数特性は他のスピーカーの周波数特性と多少オーバーラップしています。
例え1000Hzでしたら、ウーハでもスコーカーでも音を出すことができますし、9000Hzでしたらスコーカーでもツイータでも音が出ます。
(逆をいえば、マルチウェイにするにはこのように多少のオーバーラップが必要です)
この場合、低域用のフィルターの高域クロスオーバーは800〜1200Hz、高域用のフィルターの低域のクロスオーバーは8500〜9500Hzの間になるよう設計します。中域用の低域・高域スロスオーバーはそれぞれ800〜1200Hz、8500〜9500Hzになるようにするのです。
(この周波数はかなり大雑把な区分けです)
このようにクロスオーバー周波数は使うスピーカーの特性に合わせて設計する必要があるのです。