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アンプ


■概略

例えばあるアンプの入力端子に1Vの電圧を加えたとき、出力端子に10Vの電圧が発生したとします。これが増幅です。

増幅には必ず増幅する倍率がありまして、この率のことを利得(ゲイン)といいます。
別に難しい話ではありません。利得は 出力電圧 ÷ 入力電圧 ですから1Vの電圧が10Vになれば利得は10倍というだけのことです。
(利得は必ずしも1以上ではありません)

もちろん増幅器(アンプ)に要求される性能は利得だけではなく、カタログをみれば例えば次のようなことが書いてあります。

出力 メインアンプでいえば、スピーカーを駆動する能力をいう。スピーカーに加わる電圧と電流の積。大きいと高性能の印象を受けるが、音質とは直接の関係はない。
周波数特性 周波数による増幅の度合いを示すもの。
一般的には10〜50,000Hz位が均一に増幅できる。
歪率 アンプに限らずオーディオ機器では出力の信号波形は、元の波形と完全に一致するわけではなく多少変形する。(下の赤い丸)この変形を歪といい、その度合いを歪率という。
(下の出力後の青い丸の部分)

S/N比 Sound とNoiseの比率という意味。大きいほど良い

■増幅素子

増幅作用をおこなう部品は真空管、トランジスタ、FET、ICがあります。
逆をいえば、これ以外にはありません。

これらの動作原理につきましては、別途記載します。


■増幅

さてアンプが10Wの出力で鳴っているとき、アンプのスピーカー端子には何Vの電圧が発生しているでしょうか?

電力P = 電圧(V)2÷抵抗(R) の式を思い出してください。
この式から V = √(P × R) になりますね。

電圧 = 平方根(10W×8Ω) なのです。なぜ8Ωかと言うと、アンプのスピーカー端子は大体8Ωのスピーカーをつなぐように作られているからです。

これから電圧V = 平方根(80) = 8.9Vとなります。

先ほどLPのコーナーでMCカートリッジの出力電圧は約0.2〜0.5mVと書きました。
10Wの出力が出ている時、例えばMCカートリッジの出力電圧0.5mVは8.9Vまで高められているのです。

MCカートリッジの出力電圧を0.5mVとすると・・・・
10Wでは 8.9 ÷ 0.5mV = 8.9 ÷ 0.0005 = 17800倍 も増幅されているのです。
10Wと言う出力は現在の感覚で言えば小さい方で、100Wのアンプなんてザラにあります。
100Wアンプなら E = 28.3V ですから 56600倍になります。

でも・・・・・・

ちょっと待てよ。
我家のCDプレーヤーの出力電圧は1Vと書いてあったぞ。
1Wの時2.8Vなら、2.8倍しか増幅してないじゃないか。

そう思った人はいませんか?
このことは、メインアンプのところに書いてあります。

《注意》
MCカートリッジの出力電圧は約0.2〜0.5mVとか、我家のCDプレーヤーの出力電圧は1Vとか書きましたが、常時0.2〜0.5mV、1Vの電圧が出ているわけではありません。これらは『最大出力電圧』です。
出力電圧はLPやCDに録音されている音の大きさで変化します。その最大値が0.2〜0.5mVであり、1Vであると言う意味です。


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