フルレンジとマルチウェイ
一般にオーディオ用のスピーカーの口径は、小は5cm位ものから、大は数10cm以上のものまで実に多くの種類があります。
ちょっと考えてみてください。
ドラムセットの中で一番大きいバスドラムの直径は1m位あるでしょうか?
ベースの長さは大人より大きく、弦を共鳴させる胴もかなりの大きさです。
私は低音のことを言っています。
バスドラムやベースの音を、わずか口径10cmのスピーカーで再現させるなど、到底無理なことなのです。
でもウチのスピーカーは10cmだけれど、ちゃんとベースの音が出るよ
そういう人もいると思います。
しかし音が出ると言うことと、音が良い(リアルだ)と言うことは別の話なのです。
単に低音を出すだけで良いのなら話は簡単で、トーン・コントロールのバスを最高にすればよいのです。
(誤解しないでください。そのようなことをいう人を誹謗しているわけではありません)
低音再生にはスピーカーの口径は大きければ大きいほど有利です。
しかしそれでは逆に高音再生は不利になってきます。
高音は振動数(周波数)が大きいですから、スピーカーの振動部(紙の部分・・・コーン紙という)の重量は軽ければ軽いほど良いのです。このため口径が小さいほど有利になるのです。
こうして見ると、一個のスピーカーで低音から高音まで完全に再生するのは不可能だということがおわかりと思います。ですからスピーカーは低音用(ウーハ)、中音用(スコーカー)、高音用(ツイータ)と3種類に分けたりするんです。この方式をマルチウェイと言います。
3種類(3Way)ではなく、ウーハとスコーカーを一個のスピーカーにして、ツイーターを追加した2Way、低音、あるいは高音をさらに補強するためにスーパー・ウーハやスーパー・ツイータを追加した4Way、5Wayもあります。
でも世の中には1個のスピーカー(フルレンジスピーカーといいます)で音楽を楽しんでいる人は多いのです。(代表的なのは、古いスピーカーですが、三菱のP610、パイオニアのPE160,JBLのLE8Tなどがあります)
低音再生も高音再生も不利と承知で、フルレンジスピーカーが持つバランスの良さを楽しんでいるのです。
フルレンジ | マルチウェイ | |
メリット | 1.低音から高音までバランスが良く、聴きやすい 2.ネットワークが不要 3.ローコストが可能 |
1.低音から高音まで専用のスピーカーのためリアルな再生が可能 |
デメリット | 1.スピーカー1個のためリアルさでは物足りない | 1.製作・調整が面倒 2.高価になりやすい 3.見た目にごまかされやすい(笑) |
ここに1個3万円のフルレンジスピーカーがあったとします。
また3万円で3Wayのマルチウェイスピーカーがあったとします。
貴方ならどちらを選ぶでしょうか?
お金と音質が比例するとすれば・・・・・私ならフルレンジを選ぶ可能性が高いです。
実際には音を聴いてみなければ何ともいえませんが、この場合マルチウェイの方は1個1個のスピーカーの品質はフルレンジに劣ることになります。ただし周波数特性はフルレンジより良いでしょうね。
スピーカーはオーディオ機器の中でももっとも重要なパーツなのです。
アンプは入力から出力まですべて電気信号ですから純然たる電子回路で、理論一点張りの設計をしてもそれほどへんな仕上がりにはなりません。
しかしスピーカーは音を聴くのが人間ですから、感性の占める部分が非常に大きくなります。例え電気的特性が抜群に良くても、出てくる音が好きになるとは限らないのです。誤解しないでいただきたいのですが、電気的特性を無視しても良いという意味ではありません。
私自身は音が良い悪いという問題ではなくて、視覚的に大型スピーカーはニガテなので(笑)、25cmのフルレンジ、JBL2120にツイータ2405を追加しています。たかが25cmですから低音は大したことはありません。