メインアンプ
■メインアンプの役割
メインアンプの役割は、プリアンプの出力信号をスピーカーを駆動できるように増幅することです。
8Ωのスピーカーで1Wの出力があるとき、電圧は 2.8Vである、と書きました。
プリアンプの出力電圧は1〜2Vとも書きました。
1Vの電圧なら、0.125Wですから充分スピーカーからの音を聴くことができるはずです。
プリアンプの出力端子にスピーカーをつないだら音は出るでしょうか?
残念ながらスピーカーからはウンともスンとも音は出ません。
プリアンプでは電圧を出せても、スピーカーを駆動することはできないのです。
1W出力時、スピーカー端子の電圧は2.8Vでした。
一方 P = I2×R ですから、I = √(P÷R) です。1W出力時、このスピーカーには平方根(1÷8)
= 0.35A の電流が流れるのです。
ところがプリアンプには電圧を発生させても電流を流す能力はないのです。
電圧もさることながら、電流をも増幅すること。
これがメインアンプの機能なのです。
電圧×電流=電力 でした。ですからメインアンプは電力増幅器とも、パワー・アンプともいいます。
■出力と音質
現在メーカー製のメインアンプの出力は、トランジスタ式では100〜200W位あるのが普通です。
一方で私のように真空管アンプを使う人も、少数派ではありますが存在します。
真空管アンプの場合、出力はメーカー製でも100Wもあるのは稀で、多くは数十Wです。10W以下のものも珍しくありません。ちなみに私の作品は300Bアンプで7W、6AH4アンプでは3W程度です。
別に私のアンプの出力が小さいから負け惜しみをいうわけではありませんが、出力と音質に直接の関係はありません。出力もアンプの性能の一つであることは間違いありませんが、高出力と高音質は別の問題なのです。
一般的には音楽を聴く部屋は大体6畳〜20畳位の部屋かと思います。
このような部屋で聴く1Wの音量がどれほどのものか。
レベルメーターがついていれば確認できますが、まず平気ではいられないほどの音量です。(スピーカーの音圧レベルももちろん関係してきますが)
出力にこだわるのはあまり意味のあることではないのです。