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6BQ5(UL)プッシュプルアンプ


友人のM君から頼まれて作りました。
最近頻繁に使う6BQ5によるプッシュプルアンプ。
今回はM君の要望もあって、多少ですが高出力を目指して、三結ではなくUL接続にしました。回路はつぎのとおりです。(クリックで拡大します)

 

●増幅段

6BQ5のUL接続。上下独立バイアスのA級に近いAB1級プッシュプルです。
Ep = 240V、Ip = 36mA、Ig2 = 5mA。プレート損失は8.6Wで、規格の12Wからはだいぶ余裕があります。

概算ですが、出力を計算してみます。
右のEp-Ip特性図で、Epが240V、Ipが36mAあたりに赤丸を入れます。この赤丸を通る4KΩの負荷線が青い線です。負荷線上にEg1=0V、Eg1=-16V(なぜなら、アイドリング時のバイアスは約-8Vですから)になる場所にそれぞれ黒点、青点で印をつけます。(Eg1=-16Vのラインは、おおよそのところに見当をつけています。)

黒点の位置はEp=15V、Ip=90mA。一方青点の位置はEp=390V、Ip=5mA位です。
シングル動作の場合、これより概算出力 = (390-15)×(90-5) / 8 = 4Wとなります。

一方、これがプッシュプル動作(A級)となると赤点が240V(Ep1)、黒点が15V(Ep2)より
電圧の実効値E = (Ep1-Ep2)×2/√2)  = (240-15)×2÷1.41 = 319V
出力 = E×E/RL = 319×319÷8000 = 12.7W となります。UL接続なので出力は約85%になるため、10.7Wとなります。もちろんこれは計算上、しかも相当ラフな計算です。実際には7〜8W位と思われます。

実際動作後のバイアスはこの表のような-8Vではなく、約-7.2〜-7.5Vです。下にも書きましたが、今回使った真空管はバイアスが浅くなります。

電圧増幅段は、位相反転を兼ねて12AX7による差動増幅回路です。プレート電流は当初片側0.5mAで計算し、このときのバイアス電圧は1〜1.2Vと目論みましたが、見事にアテがはずれました。

この部分、 手持ちの0.9mAと1.1mAの定電流ダイオードを使いましたが、今回使った12AX7のせいでしょうか。1.1mAのダイオードを使うとバイアスが0.6Vと、非常に浅いバイアスになってしまいます。
やむなく急遽 2SK30と500Ωの可変抵抗で定電流回路を組み込み、Ipを0.8mA(2本分)としました。あまりスマートなやり方ではありませんが、これでバイアスは 1V になりました。

NFBは計算上9dB(1/3)かけました。つぎの順で計算しました。

1.初段の利得

(1)12AX7の交流負荷 270KΩ//430KΩ = 165KΩ
(2)初段の利得(12AX7のμ90、rp90KΩで計算) RL/(RL+rp)×μ = 165/(90+165)×90 = 58
(3)差動増幅なので利得は1/2。 58/2 = 29。 実際は減少するので25とする。

2.出力段

実際のバイアスは7.5Vなので、フルドライブに要する入力は = 7.5 / √2 = 5.3V。

3.フルドライブに要する入力電圧 = 5.3V / 25 = 0.212V
4.出力を8Wとすると、出力電圧 = √8W×出力トランス2次インピーダンス 8Ω = 8V
5.裸利得 A = 8V / 0.212 = 38
6.NFB を3(9dB)とすると、1+Aβ = 3 (β=RNf / RNf + 初段グリッド抵抗 = RNf / RNf + 100Ω)
7.これより 1+38×β = 3 。38×100 /( RNf + 100) = 2 からRNf = 1.8KΩとしました。フルパワーに要する入力電圧は0.212×3 = 0.636V ・・のはずです(^^)

●電源

ごく普通の両波整流で、その後5Hのチョークで平滑しています。
この電源トランス(PMC-190M)には、ヒーター点灯用の6.3V3Aが3つあります。
最初は一つに2本の12AX7、他の二つに6BQ5を二本づつつなぎましたが、どれも電流が少ないため電圧が0.3〜0.6V高くなります。このため12AX7へ行く回路には、1Ωの抵抗で降圧し、6BQ5は4本とも一か所で点灯するようにしました。

●製作

真空管(6BQ5、12AX7)はいずれもSovtek、電源トランスPMC-190M、チョークPMC-518H、出力トランスPMF-25Pはノグチトランスです。
シャーシーは300×200の、ほぼA4サイズのアルミシャーシー。シンプルな 2段増幅なので部品点数は少なく、内部はかなりの余裕があります。


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